鳴らなかったチャンスマーチ
人生は長く、良いことも悪いことも次々と波のようにやってきます。
どんなことも永遠には続かないのが世の常です。
たとえ今がどん底にあるとしても、必ず流れが変わる時がやってくる。
「下を向くな。前を見て走り出せ。」
そう思った猛暑の夏……なんだそれ(笑)
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チャンスマーチってご存知でしょうか?
高校野球の場合、主にゲームを左右するここ一番の時や、連打で押せ押せムードの時に流れる曲のことで、これが流れると選手もスタンドも一気に盛り上がる。
そんな応援歌です。
甲子園常連校などはそれぞれにオリジナルのチャンスマーチがあり、高校野球ファンならその曲が流れるだけで「おっ!〇〇高校だね!」とわかるほど。
中でも有名なのが智弁和歌山の「ジョックロック」と呼ばれる曲だと思います。
高校野球ファンの間では魔曲とも呼ばれ、これが流れると豪打智弁の打線に一気に火が付きます。
僕のような縁もゆかりもない人間ですらこの曲を聞けば興奮が最高潮に達する、そんな有名なチャンスマーチです。
残念ながら今年はコロナウイルスの影響から戦後初の開催中止となり、そのチャンスマーチが甲子園で流れることはありませんでした。
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野球にはスリーアウトで攻守が入れ替わるというルールがあります。
プレイヤーも9人なので、123.456.789と3くくりで役割が分かれることが多いです。
例えば、1番が塁に出て、2番が送り、3番が繋いで4.5.6番で得点を奪う。
そんな具合です。
現役当時、7番だった僕は往々にしてランナーなしや、送りバントといった場面で打順が回ってくることがほとんどでした。
つまり、繋ぎや送りの打順だったわけです。
なので僕の時にはチャンスマーチが流れることはなく、もっぱら仲間のを聞く専門でした。(試合に出れていただけマシだけど)
チャンスマーチが流れるということは、ベンチもスタンドも期待が最高潮に達しています。
当然そこでヒットを打つことは通常のヒットの何倍も盛り上がりを見せ、場合によってはホームランを打つよりもむしろその価値は高く、言葉に表すことができない快感がそこにはあるのです。(チームメイト談)
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ただ、忘れないでほしいことがあります。
それは、野球とは団体競技であり、仲間が繋いでくれたからこそ、チャンスマーチが流れるということです。
みんなのおかげでチャンスマーチは流れるのだ。
負け惜しみじゃないぞ(笑)
今年の高校3年生にとって、甲子園で野球ができなかったことはずっと心に残ることでしょう。
代替試合があった県はまだマシで、その思いをぶつける機会すら与えられなかった選手たちは本当に無念だったと思います。
でも、全国のおよそ4000校のうち、毎年47校以外は甲子園の土を踏めないわけで、つまるところほぼすべての学校は地区予選で高校野球生活に区切りをつけているわけです。
もちろん、今年のように目標を奪われた喪失感は計り知れないと思います。
だからといって、いつまでもコロナのせいにしてむつむいてばかりいないでほしいのです。
スポーツマンだからこそ、こんな時はグッとこらえて上を向いてほしいのです。
甲子園はなくなっても、仲間と過ごし、ここまで繋いできた青春は確実に残っていくのだから。
そして積み重ねてきた努力はきっとこれからの成長への足がかりとなるはずです。
顔を上げて前に進もう。
人生はまだまだここからが長く、必ずまた良い波がやってくる。
一緒にがんばろう、もう一度みんなにチャンスマーチが流れるその日まで。
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