【RESEARCH Conference Pop-up in FUKUOKA】当日レポート
今年6月に開催された「RESEARCH Conference Pop-up in KYOTO」に続き、地方では2回目の開催となるポップアップイベントを福岡で開催しました。福岡といえばスタートアップ支援が活発で、企業の開発拠点も多いパワフルな都市。当日は50名を超す参加者が会場に集うとともに、200名以上の方がオンラインで視聴。会場となったGMOペパボ株式会社をはじめ、下記の皆さまにご登壇いただき、リサーチの実践や活用事例についてお話を伺いました。
終了後はご登壇いただいた皆さまと会場にてご参加いただいた皆さまとで自由に楽しんでいただける懇親会も実施。和気あいあいとしたムードの中、多くの交流が育まれました。
■GMOペパボ株式会社 ホスティング事業部 デザイナー上田 利瑳子氏
トップバッターとしてご登壇いただいたのは、「ロリポップ!レンタルサーバー」を展開するGMOペパボ株式会社ホスティング事業部の上田利瑳子さん。リサーチャーという職種がない社内でリサーチを実践し、周囲にその重要性を発信し続けることで、今や社内で“リサーチの人”として認知されるようになったという上田さん。その実体験を「レガシーなサービス・組織でリサーチの土壌を耕す」とのテーマでお話してくださいました。
2年前に入社した上田さんは「リサーチをやっていきたい」という情熱を抱いていましたが、肩書はリサーチャーではなく、あくまでもデザイナー。当時は幅広いデザイン業務がメインで、ごくまれにユーザビリティテストやアンケート、簡易的なインタビューが発生する程度だったといいます。
そうした中、比較的規模の大きなプロジェクトにアサインされ、リリース前の検証リサーチを行うことに。ようやく訪れた機会に心躍らせた上田さんは、厳しいスケジュールにも関わらず、設計から分析までをひとりで担当。インタビューとコンセプトテストは実施できたものの、うまく結果を活用するところまで行き着くことができませんでした。
その経験を、「GMOペパボで求められていたのは、独力で高度な結果を納品する専門家じゃなかった」と分析する上田さん。次に訪れたリサーチの機会では失敗を活かし、「やっていること、考えていること、困っていることなどをオープンにし、周りを巻き込んでみんなでやる」を実践。また、大きな調査を行い一人で分析をした前回の進め方を反省し、小さな調査と議論を繰り返すことで、段階的に精度を上げていく手法へと変更。すると、すぐに“いい感じ”のプロトタイプが仕上がったのです。
いっしょにリサーチを進めたデザイナーから、「サービスの企画段階からリサーチが入るとこんなにいいものができると実感した」との声が寄せられただけでなく、プロセスをオープンにしていたことで、リサーチの効果をメンバー全員で実感することができたといいます。
さらに上田さんは、サービスのリリースから20年以上が経ち、ユーザー像が変化している「ロリポップ!レンタルサーバー」について、社内でそれぞれが抱くユーザー像がバラバラであることに気づき、リサーチ結果を活用することにしました。
前回の成功体験があったため、今回ももちろん「オープンにやる・みんなでやる」を実践。プロジェクトには「ユーザー探検隊」というキャッチーなネーミングを付けて、プロジェクト自体の周知も行いながら分析結果などを共有。次第に複数のチームでデータソースとして活用してもらえるようになり、上田さんは「リサーチに関することならこの人に聞こう」と思ってもらえる存在に。このケースは特定サービスの事業部だったそうですが、現在は全社展開を進行中だそうです。
チーム開発体制もビジネスモデルもユーザー属性も異なる部署間で、どうやって全社横断の共通基盤とカルチャーをつくるのかについては、現在試行錯誤を繰り返しているところなのだとか。続報が楽しみです。
■株式会社ふくおかフィナンシャルグループ DX推進本部 内製開発グループ UIUXデザイナー 川島 歩美氏
スポンサーの皆さまのライトニングトークのコーナーでは、はじめに株式会社ふくおかフィナンシャルグループの川島歩美さんが登壇。法人向け新規デジタルサービスのUX/UIデザインを担当する川島さんには、「地銀がリサーチを本格的に実施するためのちいさな挑戦」というテーマでお話いただきました。
