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人を見た目で判断してはいけない


億り人でも完璧な”普通”を装えるメンタルの強さ

 桁外れな経済力の持ち主を、上辺だけで判断するのは不可能であり、往々にしてATM婚、もとい金目当てな人間がフィルターを駆使することで、その手のガチお金持ちを自ら排除してしまう構造は皮肉が効いている。

 つい先日、そんなATM婚のアンチテーゼ的な内容を記したところ、意外にもインプレッションが良好で、私自身にとっても新しい発見だったが、その極め付けとも言える内容の記事が半月後に幻冬舎ゴールドオンラインから出された。

 一部改変しているとはいえ、若くして両親を交通事故で亡くし、一人息子だったが故に多額の相続財産があり、それを適切に運用したことで巨万の富を築き上げた。

 とはいえ、世間体のため冷やかし程度に働いているという、日本人にありがちな”隣の億万長者”像のようにも映り、老後資金の心配なしに日々普通に働く意味で、実態としては所謂コーストFIREそのものだろう。

 「相続財産を運用して巨万の富を築いた」部分だけ読むと、単なる親ガチャSSRで資産形成には全く参考にならん!とルサンチマンに囚われがちだ。

 確かに資産形成には全く参考にならないが、個人的には突然の不幸とはいえ、多額の相続財産が手に入る運びとなり、その1億円という大金を前にして、贅沢することなく大切に資産運用できるデキた30歳がどれほど居るだろうか?とも思う。

 30歳という若さなら、多くは贅沢という名の身の丈に合わない散財をしたり、金目当てで近付いてきた人間からの無心を繰り返されて、多額のお金があることで却って不幸な結末を迎えかねない。

 それを鑑みると、紛うことなきお金持ち(億り人)に突然なった身でありながら、成金トラップを割合綺麗に回避して、世間の身の丈を意識した質素倹約な生活を営み、定職に就いて完璧な”普通”を装えるメンタルの強さは、欲に塗れた人間ほど学ぶべきものがあるだろう。

 両親を交通事故で亡くした影響で、交通産業に従事している可能性も否めないが、多くのパンピーが宝くじが当たったら仕事を辞めると豪語する中で、この方はバス運転手という薄給激務なキツい仕事を淡々とこなしている。

 それでも「冷やかし程度に働いていると見られても、その通りだと思います」とどこまでも謙虚で、両親が遺してくれたお金に対しても、同じ謙虚さで大切に運用して今に至ることを想像すれば、単なる親ガチャSSRとは違い
、むしろ不幸の宝くじの当選者的な光景が見えると思うが、いかがだろうか。

資産8桁円、冷やかし程度に働く年収400万円の20代「都内電車運転手の正体」

 タイトルは紹介した記事のオマージュであり、ドロップアウト前の私のスペックでもある。

 5億円のバス運転手を前にすると霞むが、同世代比で8桁円の資産は、統計上の優位差と言えるレベルでお金を持っている部類であり、いつ辞めてもいいと思いながら働き、身体を壊したのを機に貰える手当てだけ貰って、さっさと辞めた意味でも紛れもなく「冷やかし」組だろう。

 とはいえ、別に親ガチャSSRどころか真逆の出自で、小学校低学年から鍵っ子。両親の筈なのに片親パンを一通り食べ尽くしたクチ。奨学金という名の借金への恐怖感から、手に職を付けるべく工業高校へと進学し、高卒で社会に出ては独力で資産形成。

 無論、「お前が終わってんだよwww」と馬鹿にされるような低賃金から種銭を捻出して8桁円まで築いた点が異なり、カイジの利根川の名言を借りれば、「金は命より重い」が身に染みている。

 そのため、名言の前振りとなるサラリーマンもとい「いわゆるレールの上を行く男たち」と、いくら表面上仲良くなったところで、酔った勢いで資産総額はマーライオンした試しがない。

 「30代半ば…40…そういう歳になって、やっと蓄えられる預金額が…1千…2千万(円)という金」なのだから、20代半ばの青二才が、実は賃金労働にしがみつかなくとも、資産所得で質素な暮らしは出来る程度の資産を有していたら、受け手の酔いも覚めるだろう。

 現にドロップアウトする前は日本株の配当所得だけで、通信制大学の学費を賄えていた訳で、もちろん日本株以外にも保有している。良くも悪くも平民の出なだけあって、そこら辺の草でも食わされたバランス感覚は、お金に困らない生活が営めるようになっても健在で、私の外見だけで正体を見分けるのは困難だろう。

「いつ辞めてもいい」と思いながら働ける無敵感

 1社目の電鉄会社がブラックを通り越して漆黒だったため、はらわたが煮えくり返って仕方がなかったが、転職先が見つかるまで「辞める」系の愚痴を、現場でこぼすような真似はしなかった。転職活動を勘繰られて横槍を入れられても困るからだ。

 だからこそ、関係各所に退職の旨をポパイ…ホウレンソウした際に、一切の文句を言わないキャラから、簡単には辞めなそうな人間にカテゴライズされていた模様で、それなりのインパクトがあったらしく、内心ざまぁみろと思う感情が半分、誰からも悟られずに出し抜いた快感半分でバイバイキンし
た。

 私の拙い経験をもとに転職の助言を記すと、転職活動中は、とにかく時間と労力のリソースが削られるため、短期決戦(長くても半年以内)で済ませること。

 その準備として、残業嫌いで、時間になったらさっさと帰るキャラを確立しておくと、付き合いが悪くなって勘繰られる事態も避けられるため、最初から付き合いの悪い奴だと思われるくらいがちょうど良い。

 ちなみに「労働者アンケート調査結果」の「現在の勤務先での勤続年数」によると、正社員であっても10年〜15年が9.9%、15年超が1.4%と、正規雇用にこだわって転職したところで、統計上9割弱は10年後に居なくなっていることになる。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/dl/h26-02_itakuchousa00.pdf

 若い世代ほど、年功序列、終身雇用など絵空事と理解している上、どうせ10年後に辞めている可能性が高いのなら、1社に長く勤める的な発想で我慢や忖度するよりも、「いつ辞めてもいい」と思いながら働ける無敵感を、全面的に出しながら働いた方が、感じるプレッシャーやストレスが多少は軽減されそうな気がするが、いかがだろうか。


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