今回は、日本古来の修復技法、「金継ぎ」のご紹介したいと思います。
金継ぎとは、壊れた陶磁器を修復するための技法の一つで、文字通り金粉や金箔で継ぎ接ぎするというものです。ただし、これは単に器を直すだけでなく、その割れ目を際立たせ、美しさを引き立てるアートの一形態でもあります。金継ぎは、壊れた器に新たな命を吹き込み、その歴史と物語を持つ器をさらに美しく、価値あるものに変えるのです。
金継ぎはリペアでありながら、アップサイクルの側面を持つ器をリバイブさせる方法とも言えます。(アップリペアと言っても良いのかも知れません)
そもそも金継ぎは何故生まれたのでしょうか。それは、日本の侘び寂びの美学、または「もののあはれ」を大切にする精神からきています。壊れたものを捨てるのではなく、その壊れた部分を含めて全体を美しく見せることで、物の寿命を延ばし、その存在価値を再認識させるのです。
金継ぎによって、「壊れた器」はただのゴミではなく、新たな価値と美しさを持つアート作品に生まれ変わります。私たちは壊れたものを直すだけでなく、その独特の美しさを見つけ出し、大切にすることができます。
そして何よりも、金継ぎを通じて、物を大切にする心を育むことができます。壊れたものを捨てるのではなく、一つ一つ手をかけて修復することで、物への愛着が増し、消費社会の中で失われつつある「物を大切にする」心が育つのです。
まさにこれからの時代「サステナビリティの時代」に必要な日本古来からある文化であり、日本人だからこそ振り返るべき文化ではないでしょうか。
最後に、金継ぎは専門的な技術を必要としますが、最近ではDIYキットも販売されているので、興味のある方は挑戦してみてはいかがでしょうか。
皆さんも、壊れた器を見つけたら、その器が持つ物語と新たな美しさを見つけ出すために、金継ぎに挑戦してみてはいかがでしょうか。大切なモノとともに、新たな物語を紡ぎましょう。
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