川島さんが所属するDX推進本部は、個人向け・法人向けの新たなデジタルチャネルの構築が進められていますが、川島さんが担当しているのは「法人ポータル」に関する業務。そのミッションは、「ヒューマンとデジタルが融合した営業スタイル」と「顧客リレーションのデジタルシフト」を実現することだといいます。
そのためには、顧客と行員の双方の声をしっかり聞いていくことが大切。そこで、初めての顧客検証チームをつくり、福岡県全域で200人の経営者・行員へのインタビューを行いました。しかし、「そこで得た声は真実なのか。自分たちの妄想が入って都合よく解釈していないか」という新たな課題が生まれることに。その課題を解決するために行っているのが、「頂上決戦」という議論に対する並々ならぬ情熱を感じるユニークなネーミングのミーティングなのだとか。検証チームと開発チーム、さらには検証に協力してくれた支店長や行員も参加し、徹底的に議論を重ねているそうです。
こうした活動を通し、他の行員や顧客に興味を持ってもらえるといううれしい副産物も得たという川島さん。現在は、地銀の内製プロダクトをいっしょにつくる仲間も募集中。「こうした活動を銀行内部に広げていくための挑戦はまだ始まったばかり」と、力強く語ってくださいました。
■株式会社ゆめみ デザイナー 小林 明花氏
続いてライトニングトークにご登壇いただいたのは、株式会社ゆめみでデザイナーを務める小林明花さん。「Research by Designer というデザイン・リサーチ」というテーマでお話してくださいました。
ゆめみのビジネスモデルは、クライアントと共創する「BnB2C」モデル。顧客企業のビジネス方針や戦略を理解し、同じ目線で「サービス企画」から伴奏し、エンドユーザー向けのサービスを展開していくビジネスモデルを掲げています。
そんなゆめみが提唱しているキーワードは「デザイン・イネーブルメント」。これは、デザインが「わかる・できる・当たり前になる」という意味なのだそう。これを組織の中で実現していくのがゆめみのデザインサービスなのです。
しかし、こうした目標を掲げながらも、実際にクライアントがどのようなものを求めているのか、クライアントがどのようなペインを抱えているのか、を把握できていないという課題があり、リサーチを行うことになったといいます。
具体的には、既存取引先の担当者4名にインタビューを実施。その結果、クライアントは「社内でデザインに関して課題意識を持っている人が少ない」、「デザインの価値を社内に認知してもらえるのかが不安」といった悩みを抱えていることがわかり、ゆめみが目指すべきは“クライアントである相談者の1人目の味方になる”ことだと理解できたそうです。
大切なのは、クライアントに『この人となら自分のやりたいことが実現できそう!』と思っていただくこと。「事業をつくり、クライアントとのプロジェクトにも参加しているデザイナーが調査したからこそ得られ学びだった。だから、『Research by Designer』でやる意味があるんです」と小林さん。現在は、プロジェクトの最後に振り返りを行い、それをデータベース化してメンバー全員に共有できるような仕組みづくりを進めてるそうです。
■株式会社imago UXリサーチ チーフアナリスト 冨田 里奈氏
ライトニングトーク最後の登壇者は、ビジネスコンサルからスタートし、Z世代を中心とする若者世代の分析などを行う株式会社imagoで、UX比較調査チームを率いる冨田里奈さん。クライアント先で現場の運用担当者への支援業務を通して得たUX改善における課題点と、それにともない試行錯誤してきたアプローチ方法について、「経営層と現場のすれ違いから考えるこれからのUX改善」というテーマでお話してくださいました。
「どのクライアントもUXが大事だということは共通認識としてある。それなのに、UXに関してユーザー目線でいくら課題点を指摘してもなかなか改善できないことが多かった」という冨田さん。そこで、ヒアリングをしてみたところ、現場の運用担当者がいくら「UX改善をしたい」と訴えても、経営層は「明確な指標がなく、投資対効果など数字上での議論が難しいのでなかなか踏み切れない」という悩みがあることがわかりました。双方の思いがすれ違っていたのです。
そこでimagoが行ったのは、「UXの課題点について数字で語る」ということ。これまでユーザー目線のみの評価を行っていたのに対し、経営視点を組み込んで両方の観点から評価を行うため、数字を用いた効果測定を行ったといいます。
