アクティブファンドとの別れ方
最初にお断りしておきますが、他人様の資産運用のあれこれをごちゃごちゃ言うべきではない、と思っています。なので、こういうことも書くべきじゃないのかなー、って少し躊躇いながら、でも書いちゃっています。
こちらのイベントで寄せられたご質問です。
アクティブファンドはどれくらいの期間もっていたらよいのか、どんなときに売り、下げ相場でも持ち続けたり買い増して良いのかを知りたいです。
アクティブファンドを売る(解約する)、それはつまり、
「お別れ」ですね。
私自身がアクティブファンドとの「お別れ」する理由は2つしかないと思っています。
その1 お金が必要になったから
今私自身が保有しているアクティブファンドは結構あるのですが、そのどれもが気に入っている、好きなファンドです。そんな好きなファンドであってもお金が必要になったら解約するしかありません。幸いにしてそのようなことは今のところありませんが、仮にそんな日が来たらその「お別れ」はきっと寂しいことでしょう。
もう一つの理由。
その2 その投信会社、ファンドマネジャーと旅をこれ以上一緒に続けられないと感じたから
#投資信託 を活用した #コツコツ投資 を、私は旅、長い旅だと考えています。保有する投資信託を運営する投信会社、ファンドマネジャーは旅のパートナーであると言えます。ですから、その人たち、そのチームとそこから先の旅を一緒に過ごせない、過ごしたくないと感じたら、それは「お別れ」する時だと思っています。
ただ、その際、判断の基準は「成績」ではありません。私が一緒に旅したい、好きやわーと感じる理由は、基本的に、その投信会社の哲学やプロセス、そしてそれを基にしてつくられたポートフォリオです。その哲学やプロセスに対して違うな―、変わっちゃったな―、って感じたら、共に旅するのは無理!って思うわけです。
そういう意味では下げ相場であっても、哲学、プロセスに変化が無くて自分が一緒に旅を続けたいと思えるようであれば、これまで通りに旅を続けます。
相場とは「価格」のお話です。「価格」は誰にも分からないし、誰もそれを操ったりできないものです。そして、「成績」も「価格」から算出されるものです。その意味で、哲学やプロセスに深い納得が無いママに、「成績」だけを見てアクティブファンドをドーンと買うなんて、本来はあり得ない行動だと私は思います。
自分の保有しているアクティブファンドが評価損を抱えている人が「収支トントン」になったら、評価損を解消したら、解約するつもり、あるいは、評価損が解消したから解約した、といったコメントをSNSで見かけます。そうしたコメントを見ていつも思うんです。
そのファンドに見切りをつけているんだったら、さっさと解約すればいいのに、って。やっぱり「価格」しか見てないじゃん!、って。
既に信頼していない運転手が運転するバスに乗り続けているのと、同じことではないでしょうか。快方に向かうどころか、もっと酷い状況になるかもしれない、それが相場です。であれば、です。運転手が信頼できないって感じたらすぐさまバスを降りるべきだと思うんです。
以前、あるファンドの運用報告会に出席しました。私自身はそのファンドの哲学やプロセスを気に入っていたので、ファンドマネジャーのお話は大変参考になる有意義なものでしたし、結果として信頼を深めることができました。しかし、その場にはそのファンドで評価損を抱えている投資家が数人いらっしゃっていて、Q&Aセッションで「こんなに評価損が出てる。どうしてくれるんだ。今の説明では何ひとつ響かない。」といった声が上がったのです。上述の通り、「株価」は誰にも分からないし、誰も動かすことなんて出来ないわけです。それなのに「何とかしろ」的なクレームをしたところでどうしようもありません。ファンドマネジャーに「価格」をどうにかする力なんて無いのです。クレームを浴びせるほどにファンドマネジャーを信頼していないのであれば、さっさとお別れするべきでしょ、って強く思いました。おそらく、このクレームの主はファンドを「成績」だけで選んでいた(「成績」を材料にして勧奨されていた)のでしょう。「成績」を主な材料にしてアクティブファンドを選ぶことは、ホント、止めておくべきですねー。
ファンドを買い増すかどうか、それを「相場」や「成績」(評価益が増えた!)を主たる材料にして判断するのも適切ではないように思われます。投信会社、ファンドマネジャーの姿勢や行動への信頼が強くなった際に考えるべきだと私は思います。
ちなみに、私自身、いくつかのアクティブファンドとお別れしてきましたが「成績」で判断したことは一度もありません。
この人たちと旅を一緒に続けられないな、って感じたのです。
だから、バスを降りたのです。