「高校球児が望むから」でいいんですか?|高校球児アンケートで思うこと
今年も夏の高校野球選手権大会の季節がやってきました。長年Twitter(X)をやっていると毎年高校野球のことをつぶやいては議論をしている記憶があります。代表的なポストは“from:ReseArpaca 甲子園”とか、“from:ReseArpaca 高校野球”とかでツイート検索してもらえばヒットします。毎年書くのもどうかと思い、とりあえずnoteにでもまとめようかと思い書きました。
本当のところは、実際どれくらい危ないのか、他の競技大会(インターハイなど)との比較、他球場開催の可能性の検証とか色々しようかと思ったのですが、あまり調査に時間をかけられないのと、あまりに内容が広くなりすぎるので、教育者の立場から特に気になっている高校球児へのアンケートとその扱われ方について書こうと思います。
高校野球の実施に関して議題が上がると毎回、どこかが高校球児にアンケートを取り、それを論拠に主張する人をよく見かけます。
例はどちらもスポーツ新聞で、両方とも現状維持(9イニング制、甲子園開催)が圧倒的多数になっており、現状維持派の大人はこれを根拠に自分の意見を通そうとしている訳です。
これには、大きな問題があります。まず、このようなアンケートを取れば、ほぼ確実に現状維持が多数になります。未成年の高校球児の意見はそれまで自分が置かれている環境に大きく左右されます。「高校野球と言えば9回」、「高校野球と言えば甲子園」という価値観で幼少期を経ていれば、その現状を容認する回答が当然多くなります。我々大人は状況は変化する、それまで当たり前だったものが変わるという出来事に多く触れて来ますので現状について考えることができますが、その経験に乏しい未成年にはその発想は浮かびません。
ではどこにアンケートを取るべきなのか、それは高校や各地域の高野連です。つまり、未成年ではなく、未成年(一部成年が含まれますが)を庇護する立場にある人の意見を聞き取るべきです。興味深いデータとして、直近のルール変更であるタイブレークに関する高校球児のアンケートと各都道府県の高野連、高校のアンケート結果が乗っている記事を載せておきます。
見ての通り、高野連・高校では過半数が変更に前向きであったのに対して、高校球児は真逆です。これだけ高校球児は現状・自分の置かれている環境に支配されてしまう傾向にあることが分かります。
最近、高野連が7回制の導入を検討していると発表されました。その話においても、先に示したように高校球児へのアンケートがなされ、それを根拠に現状維持を望む主張をする人が後を立ちません。大人がやるべきなのは、未成年の意見に振り回されることではなく、現状と対策による効果を時間をかけて検証して、より不幸が起きにくい大会を作っていくことではないでしょうか。タイブレークも2014年から検証して10年近くかけて今があります。対象・分野は全然違いますが、同じ指導的立場にある人間として、切に願います。
高校球児へのアンケート、何もいいことないからやめませんか?そんなアンケートを使って自分の意見を通そうとする大人の人も、相当恥ずかしいことしてますよ。