また、もうひとつ運用担当者が抱えていた悩みは、担当部署同士のすれ違い。大きな企業であればあるほど各事業部が個別に動いていて、会社全体でUXを向上させることが難しくなっているといいます。同じサービスの中で導線に分断が起こっていた事例があり指摘したところ、その運用担当者は「別の部署が担当なので口出しができない…」とおっしゃっていたそうです。
しかし、サービスを受けるユーザーにとっては、部署の違いなど関係ありません。ひとつのサービスとして違和感のない導線にするために行ったのは、サービスの全UXを統合的に可視化して、各事業部の橋渡しをすること。事業部間のフローを可視化し、俯瞰的なUIの地図を作成したことで、部署同士がお互いをしっかり理解することができ、UX改善が円滑に進むようになったといいます。
「こうしたアプローチを実現できたのは、imagoがビジネスコンサルとして経営層と向き合っているから。imago自身もデザイナーとエンジニアが内製でものづくりを行っているので、双方の意思を汲み取ることができたからです」と冨田さんは語ってくださいました。
■株式会社ヤマップ プロダクト・マネージャー 土岐 拓未氏
後半一人目の登壇者は、国内No.1登山アプリ・サービス「YAMAP」のプロダクトマネージャーを務める土岐拓未さんです。土岐さんは東京のベンダーで、B2B製品の開発責任者、新製品の企画・開発などに従事した後、YAMAPのバーパスに賛同し福岡に移住しジョインしたという経歴の持ち主。この日は「なぜ登山アプリを作っていたら『なぜ山に登るのか?』という問いに答えることになったのか?」というテーマでお話してくださいました。
土岐さんはご自身がリサーチを行うのではなく、リサーチャーやデザイナーと組んで、どういうプロダクトにするかを考える立場。リサーチを使ってユーザーの姿をどう捉えていくか、それをどうプロダクトに活かしていくかについてお聞きしました。
まず土岐さんが参加者に打ち出したのは、「なぜ、山に登るのか」という問いでした。
「リフレッシュのため」、「運動をするため」、「良い景色を見るため」…。答えはいろいろとありそうですが、有名なのはイギリスの著名な登山家が残したといわれる「Because,it’s there.(そこに、山があるからだ)」という言葉(現在は誤訳だといわれているそう)。
YAMAPのユーザーリサーチは、まさに「なぜ、山に登るのか」という問いの答えを知るためのものだといえるでしょう。
YAMAPのサービスがスタートしたのは2013年。携帯電話の電波が届かない山の中でも、自分の現在位置をスマートフォンで表示することができるアプリとして話題となり、2023年8月時点では通算390万ダウンロードを記録。国内最大の登山コミュニティ・プラットフォームへと成長しています。
企業としてのパーパスは、「地球とつながるよろこび」を世界中に届けること。現在は、山道具の販売・レンタルや山旅パッケージの提供など、多彩なサービスを提供しています。
以前まで、ユーザーに頻度高く山に行ってもらうことが最もビジネス的に大切だと考え、すべてのユーザーに一様に登山頻度を高めてもらうことを活動の軸にしていました。しかし、そんなときに思わぬ事態に襲われることに。新型コロナウィルス感染症によるユーザーの登山自粛です。ユーザーの登山頻度が大幅に減少したことで、ユーザーの登山以外の時間。つまり、「日常」について考えるようになり、それぞれの「日常」において登山という行為がどういう意味を持つか、を解き明かしていくことが課題となりました。
「登山のジャーニー全体の課題をいかに解決するか?」を追い求めてきたYAMAPでしたが、コロナ禍をきっかけに、日常も含んだジャーニーの中で体験全体の価値提供を行っていくバリュージャーニー型のサービス提供へと変革を遂げたのです。
そうした中で必要となってきたのが、顧客起点の経営を導入すること。誰に対して何を提供していくのかを考えるために、ユーザーヒアリングやN1インタビューといったリサーチを実施しました。そこで見えてきたのは、登山に感じる便益は人によって異なるということ。また、登山頻度はその人の生活に大きく左右されるということ。しかし、「人によって異なる」で終わらせてはビジネスにはつながりません。多様性を認めた上で、“8割くらい”のユーザーに向けた複数の顧客戦略を実行してビジネスを前進させ、「パーパスの実現=地球とつながるよろこびへとつながる行動支援」を行っていくこと。それがYAMAPの最新版の戦略だと語ってくださいました。
