差詰レオニー

さしづめれおにーと申します。26歳。エッセイ、美術モデル。吉本ばななが好き。執筆しごとはX(Twitter)からお待ちしてます。

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マガジン

  • 広島帰省だより

    大好きな地元、広島に帰ったときのことを忘備録として書いていきます!

  • 連載:白像

    学生時代からちょくちょく続けている美術モデルの仕事のあれこれを綴る、不定期連載です。美大の教育を受けているわけはないのであくまでも私見です。ジャンルは女、美、性など。

最近の記事

本屋に入れなかった

ここ最近は時間の余裕がない。なぜこんなにも忙しいのかわからない。いや本当は分かっている、労働や引越しの諸々作業に追われていることを。 今だけだと分かっているからこそ、踏ん張れる。 今日は空き時間ができたため、久しぶりに駅前の本屋へ寄った。空き時間の本屋、いつぶりだろうか。久しぶりに新刊の匂いを胸いっぱいに吸い込みながら、手書きのポップアップが添えられた新作を見る。 AIがテーマの時代を問う作品、ドラマにもなった話題作、人気の漫画のアクスタ付き新刊。文学賞受賞作。 苦しく

    • 切り干し大根のような日々

      引越し費用を貯めるべく、美術モデルの空いた時間にタイミーで働いている。 スーパーの品出しや街中でのアンケート調査、個人宅に投函する企業からの広告チラシの仕分け、冷凍食品の倉庫でのピッキングなど、まだインストールして1ヶ月にも関わらず随分と色々な仕事をしてきた。飽き性な私にはかなり助かる。 スキマバイトと言えば聞こえは良いが、まぁ言ってみれば「日雇い労働者」である。行く先々で無碍に扱われたり、差別を受けたりするのかな、などと思って行ったが、そんなことはなかった。1日数時間で

      • 香りへの感情は、塗り重ねられないのかもしれない

        街中でふと懐かしい香りが漂ってきて、当時の気候や一緒にいた人の顔まで急に思い出すことがある。けれども香りが運んでくる記憶の形はいつも曖昧で、手で触れようとするとたちまち煙のようにどこかへ消え去ってしまう。その儚さも含め、我々は香りという記憶を愛おしく思うのかもしれない。 はじめて行った海外の空港、母校の校舎、祖父母が住んでいた海辺の家。今でもすぐに嗅ぎ分けられる自信がある。そのことに少しだけ胸がぎゅっとなる。香りの記憶は、なぜかいつもちょっとだけ悲しいのだ。 少し前から、

        • 無人レジのゆくえ

          昨夜、ひさしぶりに100円ショップへ行った。 コーヒー豆を入れる瓶やドリッパーを買おうと思ったのだ。 昨今の深刻な物価高で、100円ショップもほとんど「(ほぼ)100円」になっていたらどうしようかとビクビクしながら行ったのだが、欲しかったものは無事にすべて100円で買うことができた。昔、フジテレビのバラエティ番組で100円雑貨に混じった高級品を見抜くコーナーがあったのだが(その名も「ほぼ100円ショップ」)、それから20年も経たないうちに現実が追いついてしまうとは。 そん

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        • 広島帰省だより
          5本
        • 連載:白像
          3本

        記事

          やっぱり見たとき・読んだときに不快感や拒否反応を感じる灰汁を持ってこそ真の芸術だよなぁと、ここ数日Twitterにおける過激な村上春樹論争を見ていて思う。それを現代に1人で受けて立っている村上氏は正真正銘の偉大な作家、芸術家だわ。普通に尊敬してますよ、私は。

          やっぱり見たとき・読んだときに不快感や拒否反応を感じる灰汁を持ってこそ真の芸術だよなぁと、ここ数日Twitterにおける過激な村上春樹論争を見ていて思う。それを現代に1人で受けて立っている村上氏は正真正銘の偉大な作家、芸術家だわ。普通に尊敬してますよ、私は。

          畳よ畳、どうかそのままでいておくれ

          目当ての物件を見つけた。 見つけたといっても、もう何ヶ月も前から「ここがいい」と決めていたところだ。諸々の手続きがいよいよはじまる。この身分で、はたして審査が通るのかという致命的な問題はさておき、もちろん新しい物件も畳の部屋だ。 しかし都内の物件、まぁ「畳」の少ないこと。 どこの不動産に行っても驚かれるし、「今どき畳は不人気なんでね〜、フローリングに変えちゃうんですよ」と天気の話をするみたいにごく普通に言われる。致し方ない。 現に物件サイトを片っ端から検索してみても、条

          畳よ畳、どうかそのままでいておくれ

          「たまにはこんな夜もいいなあ」と呟く夜

          先日、自主映画のクランクアップを迎えた。 もちろん映画をつくるのははじめてのことで、すでに自主制作の経験がある仲間2人に手取り足取り教えてもらいながら私は脚本を担当した。俳優さんは2人、ネットからの募集でオーディションとはいいがたい、なんともラフな面談をさせていただいて決めた。脚本をつくるのも、目の前で自分の作った物語が立ち上がっていく様子を見るのも初めての経験だった。私がひとり暗い自室でコソコソ書いていた物語が、昼間、それまで出会ったこともなかった人に憑依していく現場は、

