“直感と論理をつなぐ思考法”のプチ実践①
昨年、BIOTOPEの佐宗邦威が書かれた本の“直感と論理をつなぐ思考法”の中身を読みました。その後、本の中身のアイディアを形にするプロセスをプチ実践して見ました。今回は、取り組みの内容と感想を書いて行こうかと思います。
成功するプロジェクトとそうでないプロジェクトの違いは、そこに「妄想」を持った人がいるかどうか。「本当に価値あるものは、妄想(Vision)からしか生まれない」「妄想」をビジネスの「戦略」にまで落とし込むカギとなるのが、直感と論理をつなぐ思考法「ビジョン思考」(Vision Thinking)だ。
私がこの本の内容を取り組もうと思ったのは、会社などでユニークなアイディアを考える機会は度々あるものの、アイディアの提案が口に出しただけで形までにならない。インサイトの部分が弱いことやアイディアがどこかありきたりで、やり切ることに対して壁になってしまうことが課題にありそうだと感じてました。
そんな中で、佐宗さんの書籍は丁度課題と感じていた解決部分のインサイトの強化とアイディアの昇華のプロセスについて書かれており、まずは実践みよう!と言った具合で取り組んでみました。
<ビジョン思考プロセス>
「手を動かして考える」「五感を活用する」といった原則にもとづきながら、 妄想→知覚→組替→表現のサイクルをまわしていく。これらのプロセスにおいて、解消される課題はそれぞれ以下となる。
・内発的動機が足りない場合 ▶︎ 妄想する
・インプットの幅が足りない ▶︎ 知覚する
・独自性が足りない ▶︎ 組替する
・アウトプットが足りない ▶︎ 表現する
プチ実践にあたり、今回はポイントを絞って課題を感じていた内発的動機/独自性が足りない部分を解消する妄想する・組替するプロセスに焦点をあてて試してみました。
まずは小さいサイクルを回すことを目的にしていたため、1人で考えながら実践しています。本来は、複数人でやったことに対して都度フィードバック環境がある方が刈り取りもでき効果的かと思います。
<プチ実践>
① テーマ設定:筋トレ
② “妄想する”フェーズでやってみたこと:妄想クエスチョン
③ “組替する”フェーズでやってみたこと:あまのじゃくキャンバス
④ 新しい筋トレデバイスの提案
⑤ 振り返り と まとめ
① テーマ設定:筋トレ
今回、アイディアのくくりをあらかじめ絞っておくために“筋トレ“について考えました。私のケースだと大学時代に人の筋肉の研究もしていたこともあり、好奇心がもともと何かあって取り組んでいたのでそこを掘り起こすためにもテーマを絞ってみました。
② “妄想する”フェーズでやってみたこと:妄想クエスチョン
・妄想クエスチョン
僕たちは大人になる過程で「実現可能性の壁」を学び、発想力にあらかじめストップをかけるように習慣づけられている。いわゆる「大人の判断」というようなメンタルブロックだ。ビジョン思考を実践したければ、こうした「頭のネジ」を意図的に外す訓練を繰り返すといい。そのときに有効になのが、妄想クエスチョンだ。
なかでも、「子ども時代」を振り返る質問は、自分の根本的な関心事などを探索する際の常套手段だと言っていい。
「Q. 子ども時代に好きだった練習やトレーニングのシチュエーションは何でしたか?」
「A. うーん、子ども時代で遊びと練習の区別がなかった気がするけど、しいて言うなら練習後とか休みの日の一人 又は 少数 でのトレーニングかな〜」
この回答を考えるとき、小学校時代に初めてバスケ部に入ったときの記憶を掘り返していました。バスケはその時すごい好きだったんですけど、練習を自主的にやってた視点で振り返ると昼休みや練習後、休みの日のちょっとした練習やこっそりとした練習で新しい気づきとか発見があり、そこから自分で練習を考えて繰り返し、最終的に試合で上手く発揮できた瞬間ってものスゴい嬉しかった記憶がありました。
ここでキーワードを拾っておくと“ひっそり・こっそり”のトレーニング です。
そこを起点に、自分における筋トレを整理をしてみました。
皆んなでやる練習・トレーニングって なんか苦手なんですよね(笑
学校の授業とかでもそうですが、私は皆んなで一緒に何かやるがちょっと苦手なタイプです。逆に皆んなと別のことをやっているときの方が集中できて性格的にあまのじゃくみたいな感じなんですね。あとは練習してる姿を人に見られたくないってこともありました。欲張りながらこっそり・ひっそり鍛えて、結果を出したいんです。もちろんチームの団結力で切磋琢磨するトレーニングも効果的だとも思ってますがここでは一旦置いときます。
そう考えていくと私に合う筋トレの道具やスタイルって色々制約多くてフィットするものほぼ無くない?って気が付くようになりました。次のフェーズにて、その辺りも整理もしていきます。
③ “組替する”フェーズでやってみたこと:あまのじゃくキャンバス
アイディアの独自性が足りないときに2つのステップ(分解と構築)を踏むと
アイディアに客観性が帯びて、よりアイディアらしくなる。ここでは、自分が思う筋トレのテーマに対して分解のステップを踏んでみた。
① “あたりまえ”を洗い出す。
② “あたりまえ”の違和感を探る。
③ “あたりまえ”の逆を考えてみる。 ← あまのじゃくキャンバス
