四季報写経 データでつかむ今どきの販売戦略:アナログとデジタルの差が生む新しい顧客アプローチ
はじめに
四季報写経をしていて、2024年に上場した「ライスカレー」という会社がきになり、少し調べてみました。
ライスカレーは、SNSやECなどの特定コミュニティデータを活用して、ユーザーの関心や行動に応じた販売戦略を実施しています。現代のデジタル技術を駆使して、顧客ニーズをリアルタイムで把握し、的確なマーケティング施策を展開しています。昭和世代が経験してきたアナログな販売手法とは全く異なるものです。ここでは、ライスカレーの戦略の概要を説明した後、アナログとデジタル販売手法の差について深掘りします。
1. コミュニティデータを活用したデジタル戦略
ライスカレーは、SNSやECサイトなどから収集した「コミュニティデータ」を基に、ユーザーの潜在ニーズやトレンドテーマ、実際の需要の事前検証を行っています。SNS上で形成されるテーマごとのユーザー群(コミュニティ)から得られるデータは、消費傾向や興味・関心の変化を捉えるための重要な情報源です。この情報を用いて、BtoBおよびBtoCでのマーケティング支援や商品開発、販売を行い、特定のターゲットにアプローチする販売戦略を実現しています。
2. BtoBとBtoCの多軸展開
ライスカレーの事業展開は、BtoBとBtoCの二軸で進められており、特にデジタルツールが重要な役割を果たしています。
BtoB分野
企業向けのデジタルツールを通じて、マーケティング支援やデータ管理のサービスを提供しています。具体的には、「CCXcloud」「CCXsocial」などのSNS分析ツールを用いて、企業がターゲットコミュニティに効率的にリーチできる環境を整えています。また、中小企業向けにはSNSコミュニティ集客ツール「アドスタ」を提供し、デジタルを活用した低コストの集客を実現しています。
BtoC分野
消費者向けには、オーラル美容ブランド「MiiS」やZ世代向けのアパレルブランド「RiLi」など、SNSでの影響力を活用したブランド展開を行っています。デジタルを基盤としたEC販売を通じて、リアルタイムの需要変化に即応しながら、効果的に販売戦略を立てています。
3. アナログとデジタル手法の差
昭和世代である私が経験してきたアナログな販売手法と、ライスカレーが活用している最新のデジタル手法の違いは、特に以下の点で顕著です。
マンションデベロッパーの例:リードタイムの長さによる制約
マンションデベロッパーにおいては、土地を仕入れてから設計、建築、販売までに数年かかるため、顧客のニーズをリアルタイムで捉えることが難しいのが実情です。例えば、建物の間取りや設備仕様などを決定する時点での市場ニーズが、販売時には変化している可能性があります。つまり、アナログな販売手法ではリードタイムが長い分、市場変動への即応性が低いため、予測に基づく販売が求められます。
コンビニの例:POSデータを活用した仮説発注
コンビニエンスストアでは、POSデータを活用して過去の販売実績をもとに、行事や気温変動、顧客の行動変化に応じた仮説を立てて発注を行います。しかし、POSデータはあくまで過去の消費動向を反映したものに過ぎず、未来のニーズを先取りするには限界がありました。
デジタル手法によるリアルタイムの需要把握と即応性
一方で、ライスカレーが用いるデジタル手法は、SNSやECサイトのコミュニティデータを分析することで、リアルタイムの顧客ニーズを直接捉えることが可能です。顧客が関心を持っているテーマや購入意欲をSNS上で迅速にキャッチできるため、ニーズに応じた製品開発や販売戦略をスピーディーに構築できる点が強みです。また、SNSを起点とした集客により、特定のターゲット層に直接アプローチすることができ、顧客層のニーズ変化に即座に対応できるのも、デジタルならではの特徴といえます。
4. コミュニティコマースと購買意欲の高い層へのアプローチ
ライスカレーは、SNSやECでつながるユーザー層が共有する価値観や関心を活用し、購買意欲の高いユーザー層に効率的にリーチしています。いわゆる「コミュニティコマース」を形成することで、興味を共有するユーザー群を経済圏とし、購入に結びつきやすい環境を作り上げています。
これからもこの会社から目が離せません。
最後までお読みいただきありがとうございました。