朝井リョウ「風と共にゆとりぬ」にはまる

最近なんだか、YoutubeやSNSにばかり時間をとられる生活をやめたいな~と
思っていました。

それで、「何か本を読むことにしよう」と思い立ちました。
まず、手元にものを読んでみることに。
Youtubeの中で紹介されていたのを以前買っていた 、
「とるにたらないものもの」(江國香織)
と言う本です。
江國香織さんのエッセイで、日常を豊かに切り取った言葉の端々から、とても豊かな気分になれる時間を過ごすことができました。

それで、読書欲がわいてきました。エッセイって、自分に合ってるかもしれない。
実を言うと、小説はそれほど得意ではないのです。情景、人物像、人間関係、登場人物の感情などを読み取る能力が昔から低いので、結構小節には苦戦してきました。

まあ、最初から苦手なものに手を付けなくても、好きな分野から広げていけばいいんじゃないか、と開き直って、エッセイをしばらくたくさん読んでみようと思いました。

それで、Amazonをあさってみることに。

単純に検索欄に「エッセイ」と入力して、出てきた本を確認。結構いっぱい出てきました。

その中で目に付いたのが「風と共にゆとりぬ」(朝井リョウ)と言う本でした。朝井リョウさんという作家の本は以前1冊だけ読んだことがありました。「何者」という本だったと思います。就活生の就職活動の様子を描き、最後になんか面白いどんでん返しがあって面白かったような記憶がありました。

この人はどんなエッセイを書くんだろう?と興味がわき、その場でポチっ。
3日前に届きました。

わくわくしながらページを開いて読み始めました。
結論から言うと、帯にアピールしてある通り、「めちゃくちゃ面白」かったです。
江國香織さんと比べるとちょっと下品かな、と最初思いましたが、だんだんと朝井ワールドに取り込まれていって、読みながら思わず声を出して笑ってしまったことが何回かありました。自分の部屋で読んで正解でした。にやけた顔を人に見られなくてよかった。

書いてあるエピソード自体も面白いんですが、何よりも、作家の持つ圧倒的文章力でそのエピソードが彩られ、面白おかしさが10倍になっている気がします。

この面白さ、なんか同様の記憶があるような気がして考えてみたら、思い出しました。大昔、さくらももこ さん(ちびまる子ちゃんの作者)のエッセイ、「もものかんずめ」を読んだ時も結構爆笑したような記憶がありました。その感覚に似ているんです。

その感覚の原因は読み進むうちに明らかになりました。朝井リョウさん自身が、幼いころ「もものかんずめ」をはじめとするさくらももこさんのエッセイを読み込んで、自分も大人になったらさくらさんみたいなエッセイを書きたいと思った、と言うようなことが書いてありました。

朝井リョウさんは、「さくら日和」という本の中に書かれていたエピソード「おめでとう新福さん」という1編がお気に入りとのことで、「幼い私はこの話を読みながら『時間と知恵と労力をこんな風に無駄遣いできる大人になりたいなァ』なんて思いをはせたものだ」と書き、そのようなさくらさんの精神を「ももこメンタル」と称してエッセイの中で使っていました。

そして「ももこメンタル」をもって会社の同期へのいたずらを敢行したエピソードを綴っていました。

「ももこメンタル」のほか、彼独自の面白い表現がたくさん出てきます。

スットコドッカー(すっとこどっこいな行動をする人)
夏裁判(夏休みの行動をひたすら映える写真に映し込み、周囲からの「夏何してた?」という質問<夏裁判>に勝つ気満々の人たちの話)
バレーゾンビ (244pより引用--「つまり、一般開放日かつ指定競技がバレーの時間帯にその体育館に行けば、私のような『人数を集められない』『体育館のような使用予約は面倒くさい』『だけどバレーをやりたい』というバレーゾンビに出会えるというわけである--)
スタンディング先輩(スタンディングデスクを擬人化して「先輩」と呼び掛けている)

他にも本当に色々と朝井氏だけの造語のような、面白い表現がたくさん出てきて笑いました。

朝井リョウ氏のエッセイはこれを含めて3冊あるようで、
第1作が「時をかけるゆとり」
第2作がこの「風と共にゆとりぬ」
第3作が「そしてだれもゆとらなくなった」

と言う本が出ています。

「風と共にゆとりぬ」を読了した後、速攻で残りの2冊をAmazonで注文しました。明日届く予定です。

2024年は読書の年にしようと思います。そのスタートを、朝井リョウさんのおかげで楽しく切ることができました。

今日は、書棚を引っ掻きまわしていたら、朝井リョウ著「桐島、部活やめるってよ」という小説が出てきたので(積読でした)、今日は半分読みました。現代の若者の等身大の青春群像劇でした。明日読了するのが楽しみです。

また新しい本など読んだら、感想も書いていきたいと思います。



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