発達障害が教えてくれた、孤独と学びのお話
中学3年生のころ
最後の中学生活、担任の先生が「席替えを自由に決めて良い」と言ってくれました。普段はくじ引きで決められていた席ですが、その日はクラス全員でどう決めるか話し合う機会がありました。しかし、クラス会議では誰も案を出さず、結局学級委員長が一方的に席を決めました。独断と偏見で決められた席に、発達障害由来の強いこだわりを持っていた私は、非常に不快に感じました。自分の意見を言うことができなかった私も悪かったのですが、その決め方が納得できなかったのです。
その日から、教室に入るたびにイライラし、クラスメイトから冷たい視線を受け、次第にクラスから孤立していきました。結局、私は卒業式まで登校拒否となり、心の中では深い孤独感を抱えていました。
高校時代
高校に進学すると、発達障害の特性は顕著になり、中学のトラウマが影響して、特に人とのコミュニケーションに恐怖を感じるようになりました。友達を作ることは難しく、特に異性に対しては強い恐怖心があり、まともに話すことができませんでした。
学校に行きたくない気持ちから、朝起きるのが億劫になり、だんだんと登校拒否になっていきました。その結果、卒業できるギリギリの出席日数を確保するだけで、あとはすべて休んでしまいました。
高校時代の心の葛藤
高校時代、私はよくストレス由来の腹痛に悩まされました。朝から調子が悪い時は、授業中も休み時間もずっと机に突っ伏していることが多く、身体が教室にいても心は別の場所にいるような感覚でした。
そんなある日、私が教室にいることに気が付かず、女子グループが私の悪口を言っているのを耳にしました。その時のショックといったら、言葉では言い表せません。自分がどう思われているのかがはっきりと見え、さらに心の中で自分の存在を疑うことになりました。そんな気持ちが、ますます私を孤立させました。
バンド活動とコミュニケーションの壁
バンド活動を始めた時、私はメンバーと心を通わせたかったのですが、強すぎるこだわりが原因でうまくいきませんでした。私は常に自分のやり方にこだわり、他のメンバーの意見を受け入れることができず、グループ内で意見が食い違うたびに自分の感情が高ぶってしまいました。
さらに、言いたいことがあっても、うまく言語化できずに黙り込んでしまうことが多く、結局はコミュニケーションが断絶してしまいました。この時の挫折感は今でも鮮明に覚えています。音楽が好きで、メンバーとの絆を深めたかったのに、自分の思うようにできなかったことが非常に悔しかったです。
VOCALOIDとともに
その後、VOCALOID文化に飛び込みましたが、そこでも苦労は尽きませんでした。SNSでの失言が多く、多くの批判を受けました。書き下ろしの依頼でリテイクが来た時、想定外の変更に柔軟に対応できず、感情のコントロールができなかったこともありました。そのたびにストレスで辛い思いをしました。
確定申告や事務作業が苦手で、人を頼ることもできず、一人で悩むことが多かったです。過去の嫌な出来事は延々と頭の中で反芻され、自己嫌悪に陥ることもありました。また、発達障害による特性で彼女もできず、この先ずっと孤独なんだという恐怖に震える日々を過ごしていました。
希望を見出したきっかけ
そんな苦しみの中で、YouTubeで「思考の反芻」という動画を見たことがきっかけで、自分が発達障害を抱えているのではないかと思い始めました。それから興味が湧き、どんどん自分で調べたり、心療内科やカウンセラーに相談するようになりました。そして、ついに自分が発達障害だとわかった時、まるで自分の取り扱い説明書を手に入れたかのように全てのことが腑に落ち、初めて自分を理解できた気がしました。それまでの自分の不安や悩みが、全て「特性」だったと知った瞬間、驚きとともに「これでいいんだ」と納得できました。
発達障害を理解してからは、対策を立てることができるようになり、どんどんポジティブな方向に進むことができました。自分の特性を受け入れ、上手に付き合う方法を学んだ結果、少しずつ前向きな気持ちで物事に取り組めるようになり、他人との関わり方にも変化が訪れました。
自己成長と新たな視点
この過程で気づいたのは、苦しみや悩みがすべて無駄ではなかったということです。むしろ、それが私を成長させるための糧となり、今の自分に繋がっていると感じています。苦しい時期に得た経験や感情が、VOCALOIDでの曲作りのインスピレーションとなり、その結果、少なからず多くの方々から共感を得られるようになったのだと思います。
あの時の苦しみや孤独、そして自分を責め続けた日々は、今振り返ると、全てが自分の力に変わったと感じています。過去の辛い経験があったからこそ、今の自分がいるのだと確信しています。
終わりに
これまでの経験は、決して楽なものではありませんでしたが、それらが私を成長させ、今の自分を形作る大きな力となりました。痛みや苦しみを知り、孤独を乗り越えたことで、自分を大切にできるようになり、他の人々にも共感してもらえることができました。
もし今、同じように苦しんでいる方がいれば、どうか一人で抱え込まずに、少しずつでも自分を理解し、より良い生き方を見出してほしいと思います。どんなに辛い時期でも、必ず学びがあり、そこからポジティブな変化を生み出せることを信じています。