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【指揮者メモ#387】生真面目な演奏家〜ゼルキン
【第387回:生真面目なゼルキン】
2009年だったか、リンカーンセンターや五番街のヤマハサロンなどでバッハばかりのシリーズをやった。その中にブランデンブルク5番も入っていて、たまたま参考までに手に取った録音がルドルフ・ゼルキンのものだった。
すごく生真面目で、ここまでカチッとやるものかと思った。特に3楽章は、なんと3連符と付点8分音符+16分音符のリズムを楽譜通りに区別して弾ききっていてオッタマゲタ。そんなバカな。。いや、楽譜上は彼らが正しいけれど。バッハでそれならシューベルトやショパンはどうなる。
ムーティやアバドらが伝統的な習慣を廃してオペラを楽譜通りにやったところは(大半が)博物館以上の価値がなくてつまらなかった。しかしゼルキンのそれは、楽譜原理主義でも最大級の誤爆のような感があった。あの楽しい舞曲のリズムがぜんぶズレるんだもの。以来、ゼルキンは生真面目というイメージが離れなくなった。
ただ2009年の時は最初のリハーサルの数日前に救急車で運ばれた(幸い一夜で退院)。ストレスからの低体温症。私も負けず生真面目過ぎたようだ。
指揮者メモ 伊藤玲阿奈・玲於奈・レオナ
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