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【本当にあったリサーチの話 #1】 「たった数問の無料アンケートなので・・・」

実際のお仕事で出会ったエピソードを紹介 #1


私が、実際にお仕事をさせてもらう中で出会ったエピソードと、それに対するエキスパートとしての視点や提案をお伝えするシリーズ の第1弾。


調査・リサーチと呼ばれる仕事、特に、「マーケティング・リサーチ」や「生活者リサーチ」は、「マーケティング・プロセスにおいて、これ分からないと、前に進めないよね」となったときに発生します。

これについては、以前、記事にしました。

なので、「マーケティング・リサーチ」や「生活者リサーチ」の価値を理解している組織や会社では、リサーチの依頼や相談が、結構多くあります。

ただ、価値を理解して依頼や相談をしてくるということと、リサーチにおいて必要なマインドセットや知識を持っているかどうかは、当然イコールではありません(そのために、エキスパートがいるので、当たり前といえば当たり前ですね)

しかし、「とはいえ、もう少し調査協力者の側に立ちましょう」と感じたり、「事実と意見と感想とアイデアは、分けて話しましょう」と感じたりする場面など、驚くとき、あきれるとき、また、場合によっては遺憾に思うときなどが、間々あります。

このシリーズでは、私が実際に出会ったエピソードを紹介しながら、より良いリサーチにするためのマインドセットや提案をお伝えしていきます。
(時々、本音がポロリもあります)


このシリーズは、エキスパートの視点から見てポジティブ・ネガティブの両方の実際に体験したエピソードを紹介しながら、より良いリサーチのための学習をおこなうことを目的にしています。

特定の個人や組織を明かすことは一切しません。

また、個人や組織、ブランドなどを攻撃したり、社会的地位を低下させたりといった意図は一切ありません。

そのため、エピソードの一部は、上記の決まりに抵触する場合、変更していることがあります。

また、名前やブランド名のイニシャルは、実際の方の名前と変えている場合も多くあります。

あらかじめご了承ください。


エピソード #1 「たった数問の無料アンケートなので・・・」

企画担当者「今回、某SNSの機能を使って、友達になって頂いている弊社の会員の方に、アンケートを実施しようと思っています。あまりアンケートに慣れていないので、ぜひアドバイスください。」

いくつかのSNSツールでは、アンケート機能が実装されていて、複雑な設定はできませんが、シンプルな構成で、数問であれば、無料でアンケートができるようになっています。

数問とはいえ、ワーディングや順番などによって、開封率、協力率などに大きく影響しますので、エキスパートに相談するというのは、とても良いと思います。

企画担当者「アンケートとしては、最近、業界で話題のキーワードを並べまして、そこから、興味のあるものを複数選んでいただき、そのうちの1つについて、選んだ理由をお伺いする、というものにしたいと思っています。今回が第1回で、この後、毎月”あなたの興味を掘り下げシリーズ”としてアンケートしながら、1つのキーワードについて、毎月専門家に話を聞いて、ネット記事にしていきます。」

基本的なアンケートの使い方で、問題ありませんね。

1. キーワードの粒度感は気をつける
2. 複数選択→単一選択と絞り込みで設定するのを忘れないように
3. ブレイクダウンして結果分析したくなるので、属性は何を聞くか
あたりを、まずは、気にしておけばいいでしょう

アンケート結果の具体的な使い方=アクションと、今後の見通しも一旦立っているので、「やって終わり」にならず、プロセスをぐるぐる回せそうで、その点も問題ありません。

企画担当者「現在、お友達は2万名くらいおられます。はじめてやるので、何ともですが、10%の2,000名くらいは答えていただけるのではないかと思っています。協力的なお友達が多いので。」

アクティブなユーザー数がどうなのか気になりますし、少し見込みが高いとは思いますが、仮説を持っているのはいいですね。
はじめてですし、お友達の方々のロイヤリティが高いブランドなどは、レスポンスが非常に高いこともありますので、この割合が高いか低いかは、実際にリサーチして理解しましょう。

わたし「目的や仮説などわかりました。いくつか内容についてアドバイスさせてもらいますが、概ねは大丈夫かなと思います。ところで、大前提として、回答いただく方々へのインセンティブは、何ですか?」

企画担当者「インセンティブというと、謝礼ということですか?」
わたし  「そうです。お金やギフト券じゃなくても、何かお礼です。」

企画担当者「いえ、

今回は、お友達に送る無料のアンケートですし、5問以内の簡単なアンケートなので、特に、そういったものは用意していません

が、本当に必要ですか?」


やっときました、今回の「本当にあったリサーチの話」です。

もうお気づきの方も多いでしょうが、無料で嬉しいのは企画者ですし、簡単で嬉しいのも企画者です。

要は、「てめぇの話」=調査企画側の話であって、全く調査協力者には関係ありません。

そもそも、お友達の方々は、お友達になる義理もなければ、アンケートに協力する義理もありません。

「わざわざ、お友達になってくれている」方々だと認識しないといけない。

その上で、こちらが急に送るアンケートに答えてもらいたいし、こちらは、それを種にWEB記事化し、収益を出そうとしているわけです。

さらに、毎月アンケートを送って、シリーズ化しようとしているわけです。

そう考えると、1回のアンケートだけでもインセンティブをお渡しするのは、当たり前。毎月実施するのであれば、なおさらです。

お礼を形にするということは当然のことですし、また、インセンティブによってアンケートの回収率・完遂率をあげることで、自分たちも大きく助かります。

インセンティブを考えたり、準備したりするのが面倒なのかもしれません。
社内手続きなどが発生しますし、簡単なアンケートで、そんなことしないといけないのと思うのかもしれません。

でも、「毎月、手伝ってもらうけど、お礼をするの面倒だし、簡単な手伝いだったから、何も渡さない」って、リアルな友達や知人にやりますかね?

いくら面倒でも時間がなくても、協力へのお礼であるインセンティブは必ず用意して、お伝えし、お渡ししましょう。

リサーチにおいてもそうですが、「自らのコミュニケーションを俯瞰的に見る」ことを意識しないと、「友達会員さん=無料で使えるリソース」という、大きなる勘違いが起こります。


ちなみに、インセンティブについては、また別で書きますが、お金とかギフト券とかでなくていいですし、モノでなくても、大丈夫です。

その方にとって、「報酬」=もらって嬉しいものであれば、すべてインセンティブです。


今回は、新シリーズの第1回として、「本当にあったリサーチの話#1 「たった数問の無料アンケートなので・・・」」をお送りしました。

インセンティブと俯瞰的に自分を見ることの大切さです。


実際にリサーチを検討されている方でアドバイスやご相談をされたい方は、ぜひ、お気軽にお声かけください。

ご相談は、もちろん無料です!

本記事も読んでいただき、ありがとうございました。


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