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季節が君だけを変える 月次レポートだけが投資を変える
Wikipedia によると33年前のちょうど今頃、シングルカットされたそう。
この記事のタイトルをどう付けようかと思っていたら、ふと思い浮かんだのがこの曲のタイトルでした。
「だけ」の位置が違うんですけどね。
季節が君だけを変える
月次レポートだけが投資を変える
違ってます。
月次レポートのことを書くぞ!と思ったきっかけは竹川美奈子さんのこちらの動画です。
投資信託の情報開示資料を読んでみようの第3回。読んでみるのは、運用報告書と月次レポート。この動画の中で投資信託の月次レポートを
自由度が高い
そして
ユニークなもの、かなり詳しく・丁寧に書いてあるものもある
と説明されています。
丁寧に書いてあるもの「もある」
そうなんですよね、丁寧に書いているとは感じられない月次レポートも沢山あるのが実状です。
ユニーク、詳しい!、丁寧!と私が感じる月次レポートを発信しているファンドをご紹介します。
まずは、こちらです。
スパークス・新・国際優良日本株ファンド 愛称:厳選投資
一例です。
今年6月末時点の月次レポートです。
株式市場では、インターネットやハイテク企業を中心とした「成長株」によるパフォーマンス優位が続いています。 これら成長株には高い株価収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)が付けられているのが特徴ですが、「低位株」の騰 落率を過去10年以上に亘って大幅に上回っています。割高なはずの成長株の好調がなぜ続くのでしょうか。私どもの解釈は以下のとおりです。
株価が関連していますが「騰がる、下がる」という「相場」のお話ではありませんんね。
ここ2年の月次レポートのタイトル、勝手につけてみました。読み返してみたくなるだけの内容のあるものがずらっと並んでいます。
次のファンドはこちらです。
農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね
最新のレポートです。
ファンドの投資先の1社について、5ページ使って詳しく丁寧に説明されています。
こちらも過去の月次レポートを「また、読んでみたい」って思わせるくらいの熱を感じます。
3つ目のファンドはこちらです。
結い 2101
最新のレポートです。
投資先の紹介、投資先の社員の方も登場、ファンドを運営している鎌倉投信の社員の方も登場。内容が非常にユニークです。
株式市況、「相場」の変動期等では、特別編成になっていますが、通常、月次レポートの巻頭に載せられているのは、投資先の「いい会社」。どんな視点で鎌倉投信の皆さんが「いい会社」と判断して投資するに至ったが説明されています。
月次レポートで「相場」をどれだけ語るのか
ほとんどの、丁寧に書いているとは感じられない月次レポートでも書かれている内容が「相場」のお話です。今月どうだった、今後こうなりそう、その種のことはほとんどの月次レポートで述べられています。ただ、思うのです、1ヶ月単位での「相場」の話ってそんなに意味あるのかしら、って。
当社のメイン商品であるひふみ投信は、2008年の設定以来、投資信託の時価にあたる基準価額が約5倍になっています。10年ぐらい保有していれば資産を3倍程度にできているはずなのですが、先日、大変残念なデータが出てきてしまいました。当社の投信を保有した投資家のうち、「5~7%程度の利益が出た時点で売ってしまう」という人がかなりの割合に達していたのです。
https://media.moneyforward.com/articles/5508?page=3
”ひふみ”の藤野さんのインタビューからです。
で、ひふみプラスの最新の月次レポートを見てみますと、投資先の紹介が1ページ設けられていますが、コンテンツのほとんどが「相場」を語っているように感じられました。
思うんです。毎月、毎月、月次レポートをチェックする人は少ないのかもしれませんが、そこに載せられるコンテンツの多くが「相場」の話だとすると、価格、株価に注意がどうしても向いてしまうのでは?と。それが「5~7%程度の利益が出た時点で売ってしまう」につながっているのでは?と。つまり、「値動きのスリル」を掻き立てているのでは?と。
上で紹介した3つのファンドの月次レポートは、知らないことや気づかないことをレポートを通じて感じ取るという「知のスリル」のようなものが感じられます。そして、時間が経った後で、もう一度読み返そうか、と思わせる質を感じます。
株式投資と聞くと、値動きを連想する人がほとんど、というのが実状だと思います。しかし、違う!そうじゃないよー、って投資のイメージを変えられる力が、投資信託の月次レポートにはある、と私は思っています。
月次レポートだけが投資を変える
これは少し大袈裟です。でも、ユニークな、詳しい、丁寧な、「知のスリル」を提供する月次レポートが主流になってくれば、投資のイメージは変わる、って思うんですよね。「相場」で「値動きのスリル」を掻き立てるのではなく、自分の目や耳では気づけない「知のスリル」を提供する月次レポート、増えてくれい!