新社会人が投資しやすい時代。
投資の世界では情報と判断能力が命。
私は今でこそ期待資産額を上回る蓄財優等生で、自分の判断で投じて資産を増やしている。振り返れば、少し前まで学生だった人間が、デマや詐欺を含めた情報が溢れる投資の世界で、間違えずに投資先を選定するのは並大抵のことではない。
カモとサギ。
私の感覚では半数以上は、ハイリスク・ローリターンの保険商品を買って保険会社の「カモ」にされたり、ローリスク・ハイリターンを謳う情報商材を買って「サギ」被害にあったりするのが世の常である。
まともな投資商品ならローリスク・ローリターン、ミドルリスク・ミドルリターン、ハイリスク・ハイリターンと言った、リスクに見合ったリターンしか得られない。つまり、定期預金や郵便貯金のような、元本保証を謳うローリスク商品であれば、ローリターンで資産が殆ど増えることはない。この本質が分かっていれば、元本保証で年率20%のような投資商品は単なる「サギ」だと分かる。年率20%のリターンが叩き出せるのは、投資の神様と呼ばれているウォーレン・バフェットさん位である。
そもそも、誰でも簡単に儲けられる金融商品があるのなら、誰にも教えずに独占したほうが利益を独り占めできるのに、赤の他人であるあなたを勧誘する時点で怪しいと思うべきである。
身近な例。
外貨建て保険などは典型例で、保険を掛けながら資産が増えるなら、営業マンは赤の他人になんか売らずに、自分や身内が目一杯契約すればウハウハな筈なのに、営業成績の良い人ほど身内には勧めていない場合が多い。
カラクリとしては、外貨建てによる為替リスクは契約者持ちのハイリスク・ローリターンな「カモ」商品で、反対に保険会社側は為替リスクを負うことなく、割の良い手数料を確実に徴収できるローリスク・ハイリターンな「サギ」紛いの商品なのである。
これだけ怖いことを記すと、日本人特有の投資は怖いと言った印象が植え付けられてしまうかも知れない。しかし、私が尊敬する高橋がなりさんの脱負け犬10ヵ条の中に、「ずるい技法を学べ、しかし利用するな」とあるように、ズルをして儲けている奴らの手口さえ知ってしまえば、それらに騙されず、真っ当な投資手法で利益を得られる可能性が高いのだから、知っておいて損はない。
投資初心者に優しい時代。
それに、時代が変わった。少子高齢化社会が到来したことや、老後2,000万円不足問題が話題になったことで、公的年金だけでは生活が賄えない可能性が浮上して、iDeCoなどの私的年金制度を活用し、運用して資産を増やすことを政府が後押しするようになった。
その側面もあって、購入時に手数料が掛からないノーロードかつ、運用管理費用が0.2%以下と優良な、全世界株式や米国株式のインデックスファンドが円建てて購入できるようになった。
運用管理費用の0.2%以下はピンと来ないかも知れないが、資産が増えるかは不確定でも、手数料は確実に徴収される訳だから安ければ安いほど良い。保険商品やアクティブファンドでは1%超がザラで、いかに優良ファンドの手数料が安いかが分かると思う。
仮に1,000万円運用して、毎年2万円の手数料が徴収されるファンドと、10万円徴収されるファンドなら前者の方が良いのは感覚的に分かるだろう。0.2%と1%でこれだけの差になるのだから、安いに越したことはない。
読み飛ばして構わない昔話。
一昔前まで手数料を掛けずに米国株式やETFに投資するには、SBI FXでレバレッジを掛けずに1通貨単位のドルを現引きして、1万ドルを米国株式口座に入金し、ドルで直接買い付けるのが金融リテラシーの高い人が用いる手法であった。
そんなことを周りに聞いたところで誰も知っているわけもなく、知識ゼロで理解できるまで調べるのも敷居が高かったし、高卒で就職した身からすれば、今でこそ成人年齢が18歳に引き下げられたが、当時の18歳は未成年で、FX口座の開設に親権者の同意が必要だったし、それの説得も難航した。
開設できても、1単位通貨を変えるだけの現金、ドルなら120万円以上の元本が必要で、それを集めるうちに成人年齢を迎えてしまう可能性もあって、結局NISA口座が開設できる20歳まで投資の世界に足を踏み入れることはなかった。当時18歳の私は、諦めたのだ。
複利は人類最大の発明。
複利の恩恵を享受するのなら、早く始めるに越したことはない。投資に興味を持ったのなら、今すぐネット証券の口座を開設して、投資信託を1,000円と言った少額で良いから投じてみて頂きたい。
正直、この1,000円で一発逆転して大金持ちになれることはないが、1,000円でも年率6%(米国株式の平均リターン)を20年間非課税(つみたてNISA)で運用した場合、20年後に資産は3倍以上に膨らむ。
そうした資産運用のノウハウを資産が小規模な頃から感覚で身につけられた人は、知識や経験と言った金融資産には現れない隠れ資産が蓄積されて、資産規模が大きくなった際に、失態を犯して大損する可能性も低く、周りよりお金に強くなっている。
今まで投資とは無縁だったサラリーマンが、定年退職で得た退職金をリスクも分からないまま投資した結果、資産を目減りさせるのとは訳が違う。財産や名誉、地位は奪われるかも知れないが、知識や経験は誰にも奪えないのはユダヤの教えである。
とは言え、どの銘柄に投資すれば良いか分からない人は、まず、ネット証券サイト内のiDeCo運用商品一覧にあるものの中から好きなものを選ぶと良い。iDeCo運用商品に選定されている銘柄は、金融庁の厳しい審査基準によるお墨付きが得られている優良ファンドが揃えられている。そのため、保険会社や銀行窓口で勧められる同系統のゴミファンドよりも優秀なリターンを得られる。
先送りは財産形成における一番の障害となる。思い立った日が吉日。投資の世界に踏み出しやすい環境となっている今だからこそ、一歩踏み出して挑戦してみてはいかがだろうか。