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”オルカン一択”と、勝負に徹底的にこだわる「カテナチオ」

それなのに僕ら人間は
どうしてこうも比べたがる?

https://www.uta-net.com/song/15894/
世界に一つだけの花(作詞:槇原敬之)

先日公開した以下の記事にとても多くの❤️を贈ってくださり誠にありがとうございます!厚く御礼申し上げます。

この記事の続編的ってわけでもないのですが書き漏らしていたなあ、と思う事がありまして。↑の記事のタイトルにもある #オルカン  について、です。

そこでまず、あらためて「オルカン」とは何か、を眺めてみましょう。


eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」 (略称、オルカン®)

以下のURLの通り、バッチリ商標登録されています「オルカン」。

オルカンとは一体何?と問われたら、どう答えるべきなのでしょうか。

ファンドの目論書(もくろみしょ)を読んでみます。

MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果を目指して運用

https://www.am.mufg.jp/pdf/koumokuromi/253425/253425_20250125.pdf

MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)なる数値。これに連動、追従するよう運用されてこそ「オルカン」が「オルカン」になるわけですね。

では、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース) って何なの?と問われたら、どう答えるべきなのでしょうか。再度、目論見書です。

MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み)とは、MSCI Inc.が開発した株価指数で、世界の先 進国・新興国の株式で構成されています。
M S CI オ ー ル ・ カ ン ト リ ー ・ ワ ー ル ド ・ イ ン デ ッ ク ス( 配 当 込 み 、円 換 算 ベ ー ス )は 、M S CI オ ー ル ・ カ ン ト リ ー ・ ワ ー ルド・インデックス(配当込み、米ドルベース)をもとに、委託会社が計算したものです。 MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスに対する著作権及びその他知的財産権はすべてMSCI Inc.に 帰属します。

https://www.am.mufg.jp/pdf/koumokuromi/253425/253425_20250125.pdf

MSCIという米国企業が算出する株価指数、それがMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)。たくさんの企業の「株価」(”価格”)を計算して出来上がります。

こんなページもあります。

左端の箱は「構成国数」ではなく「構成銘柄」のタイポでしょうね、、、
https://www.msci.com/japan/indexes/acwi

2025年1月末時点のデータがアップデートされていました。

2024年10月末との比較では、構成銘柄は40減って2,647になっています。構成する銘柄の入れ替えがあるからですね。

去年11月のニュースです。

世界全体では22銘柄を追加で採用し、57銘柄を除外する。

ちょっと勘定が合わない感じですが、上場廃止があったのかもしれません。

オルカンとは一体何? この問いに戻りましょう。

問いへの答えは

MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)に連動、追従する運用結果を得ようとする投資信託。

そして、それを得るには、構成銘柄を(ほぼ)全て保有しなければならない

ってことになります。

実際、オルカンの2024年12月末のレポートを見るとこうなっています。

https://www.am.mufg.jp/pdf/geppou/253425/253425_202412.pdf

MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)を算出するのに構成される2,647には及ばないものの、銘柄数で98.6%をカバーできています。これだけ分散していて、かつ、上位銘柄への集中度が相応に高まっているので全ての銘柄を保有していなくともおそらく大きく離れることは無いのだろう、と推測されます。

とにもかくにも、オルカンを持つということ、それは全世界の2,600社を超える上場会社の株式を保有するということになります。

ところで、このオルカンが連動、追従を目指すMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスは、「市場平均」と呼ばれることがあります。

全世界の株式市場の「株価」(時価総額)を加重平均して算出されるからです。(ほぼ)全世界の株式市場全体の株価、価格動向を平均しているから「市場平均」と呼ばれるわけです。

ですから、資産運用の運用成果を評価するのに、この数値が基準、モノサシとして使われます。それが”ベンチマーク”という言葉になります。偏差値を計算するのに使われる平均点のようなものです。

ベンチマークを上回る成果が出ていれば「勝った」になりますし、及ばない結果に終わったら「負けた」となります。

オルカン一択という投資行動

ここで”オルカン一択”について、考えてみます。オルカン一択とは、オルカンのみで資産運用、資産形成に取り組む、そんな投資行動と定義します。

オルカン一択という投資行動には、ベンチマーク、市場平均に連動する成果を求めるわけなので、「勝たない」けれど「負けない」という意図を持つものと推測されます。

世の中では「勝ちたいんや」という意思表示は、勝負にこだわっていると見られがちですよね。では「(勝ちは捨てても)負けない」という方針、構えはどうでしょうか。勝ち負けにはこだわっていない?

