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『新たな経済・働き方で社会をどう変える?』 「社会的連帯経済(SSE)国際開発学会・研究部会」報告書公開中❣❣

★SSE研究部会の報告書(普及版)

    公開中(ダウンロード可)❣❣


SSE研究部会報告書『新たな経済・働き方で社会をどう変える?』

  <研究部会の活動の概要> 
     (全体の概況)
 「社会的連帯経済」(以下、SSEと略)研究部会は、学会の承認を受けて2021年10月に発足し、準備期間をおいて2022年3月から本格的に公開研究会を中心に研究会活動を展開した。部会の設立は、国際的なフェアトレード運動の支援団体、ソリダリダード・ジャパン(Solidaridad Japan、本部はオランダ)主催の社会的連帯経済の講座(勉強会)を契機としており、講座に協力した国際開発学会のメンバー有志が、その重要性を国際開発学会や広く一般社会に広めたいとの思いによって発足した。(1)

 当初の活動方針としては、20世紀末、新自由主義やグローバル資本主義に対抗する試みとして、「連帯経済」や「社会的経済」と呼ばれる動きに注目し、具体的な諸活動について国内動向を中心に現状把握を試みた。国内地域の問題、途上国の貧困削減、先進国を含む格差是正のための新たな可能性など、分野横断的に研究者・実践者の報告を中心に研究会活動を行なった。初年度は、ソリダリダード・ジャパン(以下、ソリ・Jと略)との連携・協力という方式で勉強会・研究会をシリーズとして企画した。その後は、関連する諸団体と広く連携し協力することによって諸課題、テーマ内容を広範に掘り下げた。
 とくに初回(部会スタート公開研究会)講師の伊丹謙太郎(法政大学大学院、公共政策研究科・連帯社会インスティテュート)教授は、研究会後に本学会に入会しSSE研究部会のコアメンバーとしてご協力頂くことができた。実際、法政大学連帯社会インスティテュート主催のオンライン公開講座「世界の動きから社会的連帯経済(SSE)を学ぶ」(2022年度)「社会的連帯経済(SSE)の 現在とその未来を考える」(2023年度)ではSSE研究部会の主要メンバーも参加して議論の輪を広げることができた。(2)

 国際機関との連携では、ILO(国際労働機関)日本事務所などとも連携することができ、国際的な動向に視野を広げることができた(学会大会プレイベント企画、2022年12月2日、部会HPにて録画公開中)。その後も、特別公開セミナー(オンライン)として国連社会開発研究所(UNRISID)のIlcheong Yi氏によるSSEの動向や百科事典(Encyclopedia of the SSE)に関する報告をして頂くことができた(部会HP、録画公開中)。
 SSEの背景には、世界金融危機(2008年リーマンショック)を契機に資本主義の矛盾が顕在化するなかで、2010年代には国連社会開発研究所(UNRISD)や国連機関(ILO等)でも「社会的連帯経済」の研究やネットワークが生まれており、国際動向に視点を広げる研究会として活動幅を広げる展開をした。さらに、最近は国連のSDGs(持続可能な開発目標)を実現するための重要な担い手としてもSSEが注目され始めていることから、SDGsに関わる団体(「みんなのSDGs」)とも連携して、国際的な動向と内外の開発動向との関連性など、研究活動としてネットワークを広げることも試みた。(3)
 また本研究部会では、連帯経済・社会的経済の内外の事例を学ぶとともに、これらの取り組み実践の理論を手がかりとして、現代資本主義の矛盾克服についての考察も視野に入れた企画も行うことができた。その際、学会外の活動団体(「資本主義再考」研究会、適正技術フォーラム)とも連携した共催形式による試みも行うことができた。

 以上、SSE研究部会の活動展開は多岐にわたるもので、日本社会でのSSE認知が普及していない現状に対する情報提供・データベース(Knowledge Hub)の機能もはたすべく、部会HPを充実させる(公開研究会の録画アーカイブ化等)ことに努力した。
 今回刊行する活動報告書もその延長線上のものであり、電子版(公開)として広く活用して頂くことを期待している  - -/


    (研究部会の設立趣旨)
 SDGsのゴール10が「不平等の根絶」であるように、21世紀の国際社会は「格差の拡大」が大きな課題となっており、その原因の一つに「資本主義によるグローバリゼーションの拡大」「市場資本主義の蔓延」があるとする見解は根強い。仮に「不平等の拡大」の原因のひとつが「資本主義的経済」にあるとするならば、格差是正のための方策として現在の資本主義の在り方を「修正」あるいは「代替」することが浮上する。こうした試みは、産業革命開始時からさまざまな取り組みがあった。ロバート・オウエンの「空想的社会主義」や、マルクス・エンゲルスの「共産主義」のような実践もその一環である。
 1989年のベルリンの壁崩壊以降も、市場資本主義に対抗する試みは「連帯経済」と呼ばれたり「社会的経済」と呼ばれたりしながら継続されており、2010年代に入ってからは国連社会開発研究所などが呼び掛けて、国連機関を中心に「社会的・連帯経済」のネットワークも生まれ、改めて注目を集めている。
 本研究部会では、世界で取り組まれているさまざまな連帯経済、社会的経済の事例を学ぶとともに、必ずしも横断的に比較されたことのないこれらの取り組み実践や理論を俯瞰するとともに、途上国の貧困削減、先進国を含む格差是正のための新たな可能性を見出すことが出来るのかどうかを考えてみたい。 このため、本研究部会ではさまざまな研究者・実践者のお話を聞く活動を中心としながら研究を深めていく。 <詳細は、報告書を参照❣❣>

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