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投資信託や株式って本当に「お金」なの? / 資本主義のアップデートについて考える アドベントカレンダー2024
こんにちは! 投資家のrenny と申します。
昨年に続いて”資本主義のアップデートについて考える アドベントカレンダー2024”に参加させていただきます!
現在の資本主義の課題については、様々な観点で議論がなされるようになってきています。
書籍やメディア記事でもたくさん議論され、インパクトを志としたスタートアップなどもたくさんでてきていますが、各自が「独自の目線」で理想の資本主義を語っても、社会を変える大きな潮流は生まれません。
色んな考えの人がいますが、「資本主義を変えると社会はよりよく変われるんじゃないか」という、思いは同じなはず。
色々な立場の方の「より良い資本主義」のための情報発信を集約することで、資本主義社会がより良い方向に前進するための企画です。
「投資家」を名乗っていますが、普段の仕事は会社員です。同じ会社でお世話になって約30年。その傍らで自身の株式投資、そこから得た学びや気づきをブログやnoteで発信しています。ブログを始めてまもなく20年になります。
今回何を書こうか、色々考えてましたがなかなかまとまらず、、、そこにヒントをもたらしてくれたのがこのイベントでした。
先日、田内学さんと藤沢久美さんのトークライブに参加しました。
このトークライブでのお二人のお話をお聞きして、資本主義のアップデート、そのためには「そもそも株式投資とは一体どういう営み、行動なのか」を、自分なりに主体的に考えてみることが大事なんだろうな、という認識を新たにしました。
さて、2024年、NISAとかオルカンとか、こうした言葉があっちゃこっちゃで聞かれましたよね。ついには、ヒット商品1位にまで選ばれてました。
田内さんはライブの中で、こういう状況を生み出したのは「不安」だ、不安ビジネスだとご指摘でした。
お金、将来に対する「不安」。田内さんはnoteでこんな記事を書かれていました。
「不安ビジネス」という言葉がある。
「みんなやっている。やらないと損だ」といわれると焦りや不安を感じる。物にあふれている現代において、消費者にお金を使わせるために、不安を煽って需要を生み出す戦略がよく使われている。
投資や教育などの分野は、こうした不安ビジネスのターゲットにされやすい。「みんな投資していますよ」「みんな勉強していますよ」と言われると、つい気になってしまうものだ。
「みんな投資していますよ」という言葉で不安を煽り、金融商品という「カネ」を売っている、と。
カネの不安を和らげるためにカネを買い求める
こんな図式です。
しかし、これっておかしくないか?というのが僕の疑問です。
NISAでみなさんが買っている、保有している投資信託や株式って「カネ」なのか?
確かに証券会社の口座を見れば、「xxxx円」と表示されています。一見すると「カネ」だと認識してしまうかもしれません。もちろん、僕もそう認識している面があります。
でも、実は違います。そこに表示された「xxxx円」は、あくまでそのタイミングでの評価(時価)です。そして、その数値は、今仮に換金したら、そのぐらいになりそうです、という目安にすぎません。実際に換金を指示すれば手元に戻ってくる「カネ」の実際の金額は、そこに表示されていた金額とは違ったものになることが普通です。
さらに言えば、そのまま何も触れずに1年経ったとしましょう。そこで目にする金額は変化しているはずです。大きく増えていることもあるでしょうし、逆に大きく減っているかもしれません。あなたの資産が「カネ」であれば、そんなことはまず起こりません(預貯金なら金利でちょっぴり増えているかも)。
でも、それなのに、証券会社の口座に表示されている金額をあたかも「カネ」であるかのように、多くの人たちは錯覚しているのではないでしょうか。
それがゆえに、株価が下がって表示されている金額が目減りしたりすると、不安がさらにかき立てられてしまうのでしょう。
今年8月に日経平均が大きく下落し、為替が円高にふれた際に、証券会社の自分の残高を見て「カネが減っちゃったじゃないかー」と感じた人も少なくなかったはずです。
お尋ねします。
僕たちはNISAや証券会社で何を売り買いして、何を保有しているのでしょうか。
ハッキリしていることが一つあります。僕たちが保有しているのは「カネ」じゃない、ってことです(そういえば、株式投資の月刊誌は”マネー誌”って呼ばれてますけどね)。