■TOTO株式会社 デザイン本部 デザイナー 大塚 航生氏
後半2人目の登壇者は、ウォシュレットで世界的にも知られるTOTO株式会社のデザイン本部でデザイナーを務める大塚航生さん。「公共空間におけるウォシュレット用リモコン開発秘話」をテーマに、リサーチの結果を商品に落とし込んでいる事例を共有していただきました。
TOTOデザインのフィロソフィーとなっているのは「静かなる存在感」という言葉。「人にやさしいデザイン、居心地の良いデザイン、誠実な美しさを持ったデザイン」という3つのデザイン視点を持ち、ユニバーサルデザインの観点から誰もが使いやすいものづくりを行うことにこだわり、商品開発やデザインを行っているといいます。今回お話いただいたリモコンのデザインもそのひとつです。
公共空間におけるウォシュレット用のリモコンを開発する難しさは、次の4点の課題が背景にあるからだと大塚さんはいいます。
・器具を購入する物件オーナー/インテリアデザイナー/実際の使用者など、様々なお客様が関わる
・使用者が多様である
・多くの器具が組み合わされて空間が構成される
・トイレ空間への意匠的なニーズが高まっている
従来のウォシュレットのリモコンには、「電池式」と「壁埋め込み式」がありましたが、壁にフックで取り付けるのみの「電池式」は、施工がしやすい一方で定期的な電池交換が必要という管理のしづらさがあり、電池交換が不要で管理しやすい「壁埋め込み式」は、壁裏電気工事が必要という施工のしづらさが課題でした。
そこで開発されたのが、「施工のしやすさ」と「管理のしやすさ」を両立させるテクノロジーである「発電式」です。ひとつの発電ユニットで9つのスイッチを動かせるというのは業界初。スイッチを押す力によって発生するエネルギーを電気に変換し、電波を飛ばしてウォシュレットを動かす驚きの仕組みです。
壁にフックで取り付けるのみで電池交換も不要な発電式は、施主と管理者双方にとって理想のリモコン。しかし、スイッチを「押す力」と「押し込み量」の検討をしていくと、5ニュートンで7mmのストロークが必要だという結果になり、これをそのままデザインにするとスイッチ部分が不自然に飛び出たリモコンに…。これでは空間に置いたときにきれいではない、という課題が出てしまいました。
「それをアイデアでどうまとめていくかがデザイナーの腕の見せどころ」と大塚さん。発電機能を搭載した上で、以前からもうひとつの課題とされてきた意匠性とユニバーサルデザインの両立も実現させるデザインに仕上げるため、「ユニバーサルデザイン検証」を行うことに。障がいのある方だったり、ご高齢の方だったり、さまざまな方に実際に試作品を使っていただき、そのリサーチ結果を落とし込みながらデザインを作成していったといいます。
その結果、手に震えのあるユーザーに配慮したスイッチの大きさを確保したり、指先が敏感なリウマチの方が痛みなく操作できる形状にしたり、視覚障がいのある方の操作特性に配慮したディティールを実現したリモコンが完成。水平垂直のラインで周辺器具との親和性も確保し、空間に調和するデザインも実現しました。
開発には約4年の歳月がかかったそうですが、現在は意匠性を求められる商業施設やユニバーサルデザインを強く求められる高齢者施設などの両方に多く採用されており、お客様から求められる課題が解決できたことを物語っています。「ものづくりのメーカーとして、時間をかけ丁寧につくり上げた。リサーチもしっかり反映できているので、リサーチをどう活かそうか、と考えている方の参考になれば」と大塚さんは締めくくりました。
■株式会社Retail AI X UXリサーチャー 難波 佳代子氏
本日最後の登壇者は、福岡市に本社を置くディスカウントストア「トライアル」を運営するトライアルホールディングスのグループ会社として、小売業のAI化を進める株式会社Retail AI XでUXリサーチャーとして活躍する難波佳代子さんです。福岡県を中心に全国に約270店舗を持つというトライアルですが、もとは流通企業向けのITシステムの受託開発を行う企業としてスタートしたという難波さんのお話に、会場からは驚きの声が上がりました。