分解のステップ③:あまのじゃくキャンバスは、”あたりまえ“の逆を考えてみて視点の枠を広げてみるような取り組みである。
実際に筋トレに対して、やってみた結果が ↓である。
キャンバスに書き記したものを整理したものなのですが、左側が 筋トレの”あたりまえ” 、右側が裏返してみた“あまのじゃくの内容”である。
こう見てみると筋トレって、時間が決まってたり、場所が決まってたり、制約多いな〜とか、筋トレ道具普段持ち歩く人ほぼいないよね〜ダンベル重いしとか。どこか空いた時間に鍛えよってもならないし。このような “あたりまえ” を認識することにも役立ちました。
あまのじゃくの内容では、(軽くて小さくて)持ち運べる筋トレ道具:若干欲しいかも… アイディアとしてはありきたり? とか 目立たない筋トレ道具 : ひっそりこっそり鍛えれそう(笑 トレーニングをしない筋トレ道具: なんじゃそりゃ... などなど何かしらの提案できるものが出てきました。
やってみて思ったのですが、これらのアイディアってポジショニングした時にカテゴライズ一般のものと比べて、全然違う所にプロットされると思うんですよね(当たり前の裏返しだから、当たり前っちゃ当たり前なのだが)このようなアイディアの位置づけが整理できるのも良かった点になります。
④ 新しい筋トレデバイスの提案
・人目を気にしなくてよい。(ひっそり、こっそり)
・軽くて小さく持ち運べる。
・時間、場所の制約がない。
・色んな筋肉を鍛えられる。
あまのじゃくキャンバスで抽出したキーワードを並べてみました。
これらから実際の使っている姿をイメージしたとき、オフィスやカフェ、ちょっとした休憩時間もしくは片手間作業をするときに、ちょいと筋トレみたいな感じで気軽にできることといーな、あとそんな人目があるところで身体を動かすと完全に変な人で目立っちゃうので身体を動作させないアイソメトリック運動ならば良さそうだなとか想像しながらスケッチをしてました。↓
使う場所は机があるところでが多くなりそうで、机を介して負荷をかけられないかって考えてみると、掴める棒と吸着盤さえ付いていれば割とどこでも腕の筋肉に負荷をかけることができる。そして、アイソメトリックで力を出しているので見た目にはわからず、目立つことはない。そして、デバイスを文房具類くらいのイメージにしてしまえば、十分持ち運べるレベルとなる。などなど、少々イメージが見えてきました。
あと+α の要素として、筋トレ自体はどこの筋を鍛えているのかフィードバックを得られている環境の方がもちろんモチベーションの向上の手助けにもなります。
ちょっと小難しい話に移りますが、腕の手先の二次元平面の力の方向と肘と肩を動かす筋肉にはちょっと面白い規則性があります。それは、手先である力を出した時に手先のx、yの力平面を肘と肩のトルク平面に座標変換して筋の活動度と共に三次元上に計測点をプロットすると良い感じに一平面に近似することができる。(Cosine Turningと呼ばれます。)筋活動度は筋を使っているときに計測される筋電位の値です。この内容については、東京大学の野崎大地先生のわかりやすく解説ビデオがあります。
“冗長な筋骨格系が発揮する力” 野崎大地, 東大TV
色々ハショりますが、ここから分かることとして、肩と肘に関わるそれぞれ筋肉が手先での一番筋活動度が大きくなる方向を提示できる。(姿勢情報は必要)
負荷をかけるデバイスに力センサを組み込んでおいて、鍛えたい筋の力の方向の提示と現在の棒にかけている力の方向をスマホ等に提示してあげれば、様々な筋を効率的に鍛えることができるようになると言うことで、ひたすら作ってみます。
作成にあたってはTakramさんのプロトタイプのプロセスも参考。UnityやらEsp32やら使うの初めてでまだ作り途中ですが、デバイスの大きさや機能含めて体験可能なレベルまでとりあえず作ることができました。
まだまだ未熟な試作品ですが、地道にアイディアからモノの具体化までができました。実際使ってもらった人の反応も見れて、良いフィードバックが得られました。多分、これを使えば仕事中に筋トレしててもバレないです(笑
⑤ 振り返り と まとめ
① テーマ設定:筋トレ
▶︎ もともと興味があって研究してたテーマにフォーカス
② “妄想する”フェーズでやってみたこと:妄想クエスチョン
▶︎ 小さいころの興味の場面についての質問
③ “組替する”フェーズでやってみたこと:あまのじゃくキャンバス
▶︎ 当たり前を抽出して、真逆の状態を考える。
④ 新しい筋トレデバイスの提案
▶︎ ③での内容をコンセプトとにしてプロトタイプを試作
やってて思いましたが、上手くプロセスを順繰りにやっていたと言うよりは②から③の行き来を何度もしたり、また④に飛んだりとプロセスの行き来が多かった気がします。行き来をした際に視点の感度が向上して、新しいことに気がついたりしました。荒くても作ってみる精神と人に見せる機会を設定しておいたこともあり、体験できる試作品まで作ることができました。
コンセプト段階で作れそうなアイディアにある程度落としたこともありますがあまのじゃくキャンバスでは、筋トレ自体の概念も見直せる気づきも得られて次試作へのブラッシュアップに含めてみようかと構想しております。