株式という事業に参加するチケットを売り買いしたり、保有しているのです。
単純化してしまうと、そのチケットを欲しがる人が増えればその価格(株価)は上がり、欲しがる人が少なくなれば価格(株価)が下がる。そういうことです。
多くの人が欲しがり続けるチケットを長く持つことで、その資産の評価は大きく上がる可能性があります。もちろん、その逆も然りです。
2024年日本最大のヒット商品?オルカンの中身も2,615種類のチケットの詰め合わせです。
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オルカンを1口でも保有すれば、2,500以上の種類の企業、その企業が営む事業に関わるということです。オルカンをチケットではなく、証券会社の口座に表示されている時価を「カネ」と認識している人が、実はメチャクチャ多いのではないか、と勝手に想像しています。
オルカンでもいいです、他の投資信託でもいいです、個別企業の株式でもいいです、株式という資産を持つのなら、考えてみてください。
「そもそも株式投資とは一体どういう営み、行動なのか」を、自分で主体的に。
最初にご紹介したトークライブで、藤沢さんが「コト」という言葉を出されました。
株式投資という営みを、「カネ」の話ではなく「コト」だと考えてみればどうなるか、そんな問いが生まれました。
株式投資が事業に参加する「コト」だとすれば
株式投資で手に入れるのが「カネ」ではなく、その事業に参加する「コト」だとすれば、投資を決めるのに何が必要になりますか。それは人それぞれだと思います。
投資する会社(投資信託)が、安定的にボチボチ儲かってくれればいい、ドカンと大きく儲けてもらいたい、事業を通じて社会の課題を解決してほしい、
参加する動機は会社、事業によって違ったものになるでしょう。
そこで一つ考えていただきたいのです。
ある会社、A社に投資するかどうか、をあなたは検討しています。
「不安」だからA社に投資するってことを考えますか?
将来が不安だからA社に投資する・・・
僕の場合ですが、不安だったらA社には投資しません。
つまり、「不安」から始まる株式投資ってしんどい、というか、無理があるって思うんですよね。
なぜなら、株式投資の成果を得るには時間がかかるからです。不安から始まる株式投資は長続きしません、結果、成果を味わうことができない。株価の上がった下がったを当てる「投機」には時間を要しませんが、それで勝ち続けることは至難の業でしょう(ごく一部にそれが得意な人たちがいますが)。
株式投資を「不安」というレンズで見ている限り、株式投資=「カネ」という認知に囚われ続ける。ずっと「今、ナンボ」の無間を抜け出せず、ずっと「カネ」です。
株式投資に必要なもの
「不安」から始まる株式投資は長続きしない、成果を得るのは難しい。であれば、何が必要なのか。
それは「希望」や「夢」そして「信頼」だと思います。
A社の事業に希望や夢を託したいから、信頼できるから、その会社の事業に参加するチケットを長く持つことができる、同じ船に乗っていられるのだと僕は思います。最初は「カネ」の話かもしれません、でも時間と共にその株式投資が「コト」になっていくと思うのです。
希望や夢、信頼が無くなったら、不安が生まれたら、そのチケットを手放し、船から降りる。次の船を探せばいいのです。
そうした営みが資本主義を進歩させる、アップデートさせることになるはずです。
株式投資って「カネ」ではなく「コト」(体験や学び)なのだ、僕はそう考えています。
残高を見つめるばかりでは「不安」は、簡単に消えないのでは?
資本主義の根幹となる営み、行為の一つが「株式投資」です。
自分にとって、その営み、行為がどんなものであるのか、何がその支えになるのか、それを折々に考えてみることが資本主義をアップデートし続ける原動力になる、僕はそう考えています。
希望や夢、信頼から始まる株式投資を長く続けていくと、時間と共にそれらの解像度が高まっていくように感じています。
僕自身、2024年、希望や夢を託せる会社、チームに出会える「コト」がたくさんありました、また2025年もより多くのそんな機会が得られるのを楽しみにしています。その積み重ねで、僕なりの資本主義をアップデートしていきます!
最後までお読みくださり、誠にありがとうございました!
メリークリスマス!
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