1％にも満たない（推定）けれど
#お金のむこうに人がいる の ”第2部 「社会の財布」には外側がない。”の第6話、『投資とギャンブルは何が違うのか？ の一部が紹介されていました。
あなたが会社に投資したと思っているそのお金は、株を転売してくれた人の生活に使われ、会社の成長に1円も使われていないのは事実だ。そして、この転売はただのギャンブルでしかない。
”あなたが会社に投資したと思っているそのお金は、株を転売してくれた人の生活に使われ、会社の成長に1円も使われていないのは事実だ。”
これは本当にその通りです。市場で株式を買ってもその代金は会社に届くのではなく買った株式の持ち主の元へ行きます。もしかしたら、その持ち主はほんの数分前（数秒前かも？！）に買ったばかりで、その株式を売ったのかもしれません。
買った株式をそれほどの時間を置かずに「株価が騰った！売っちゃえ！」あるいは「まだまだ下がるかも？これは早めに処分、処分」という具合に売ってしまったりしたら、それはギャンブル、投機と呼ぶべき行動だと思います。また時間が相応に経ってから売る場合でも価格「のみ」を眺めたり睨んだりして判断するのであれば、ギャンブルに近いと感じます。
でも、実はこんなケースも考えられます。つまり、買った株式の転売、「近い将来、いくらになりそうか」にはあまり関心が無いというケースです。自分の買った株式を発行している会社の事業の内容、働く人たちの姿、その会社の商品・サービスに満足している人たちの様子、笑顔を見て、知って、気づいて、そうした関係の中に、「わ」の中にいる、居続けることに喜びを感じる。これはギャンブル、投機とちょっと、いや、全然違うでしょ！と僕は思います。
鎌倉投信さんの運営する #結い2101 の先日の受益者総会®️の様子、ご参加のm＠さんのブログ記事。「ファンドで保有している株式、近い将来、なんぼで売れるだろうか」という文脈は見当たりません。
結い2101の資産総額はおよそ500億円です。そのうち約3分の2が上場株式です。ですから時価にして300億円以上の株式を、市場で誰かから買ってきたんです。でも、この後、転売したらいくらになるだろうか、という目論見で買ってきたのではありません。この会社っていい会社か、いい会社であり続けるだろうか、という基準で調査して株式を買ってきたんです（ファンド全体のバランスを調整するために一部の株式を、他の誰かに売ってはいることはあります）。また、一旦株式を買った会社が「いい会社」であり続けているか、調査だけでなく対話を続けています。その対話のひとつの形が上記の受益者総会です。こうした行動こそが「投資」だ、僕はそう思います。
こうした「投資」は、証券市場での株式の売買全てを分母に取ったとしたら、きっと1％には遠く及ばないことでしょう。
ですから
株式投資の99％以上はギャンブルである。
その通りだなあ、と思います。でも、1％に満たないかもしれないけれど、株式を買っても会社に直接お金が届いているわけではないけれど、証券市場には「投資」もちゃんと存在しています。
コンサートとチケットとの関係で説明されていましたが、最近、10年以上ぶりに読み返した本にも、コンサートとチケットに喩えた話がありました。
先日、とあるコンサートに行きたいと思い立ち、あわててチケットを取ろうとしたのだが、大変な人気ですでに完売していた。
落胆したのだが、どうしても行きたかったので、やむなく初めてインターネットオークションでチケット落札を試みた。
・・・
結局、私はそのチケットを落札できたのであるが、そのときに気づいたのは、コンサートが自分にとってどのくらいの価値があるものなのかが重要なのであって、他人の出方を見て少しでも安くチケットを買うという考えは本来的に意味がないということであった。
これは山口揚平さんの”デューデリジェンスのプロが教える 企業分析力養成講座”（2008年出版）の「終わりに」の冒頭部分です。
「価値」と「価格」の違い、この本でも示されていました。
企業は、計画を練り、お金を工面し、投資をし、運営し、その成果を投資家と分かち合う。そのサイクルに参画することが投資の醍醐味といえよう。そしてそのような姿勢で投資をするならば、投資は一生続けるべき価値ある社会参加の一形態になるだろう。私はコンサートに行きたいのであって、チケットを売買したいのではないのである。音楽家も観衆に心から楽しんでもらうために演奏をするのである。
「投資とは」を考える際に、「価値」と「価格」の違いを腹の底から理解、納得することがとても大切だと強く感じます。
何度も書いていることなんですけれど、また書いてみました。
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