          「たまにはこんな夜もいいなあ」と呟く夜

          「どんな音楽聴いてるんですか?」と聞かれましても

          最近ぜんぜん書けていないなぁと思い、noteを開いてみた。こんばんは、note住民の皆さん。お元気ですか。 *** 自己紹介のとき、一番聞かれて困るのが「どんな音楽を聴いてるんですか」という質問。具体的なアーティスト名も曲名も、なにも答えられない。 なぜなら聴く音楽が毎日変わるからだ。もちろん好きなアーティストはいるが、毎日聴くわけじゃないし、気に入ったものを数曲だけ掻いつまむようにして聴いている。アルバム全体をじっくり聴くことは、恥ずかしながらほとんどない。 10代

          「どんな音楽聴いてるんですか?」と聞かれましても

          台本にあって小説になさそうなもの(雑感)

          例の如く、今月も光のスピードで終わっていく。1ヶ月間なにをしていたんだろうと思い、googleカレンダーを開いてみた。 自主制作の映画の脚本を書くこととなり、それでバタバタとしていた。なんせ初めての体験なので……。映画の細かい知識・お作法は全く持ち合わせてないし、小説の執筆も初心者だが、恥を忍んで初心者の雑感・所感(初感)を書いてみたいと思う。 小説を書き出してから台本の作業に取りかかってみると、役者という存在のなんと頼もしいことか。こちらが全てを書かなくてもいいのだ!

          台本にあって小説になさそうなもの(雑感)

          恋人のこと「パパ〜!」って呼びたくなるときもあるし、「ママ〜!」って言いたくなることもあれば「親友〜!」って駆け寄りたくなることもある。うっかり言ってしまわないように気をつけてる。つまり彼は最強なのです、私にとって。 

          恋人のこと「パパ〜!」って呼びたくなるときもあるし、「ママ〜!」って言いたくなることもあれば「親友〜!」って駆け寄りたくなることもある。うっかり言ってしまわないように気をつけてる。つまり彼は最強なのです、私にとって。 

          目玉焼きの美学

          最近の朝食はトースト。 その上に目玉焼きを乗せ、ケチャップを垂らして食べている。しかし今朝、うっかりその卵を床に落としてしまった。卵を落としてしまうのは成人になってから初めてのことだ。 最悪である。 無駄にしてしまったという残念さより、潰れた卵を見るのがとにかく嫌なのだ。 いつも通り机の角にコンコンさせていたら、手から飛び出してするっと落ちてしまった。その瞬間、グシャっという嫌な音とともに、真っ黄色のドロドロになった液体が床に散乱した。ティッシュで掴むことにしたのだが、

          目玉焼きの美学

          美女と野獣にがっかりして(割れたメッキを抱えて生きる)

          今朝がた聴いていたラジオから、ディズニーアニメ『美女と野獣』のメインテーマが流れてきた。吹奏楽バージョンで、歌はない。 ディズニー作品では『美女と野獣』が小さい頃から1番好きだった。本の虫で博識な美女・ベルが、それ故なのか、なんと動物それも野獣に恋をするという奇天烈なラブストーリーに、他のディズニー作品にはない、至上のエロスと愛情を感じたものだ。そんな曲が不意に流れてきて、重苦しい曇天の朝でも気分は上々だった。 イントロが終わり、メロディーのボリュームが最高潮に達する——

          美女と野獣にがっかりして(割れたメッキを抱えて生きる)

          スーツケースキャッチャー

          高2でオーケストラ部を引退したとき、当時中学1年生だった後輩からサンキャッチャーのプレゼントをもらった。真面目で、音楽と絵を描くことが大好きな心優しい女の子だった。なぜか私のことを大層慕ってくれてもいた。 サンキャッチャーとは窓辺にぶら下げる大きなビーズのようなもので、光が当たるとそのビーズを中心に小さな虹ができる。総じて縁起がいいものとされている。 もらった当時はサンキャッチャーの存在を知らず、なんだか胡散臭いプレゼントだなぁ、と思ってしまった。他の後輩からは綺麗な花束

          スーツケースキャッチャー

          クイニーアマン、何回聞いてもエロいパンだな

          クイニーアマン、何回聞いてもエロいパンだな

          夏、おまえを好きになってしまう

          夏は、嫌いだった。 暑いし、汗をかくし、道端にはいつか鳴き出しそうな蝉の死骸がたくさん落っこちている。植物は干からびて皆下を向き、コンクリートだらけの都会はいつもに増して渇いて見える。夏で良いことなどひとつもない。しいて言えば、洗濯物がよく乾くことくらいだ。 私にとっての夏は、プールでも海でもスイカでもなく、永遠に続くと思われた退屈な記憶で埋め尽くされている。 中高で所属していたオーケストラの部活はそれなりに厳しく、毎日練習があった。にもかかわらず自分にはメリハリも目標も

          夏、おまえを好きになってしまう

          もっとたくさんの本を読みたい、けど

          今さら気づいた。世の中には、無数の本がある。 googleの調べによると2010年当時、世界で出版されていた本の総数はおよそ1.2億冊だったという。かなり古いデータではあるが、ちょうど現在の日本の人口と同じだ。新生児から高齢者まで、どんな孤島・山奥に住んでいる人にも全員1冊ずつ持ち歩けるくらいの本がこの世界にはあるらしい。それも10年前のことだから、当然いまはもっと増えているはずだ。ちなみに令和元年には国内で7.2万冊もの本が出版されている。こうなってくると、いよいよ追いつ

          もっとたくさんの本を読みたい、けど