難波さんの今回のお話のテーマは「一人目リサーチャーの実践と探求」。前職ではBtoCのデータサイエンスなど、定量の分野にいたそうですが、プロダクト開発に携わりたいという思いから、現在のお仕事に転職され、一人目のリサーチャーとして奮闘されています。
Retail AI Xでは、ITの力を使ってユーザーが真に必要とする商品のマッチングや新しい買い物体験を実現するためのプロダクトの開発や提供を行っているそうですが、トライアルグループ自体がもともと流通企業向けのITシステムの受託開発を行っていたというバックグランドから、UXの重要性を認識していながらもBtoCの概念が薄く知見も浅いというのが課題。社内でも「改善のためにUXの知見をもっと開発に取り入れたい」という声が高まっていたこともあり、難波さんはトライアルグループに息づく受託の文化を変えるため、次の3つを実践することにしました。
難波さんが“受託の文化”を変えるために行った3つの打ち手
1 ストアコンパリゾン
2 N1インタビュー
3 実店舗でのユーザーテスト
ストアコンパリゾンとは、いわゆる競合調査のこと。ご主人と5歳の息子さんとよくスーパーに行くという難波さんですが、普段の買い物の最中にジロジロと陳列棚を見ながら目を光らせていたわけではなかったため、きちんとした競合調査を行うのは初めての経験。当時のメモを振り返ると、見る視点も定まっておらず調査というより見学になってしまっていたそうですが、分析のための調査用フォーマットをきちんと整えることで見る視点を統一し、競合先と自社の店舗を比較できるようにしたとのこと。この一連の作業によって、ご自身も観察のプロセスをしっかりと学ぶことができたそうです。
続いてのN1インタビューでは、トライアルへのロイヤリティが高いユーザーを対象に「トライアルを利用するきっかけ」を理解するためのインタビューを実施。繰り返し利用している理由を理解することで、ロイヤル化に必要な要素を探るのが目的だったそう。インタビューに対する知見はほとんどなく、まさに“トライアル”だったといいます。そのため、まずはトークフローを作成して社内でテストを実施。実際のインタビューではフロー通りにお話することはなかったものの、事前テストも行っていたためきちんと舵取りができたとのこと。インタビューで得た情報をアウトプットする際は、ユーザーが入店してから帰宅するまでの一連の行動を時系列で整理し、そのときの体験がプラスだったかマイナスだったかを分類。経営層にレビューしたところ、「顧客の行動変容のためのヒントがたくさんあると感じた」、「商品のプロモーションにどうつなげていくかという重要な気づきがあった」という声があったといいます。難波さん自身も「これまで顧客の購買データはあったものの定量の情報が中心だった。今回のインタビューで得たデータを組み合わせることで、顧客理解の精度が高まった」とインタビューの成果を実感されたようです。
実店舗でのユーザーテストでは、トライアルの店舗でユーザーに声を掛け、お惣菜の予約サイトについての調査を実施。実際にプロトタイプを操作してもらい、情報の過不足についての印象を伺ったといいます。これまでは「完成させる」ことを優先していたため、課題発見が遅れがちになり、デザインや開発がある程度進んだ段階でやり直しになるということが発生していたそうですが、早い段階でテストすることで、後戻り工数が少なくなるというメリットに気づいたそうです。
今回紹介してきた内容は10名未満のプロダクトチームでの小さなプロジェクトだったため、現在はリサーチのノウハウやフローをドキュメント化し、全社に広げていく取り組みを行っているという難波さん。「小売業界を変革するサービスをいっしょに作ってくれる仲間を募集しています」との呼びかけもありました。
最後に
京都に続いてのポップアップイベント、福岡ならではのリサーチのお話がたくさん聞けた充実したイベントとなりました。登壇者のみなさん、本当にありがとうございました!
会場では懇親会も盛り上がり、福岡のみなさんのリサーチへの熱量を感じられました!
今回福岡で開催できたのも、スポンサーの皆様のおかげです。ありがとうございました!
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[文章・写真] 田村 麻記
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