30分ほどの外出にも関わらず、クタクタになって家に帰る。クロの頭を撫でながら携帯を開く。TwitterもインスタグラムもLINEも全て未読。閲覧数ゼロ。ここまできて初めて疑惑が確信に変わる。どうやらこの世界には私とクロしかいないらしい。携帯を放り出してフローリングの床に仰向けに寝転がる。あり得るのか。こんなことがあり得るのか。これは夢なのか。トゥルーマンショーのように私とクロだけが巨大なセットに誘拐されて全世界に放映されているんじゃないか。しばらくして大きなライトが空から落ち
目覚めた時、やけに静かだった。8月も半ば、大学生にとっては長すぎる夏休みと暑すぎる夏がうざったい。時計を見ると11時過ぎであった。寝ぼけたまま携帯に手を伸ばし、いつものようにTwitterを開く。昨日の夜見たものとほぼ変わらない内容を流し見してから、インスタグラムを開く。いつもよりも少ないストーリーを見る。しばらくベッドでゴロゴロしてからやっと起き上がって、リビングに向かう。誰もいない。今日は同居している祖父母がディサービスに行く日ではなかったはずなのにと思いながら顔を洗い、