否、僕個人の意見ですが、この「(勝ちは捨てても)負けない」というのも、同じく勝負にこだわった姿勢、もしかしたらより徹底したこだわりさえ感じます。

ここで思い起こされるのがカテナチオです。

多くの選手が自陣に引いてしっかり守るという堅い守備で、前線の数人だけで素早く得点を取るというイタリアの堅守速攻サッカーの戦法である。サッカーにおいて堅実な試合運びを好み、内容よりも結果を重視するイタリア人らしい戦術である。

https://ja.wikipedia.org/wiki/カテナチオ

(実際のところオルカンがカテナチオほどに堅実な作戦だとは思っていません(個人の感想です)。が、ベンチマークとの優劣で「勝ち負け」を決めるのであれば、オルカン一択は確かに堅実だと思います)

端的に言うと、オルカン一択=「勝ち負け」、結果に徹底的にこだわった投資行動 と、僕には感じられます。

僕自身は、自分のポートフォリオにはオルカン、それに類する資産はこれ以上ふやしたいとは思いません。へらしたい、というか、いずれゼロにしたい、と考えています(オルカンそのものは1口も持っていませんが、その「もどき」みたいな資産はそこそこ持っています:ご興味あれば こちら をご覧ください)。

その理由は 2つです。

まず、

MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果は、不要

もう一つは、

あわせて、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース) との「勝ち負け」には全く興味がない

以上です。だから、オルカンやそれに類するものを資産にこれ以上ふやしたくありません。

さて、ここから出版の企画・編集に参加した この本 を紹介させてください。

本の第6章のタイトルは株価暴落までに計算しておきたい「マイ目標株価」です。

「マイ目標株価」という概念

「マイ目標株価」の詳細にご興味をお持ちくださったら、ぜひ本を手に取ってみてください。

この概念のエッセンスを少しアレンジすると「5年で株価が2倍になるか」ということになります。5年で株価が2倍になるためには、どんなことが必要か、を考えてみる。で、その会社にそれは実現できるか、ストーリーを描いてみる、ということになります。

株価が2倍になるということは、それだけの評価を市場から得られるか、となります。外部環境、つまり、市場の追い風等がアシストしてくれることもあると思いますが、逆風下もあり得ます。

それでも、5年で株価が2倍になるって、どういうこと? それができる会社ってどんな会社? その会社にそれができるの?

それを「自分で」探る、考えるからこそ「マイ目標株価」となるわけです。

お気づきでしょうか。このアプローチで大事なことは、株価の市場平均とくらべて「勝った」「負けた」ではありません。

大事なことは、投資している会社、企業が数年先により大きな評価を得られるかどうか、それを見極めることなのです。

もし投資信託に資金を託すなら、その運用に関わるチームが、そうした見極めのプロセスにしっかりと取り組んでいるか、に注目することになります。

どんな会社、企業に投資するか、で将来の成果が決まります。そこでは、「市場平均」、それに対する「勝ち負け」、「負けない」は関係ありません。

「5年で2倍」でなくても構いません。「10年で2倍」でもいいでしょう。それは自分で主体的に設定するわけです。

冒頭の歌の歌詞に戻ると、こんな話になるかと思います。

くらべる、ではなくて、しらべる

「しらべる」の中には「くらべる」も必要になってくるでしょうが、「しらべる」の中の作業の一つでしょう。大事なことは「考える」ですよね。

#大暴落の夜に長期投資家が考えていること  の第5章の中にこんな箇所があります。

文系脳のための投資先選びーまず「言語化」する

第5章では投資先選びの考え方が説明されていますが、最初に挙げられているのが「言語化」です。

ということで、この本を読み始めています。

誤解しないでください

ここまでお読みくださってありがとうございます。最後に一点、誤解されないよう強調しておきます。

オルカン一択、素晴らしい投資行動だと思います。

カテナチオの代表格、イタリア代表は何度も栄光を手にしてますものね。

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