最近読んだ本の感想など。小説でいろんな青春を楽しめるのは大人の特権?
最近読んだ本6冊の感想を書きたいと思います。
まずは、「読書メーター」のサイトに書き込んだ250文字程度の感想。
さくらももこ 「ひとりずもう」
さくらももこさんのエッセイ久しぶりに読みました。 (久しぶりと言っても、何十年ぶりか)。 中学時代から漫画家デビューに至るまでの、 青春の日々が描かれていました。 面白さ満載で、たくさん笑ったけど、最後の方で デビューが決まる寸前のくだりは涙を流してしまいました。 こんなに面白い人が早くになくなってしまったのは残念。 まとめ買いしたさくらももこエッセイ、あと6冊あるので 楽しみたいと思います。
米澤穂信「リカーシブル」
米澤穂信作品、初めて読了しました。 アニメの「氷菓」は見たことがあり、米澤作品には 以前から興味を持っていました。 本作は中学1年生の少女が主人公。 父親と母親同士がバツイチの再婚のうえ、父親が疾走したことによって、母親に気を使いながら生活している。 そんな境遇の彼女が精神的にぎりぎりの中、さらに追い込まれるような事柄に巻き込まれていくのが痛々しかった。 中1の頃の自分と言えば、ほとんど悩みもない、精神的にも本当におこちゃまだったよなぁと思い返すと、この少女の面していた環境の過酷さが身に染みてくる。
中山七里 「どこかでベートーベン」
図書館で、全然知らない作家も借りてみようと思って 手に取った1冊。音楽✕ミステリー って、なんか興味あったし。岬洋介シリーズって続いてるんですね。 本書は、その岬洋介が高校生の頃のお話。 「才能」について考えさせられました。作者のデビュー作「さよならドビュッシー」から順に読んでみたくなりました。
宇佐見りん 「推し燃ゆ」
何日ぶりかの読書で、薄い本だったので、手に取って読んだ。主人公は、推しを推すことでだけ、自分が生きているということを感じられるのだろうかな。彼が引退した時、「推しが人になった」とき、彼女は「背骨」がなくなってしまう。そのあとのことは書かれていないけど、彼女のショックは伝わってくる。人生で自分自身もアイドルを推していた時期があったので、少しは気持ちわからないでもないが。 主人公はその後、推しに代わる何かの生きがいを見つけられたのだろうか?
綿矢りさ 「蹴りたい背中」
発表当時1回買って読んだと思うんですが、内容を全然覚えてなくて、すごい新鮮に読めました。 芥川賞作品を読んだのは、3作目。「火花」「コンビニ人間」それから本作。「火花」の感想は忘れたしまったけど、 「コンビニ人間」と「蹴りたい背中」は同じぐらい引き込まれました。純粋に読んでいる過程が楽しい感じ。ミステリーよりもこういう感じが好きかも、って思いました。まだ趣味としての読書を始めたばかりなので、いろんな作品を読んで自分の好きな傾向を掴んでいきたいと思います。
綿矢りさ 「インストール」
綿矢りさ作品、2冊目、読了。 自分がおっさんになったからか、若いころの物語って、 みずみずしく心に刺さる。 部屋のもの全部を捨てて、学校にも行かなくなってしまうほどの主人公なんだけど、近所の小学男子の提案した、インターネットでのエロチャットバイトに興味を持ち、ひそかにやってみる。最後には2人とも親にばれてしまうのだが、 30万円を稼ぎ切って、現実に戻ってきたときには、 なんかちょっと成長していたような。何故だか読後さわやか。
6冊読んでみて
最初は、ミステリー分野を読みました。(「カーシブル」と「どこかでベートーベン」)
どちらも面白く、読んでいる途中は没入できるのですが、ミステリーって基本、ハッピーエンドではないし、なんか暗い気持ちが読後感に残るのが、なんか気になります。
対して純文学で青春ものは、結構好きなのかなあと思いました。
特に綿矢りささんは、ファンになりそうです。
青春時代の描写って、主人公は思春期特有の焦燥感やけだるさとか、
やりきれなさってものが描かれていたとしても、なんかおっさんの立場になってみると、どれも、「若いっていいなあ。みずみずしいなあ」と思ってしまう。若者が少しでも成長している姿が、微笑ましくなってしまう。
かくいう自分自身を振り返ってみると、高校時代、友達もいなくて、成績も振るわず、結構真っ暗でしたね。学園祭、体育祭なんか、もう呪いのようでした。大人としての自分の未来像が全く見えず、好きなことも見つけられないまま、かろうじて平均以上の点数をとれた英語だけ必死に勉強してました。
そういう青春時代だったとはいえ、確かに、自分にも若い時代があり、いろいろなことを経験して大人になった。青春時代ってキラキラしているようで、案外生みの苦しみの時期なのかもしれません。
だから、小説でいろんな形の青春が描かれていても「そうだよなぁ」と納得することはできる。これって大人の特権なんでしょうかね?