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表面上の数字ではなく、裏側を読む。
第1四半期決算が読みづらい件。
4/1を期首としている上場企業の第1四半期決算が続々と発表され、個人投資家は進捗状況に応じてポートフォリオの調整を行うのに忙しい日々を過ごしているかも知れないが、今回の四半期決算は注意が必要である。
というのも、為替が急激に乱高下している現状から、輸出企業を中心に円建てで決算書を見ると前年比プラスで推移しているが、為替差益を差し引くと実質前年比マイナスとなっている企業が思いのほか多い印象で、単に数字だけ見て増収増益だと思って引き続き保有していると、為替が落ち着いたタイミングでメッキが剥がれて痛い目に遭う可能性すら感じている。
私は円建て資産とドル建て資産を半々で保有するように努めており、後者に関してはインデックスファンドに長期で積み立てているだけなので手間いらずではあるが、前者の日本株に関しては個別で運用しており、少しでもババを引かないために会社四季報、有価証券報告書などのIRや財務状況を四半期ごとに念入りに調べているのが現状である。
投資を初めたばかりの頃は知識も浅く、保有銘柄数も少なかったためそれで良かったのだが、今となっては軽く40銘柄を超える状態となっており、とてもではないが一社一社を念入りに調べるのは、時間がいくらあっても足りない感覚に見舞われていた。
その矢先に、今回の為替差益による表面上はプラス推移、実態はマイナスインパクト銘柄というトラップが大量に仕込まれる状況に至り、決算短信を読むことそのものに煩雑さが加わり、一介の個人投資家として分散投資の銘柄数やポートフォリオの構成を考えさせられる展開となっている。
学び続けて雪玉を大きくする。
個別株に手を出し始めた頃は、会計の知識が浅くネームバリューのある企業にしか投じなかったり、独学で都合の良い情報のみを掻い摘んで学んだ気になり満足していたため、結果として上がるか下がるかの博打と大差なく、当時はグロース株が優位な状況とも相まって、バリュー投資でのキャピタルは複数銘柄でトントンな状態が長らく続いた。
しかし、疫病を機に独学ではなく、株式投資に関係するであろう、金融、経済、会計、心理学などを体系的に学ぶための時間が強制的に捻出されたことと、人生100年時代と言われている昨今、残り4分の3以上の期間があるであろう人生において、自身の最終学歴が高卒のまま現状の学歴社会を生き抜くには、何かと不都合が多いのではないかと自問自答した末、通信制の大学で学び直す決断をするに至った。
大学での学びや簿記資格を取得を通じて学んだ内容を、株式投資の場で身銭を切って実践し、トライアンドエラーを繰り返しているうちに、自身の投資方針に適した銘柄を見抜くためには、どの数字に注目するのが良いかなどの感覚が少しは掴めているように感じている。
その成果として、これまでキャピタルの上下は半々で、チンパンジーのダーツ当て同然だったものが、プラスの銘柄が6割程度に底上げされるようになり、大きく下落する局面を除いて、ポートフォリオ全体では恒常的に含み益が出ている状態となった。
株式市場はお金を儲けたいと思う人間同士が、本気でぶつかり合う戦場のようなもので、プロの投資家でも負ける時は負けてしまう厳しい世界である。長期に渡って投資の世界に居続ければ、絶対にババを引かないなんてことはない。
しかし、知識や情報があることで、下落するべくして下落したような、典型的な罠銘柄やバリュートラップに引っかかる頻度が激減し、結果として大負けしない投資手法を確立できる側面がある。
だからこそ成功者や投資家は学び続け、常に知識を最新のものにアップデートするのに人生の貴重な時間を費やすことを惜しまないのである。
それによって得られる実利は、短期的には年率数%と地味ではあるものの、それを長期間に渡って継続することで複利の恩恵を享受しているのも事実で、若い頃には無視できる位小さな差であっても、継続することで同世代が老後資金などで騒ぎ始める頃には、悠々自適に早期リタイアを満喫している位の大きな差となるのである。
損益計算書は過去の情報でしかない。
だからこそ、投資先の財務状態を読めるのは大切だが、昨今の急激な世界情勢の変化が発生すると、表面上の数字だけでは本質が掴めないことがある。
そのため、表面上の数字だけではなく、その数字が算出される根拠となった裏側を推察する力と、そこから将来を先読みするような、知識に裏付いた想像的思考力が、実利を得るために重要になるのではないだろうか。
財務諸表は過去の情報に過ぎず、経営状況は内外的要因から少しずつではあるが日々刻々と変化している。今現時点での状況と、財務諸表の情報でズレが生じるのは当然とも言えるが、腕の良い投資家はそのズレをあらゆる情報を取捨選択して各自推測した上で取り引きを行って実利を狙いに行く。
だからこそ株式指標は経済の先行指数となっているのである。数字が上がった、下がったで一喜一憂するのではなく、自身の想像力を駆使して数字が変動した裏側を読めてこそ、敏腕投資家として実利が得られるのではないだろうか。
大衆が資本家の懐が潤うように設計された娯楽に対して、何の疑問も持たず時間と金銭を浪費している間に、ひとりでに貪欲に学び続け、幅広い知識や経験、ユニークな着眼点などの独自の感性を身に着け、自分軸を貫き、投資手法を確立することが、労働者階級から抜け出す近道なのだ。
ハングリーであれ。愚か者であれ。スティーブ・ジョブズさんに敬意を込めて。
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