なるべく納税したくない人のためのお金の話。
国民健康保険が最もシビア
〜計算簡略化のため、全てのケースにおいて単身者を想定〜
日本という国は資本主義と民主主義という、水と油を混ぜ合わせたような社会であり、資本家と弱者に優しく、その中間に位置する労働者に厳しい社会となっているのが現状だ。資本家側に回れないなら、弱者側に振り切った方が、労働者ほど辛くない人も居るだろう。
結論として単身者は合計所得金額を、住民税非課税世帯に準拠した43万円以下(所得税は48万円だが、住民税は5万円少ない)に抑えることで、健康保険税は7割減免となり、月1,500〜2,000円程度を納めるだけで済むが、これが減免基準の中で最もシビアだろう。
・7割減免→43万円以下
・5割減免→72万円以下
・2割減免→96.5万円以下(参考:東京都新宿区)
免除申請すれば年金はもとより、所得税も住民税も発生しなくなるため、税金という名のペナルティのために、馬車馬よりも働く必要がなくなる。年43万円、月換算で3万円程度で、どうやって暮らすのかと言う方法論はここでは記さないが、分離課税が肝となる。
住民税
・所得割、均等割とも非課税→45万円以下(参考:東京都新宿区)
所得税
課税所得×超過累進課税
・基礎控除のみ→48万円以下
・給与所得者→103万円以下(基礎控除48万+給与所得控除55万 いわゆる103万円の壁)
国民年金
・全額免除→67万円以下
・3/4免除→88万円以下+社会保険料控除
・1/2免除→128万円以下+社会保険料控除
・1/4免除→168万円以下+社会保険料控除
所得と控除額の違いに注意
税金の計算で注意しなければならないのは、”所得”という言葉だろう。「合計(総)所得金額」と「課税所得」は似て非なるもので、税目がどちらの所得を基準にしているのか、留意する必要がある。
合計(総)所得金額−基礎控除=課税所得
・国民年金保険料 | ・所得税
・健康保険税 |
・住民税 |
例えば103万円の壁の場合、総所得金額の中に含まれる給与所得は、給与所得控除後の数字となるため、103-55=48万円。この合計(総)所得金額から、48万円の基礎控除を差し引き、課税所得はゼロ。所得税が発生しない格好だ。
国民年金保険料、住民税、健康保険税は、この基礎控除を差し引く前の合計(総)所得金額で判断される。そして先述した通り、住民税と健康保険税は基礎控除が所得税よりも5万円少ない。
この48万円ないし43万円の基礎控除を適用した額面を基準に課税するのか、適用前の額面を基準に課税するのかを誤ると、減免措置の有無に関わってくるため、税金の知識を身につけた上で実行するのがマストだろう。
そこまで面倒なことをするなら、普通に働いた方がマシだと思う方が多数派だから、日本社会が成り立っている訳だが、あくまでも止むに止まれぬ事情があって、なるべく納税したくない人が、合法的にそれらを叶えるための、具体的な所得水準がどれ位なのかをイメージするために、算出根拠を交えたお金の話である点はご容赦いただきたい。
(参考)保険料の減免・設定のイメージ
※基礎控除38万円、給与所得控除65万円の時代であることに留意
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/11/dl/s1112-9h_0011.pdf
[あとがき]お金に縛られない生き方。
過日、駅前で日蓮を名乗り、いかにも胡散臭い富士山のビラを持った顕◯会のオッサンに宗教勧誘されたが、私は意地が悪いので、途中まで言いくるめられそうな素振りで適当に受け答えして、隙が出たところで重箱の隅を突いて大どんでん返しを行う、暇を持て余した神々の遊びを、自称仏教徒の前で行うコントを公衆の前で繰り広げた。気分は論破王のそれである。
私が論破する発端となったのは、「お金には価値があるのは、誰もが持っている共通認識」の発言だ。NOを言わせず、そこから思想の話につなげたかったのだろうが、私が「お金そのものに価値はない。なぜなら〜」と会話の主導権を握り経済のロジックで言い包めた。
貨幣の歴史に詳しい人であれば、金(gold)と交換可能な兌換紙幣と、不換紙幣があり、現在流通しているのは後者で、過去に切り替えた際、ニクソンショックが発生した事実は知っているだろう。
では、我々が使っている諭吉(栄一)さんの肖像に日本銀行券と書かれた紙切れは、なぜ価値があると思い込めるのだろうか。国に信用があるからは、本質的ではない。
麻生さんがしれっと通したと言われている改正資金決済法で、日本円「もしくは暗号資産」での決済が認められるようになったが、ビットコイン決済が主流となる兆しはない。仮に米ドルだとしても同じ現象が起きるだろう。
それは税金の支払いに関しては、日本円しか対応しておらず、納税するために日本円が必要だからだ。
国民の三大義務は、勤労、納税、普通教育を受けさせるだが、国は納税してもらうために勤労できる環境を用意する。それが公務員。
公務員は稼いだお金で納税したり、民間企業のモノやサービスを購入する。民間は民間でまた、お金を循環させて、儲けたら納税する。納税したお金が公務員に…と経済の潤滑油として循環していく。
その取っ掛かりが税の徴収であり、ペナルティがあるから日本人は円を稼ごうとするし、稼ぐためにみんな円を使うから、お金に価値がある共同幻想を疑わないが、経済をぐるぐる回すための道具に過ぎず、お金そのものに価値はない。
この本質を理解していると、お金に縛られない生き方とは、お金を滅茶苦茶稼ぐことではなく、ペナルティを回避する。つまり、合法的に税負担を限りなくゼロに近づけることで、お金の呪縛から逃れられる可能性がある。
無論、何ら生産性を伴わないフリーライダーとなるため、社会全体にとってはマイナスだが、お金に翻弄されるラットレースの世界しか知らず、お金が稼げない=絶望で自決するくらいなら、開き直ってお金に縛られない生き方を経験してみる方が、生きる気力が湧くだろう。