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学歴に関して。

学歴は関係ないのか。重要なのか。

 学歴なんて関係ないという人もいれば、学歴こそ重要だという人もいる。一見矛盾しているように聞こえるが、それぞれ発言する人の背景は異なる。

 突出した能力があって、著名人として活躍できるような人なら学歴は関係ない。会社員では年収が2,000万円を超えられないから、その辺りの年収レンジから、学歴は関係なくなるとも言われている。反対に、一般的な会社員として生計を立てる人からすれば、就職で勝ち抜くために学歴が必要だ。

 統計によると、日本では大卒以上と非大卒の割合が半々で、大卒資格を持っているだけで、上位半数になることができる。だから、就職など、複数人の中から比較されるような状態となったときに有利なのは間違いない。つまり、

どちらも正しいけど、前提条件が異なるだけである。

 私は高校を卒業して鉄道会社に就職した。学校成績は至って平均的で、有名大学に行けるだけの学力はなかったし、学費も決して安くはない。

 基本的に何かを作る美術や技術以外の科目が好きではなく、奨学金という名の借金を背負ってまで無名の大学で学びたいことなんてなかった

 特に英語は最悪で偏差値40にすら満たないこともあった。中学1年生の最初に習うBe動詞から理解できなかったのだから当然だ。

 そんな勉強でも唯一、物理だけは好きだった。物理の公式や計算なんて、みんな毛嫌いするけど、私は数式によって求めた値が現実に存在することが何より面白くて、計算するのが苦ではなかった。

 でも、物理だけで大学入試を乗り切るのは困難だし、何より大嫌いな英語を避けては通れない。仮に大学入試を乗り切れても、大学で英語は必修だ。またあの辛い時間を過ごさなければならないと考えると、はやく就職してお金を稼いだ方が良いと考え高卒で就職した

 しかし、最初に就職した会社はお世辞にも良い会社とは言えず、3年間様子を見た上で転職することを決意した。しかし、

転職活動を通じて、高卒がとても不利な状況だと思い知らされた。

 誰もが聞いたことのある有名企業ほど、募集要項の学歴が大卒以上となっている会社ばかりだった。

高卒で世間一般にまともと思われる転職先なんて、公務員程度しかない。

 極端かも知れないが、そう思う程度に不利な状況に感じられた。それ位、高卒で転職するのが厳しい高学歴社会である事実は、進路を選択する学生のうちに知っておいてほしい。

今や東大生が国家公務員になりたがらない時代。

 その公務員も人員不足で超ハードワークであったり、公文書の改ざんを指示されて自決されてしまった方もいて、私たちの親世代とは状況が大きく異なる。

 バブルの頃は民間企業が厚遇過ぎて、公務員なんて馬鹿らしいと言われていた時代があったらしい。周知の事実だが、バブル崩壊後は民間は待遇が悪くなり、公務員が変わらなかったため、相対的に公務員が良いと言われ、そんな時代が30年以上続いている。

 しかし、最近は状況が変わりつつある。好景気だろうが不況だろうが安定した待遇がウリである公務員のボーナスが疫病の影響でカットされるようになってきた。

 今後も少子高齢化で多くの自治体は歳入が縮小するから、それに伴って歳出も縮小せざるを得ない。人件費も立派な歳出だ。

 職を失うことはなくても、日本経済全体の縮小トレンドが変わらなければ、賃金が減少したり、より少ない人員で今まで以上の業務量をこなさなければならない可能性があることは容易に想像がつく。

人生の選択肢が多くなるのは大卒。

 一度は必要ないと考えた大卒資格だけが、転職に留まらず、海外での就労ビザなども含め、人生の選択肢を増やす上では重要だと考えるようになった。私のように勉強嫌いで高卒で就職した社会人でも、諦めるのはまだはやい。

大卒資格は、通信や夜間で働きながらでも取得できる。

 それも年間20万円程と破格の授業料で。早稲田や慶應でなければ、入試そのものがない大学もあるから入学するのは簡単だ。

 通信制大学は学歴にならないと下に見る人もいるが、例の疫病騒ぎにより、リモート授業に切り替わった影響で、通学部と通信制の差は縮まり、学費だけが大きく違う状況となった。

 それにより、あえて通信制の放送大学などを選択する10代が全体的に増加傾向にあり、新しい時代のスタンダードになるかも知れない。

 それに数年間、働きながら一人で自発的に勉強をして大学を卒業するのは並大抵のことではない。それでも、やってみるだけの価値は保証する。

 何年も働きながら通信制大学を卒業できる人は少数派だからだ。知的好奇心旺盛な向上心のある努力家で、時間管理能力も他人より優れているのだから、下手な無名大学出身者よりも、就職時の面接などで話せば印象に残せるだろう。

年間20万円程度の学費なら、高卒の給料でも自分で無理なく支払える。

 実際に通学部の学費は高騰する一方で、奨学金利用者は平均288万円の借金を背負い社会人になっていて、返済義務者の9%は延滞しているのが現実だ。

 学びたいことなんて特になくて、借金をして大学に通うことに不安があるなら、高卒で働きながら通信制大学で大卒資格を取得する選択肢があることは、保護者や学校教諭などを通じて、もっと広く知られるべきだ。

 通信制大学と聞くと放送大学を思い浮かべる人も多いが、いきなり社会人として働きながら、大学で4年間も学び続けることができるか不安になるだろう。

 だから通信制大学に興味を持ったなら、まずは短期大学に入学することをお勧めする。4年制大学を2年で中退したら最終学歴は高卒のままだが、短期大学であれば短期大学士という立派な学位になる。

 2年間だけ勉強するつもりで短期大学士を取得してみて、もう2年勉強できる手応えを感じるなら、短大卒業後に4年制大学に編入学して学士まで取得する道もある。

 私が入学したのは自由が丘産能短期大学で、電車を運転する傍ら、短大では興味のあった金融や経済、会計分野の科目を中心に体系的に学んだ。

 不思議なことに経済は物理と似ている。久々に理論によって求めた数字が現実に存在する体験から勉強が楽しいと感じて、入学から半年で卒業に必要な単位の半分を取ることができた。

案ずるより産むが易し。

 社会人と学生が両立できるか悩んだのは徒労だったし、躊躇する時間の方がもったいなかった。過去に戻れるのであれば、二次募集の内定が決まって安堵している高校三年生の自分に通信制大学の願書を出せと言いたい位に、もっとはやく入学すれば良かったと感じた。

 産業能率大学の通信制で驚いたことが3つあった。

 ひとつは英語が必修でなかったことだ。私のような英語嫌いでも、英語を一切勉強せずに学士が取得できる大学があるなんて、高校生の時には知らなかった。

 ふたつ目は卒業論文が必須でないこと。働きながら学士を取るまでに卒業論文が必須だとハードルが高いため、任意である点はありがたい。

 最後は高卒でなくても、条件を満たせば入学できることだ。入学資格取得生として入学して、半年以上一年以内に所定の単位を修得できると、高校を卒業した者と同等以上の能力があると認められ、正科生として入学することができる。仮に高校を中退して中卒であっても、卒業すると短大卒や大卒の資格を得ることができる。

 高卒でも前澤友作さんのように成功している方は世の中にたくさんいる。確かに、自分の能力で稼げるなら学歴は必要ない

 しかし、従業員として働くつもりなら、非大卒よりも大卒の方が職業選択の幅が広い現実を知った上で、学生時代に自分の進路を選択して欲しい。


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