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自分の保有している投資信託、ファンドの「機能」を理解していますか? その2

このノートの続編です。実は、本当につくりたかったのはこれから述べることなんですが、前フリが上のノートです。これから述べることは、一部で不快に感じる方もいらっしゃるかもしれません。ま、でもつくってみようと思います。

さて、SNSを見ていると、ここに来て急激に増えた印象があります。

つみたてNISAを始めたばかりの「つみたて兄さん」「つみたて姉さん」。これらの兄さん、姉さんの投稿は、日々の増えた!減った!といった具合で、腰の据わったinvestorとは随分と違っています。それは仕方の無いことです。最初は誰もが「つみたて兄さん」「つみたて姉さん」。時間をかけてinvestorになっていくものですから。つみたてNISAの大きな欠陥の一つは、「つみたて兄さん」「つみたて姉さん」からinvestorへの変身を、兄さん、姉さんの「自助」に任せきりであることでしょう。

「株式投資とは」に対する正しい理解、納得が覚束なければ、いつまで経っても「兄さん」「姉さん」に留まってしまう、それは株式市況の動き(それが騰がろうと、下がろうと)で市場から立ち去る可能性を残したままだということです。

「つみたて兄さん」「つみたて姉さん」がinvestorに変身するための、最初の一歩は、「適度に分散された株式のポートフォリオを長期で保有すると資産形成につながりやすい、端的に言うと、儲かりやすい」、この理由を腹の底から納得することだと思います。

重要な役割を果たすのが、企業と市場です。

株式の価値の源泉は、企業が生み出す利益、価値です。持続的に価値をつくり出し続けることができるか否か、それが企業の、株式の価値の源泉です。ただ、企業だけではダメなのです。その価値に対して価格を付ける場所、市場です。価値を持つ株式に価格を付けて取引してくれる、そんな流動性があることで市場での取引は活発になります。多様な見方を持って参加者が市場に参加することで株式に時々刻々と価格が付けられていくのです。市場が活発に機能することで、企業が新たな資本を調達しやすくなり、新しい挑戦に積極的に取り組むことができるようにもなります。

投資信託の「機能」は、企業と市場に活力を与えることです。

インデックスファンドの「機能」

インデックスファンドの「機能」、市場への貢献と言い換えましょう。インデックスファンドは、市場に対して流動性を提供するという貢献はしています。非常に立派な貢献だと思います。
しかしながら、個々の企業の価値に対して意見を出すという面での貢献はありません。ゼロです。他の参加者が付けた価格にただ追随するのみです。他の投資家が価格>価値と判断している企業の株式も、投資すべき資金が新たに入ってきたら、買い入れるのです。結果、株価が維持されたり、場合によっては、上昇さえするわけです。価格>>>価値という後押しさえするわけです。アクティブ運用に投資機会を提供している面もあるものと考えられます。
価値に対して意見を表明するという貢献をしていないのですから、平均の成果「しか」得られないのは当然でしょう。逆に言うと、意見を表明せずに誰かの判断に追随するだけだからこそ平均の成果を得られるわけです。

アクティブファンドの「機能」

アクティブファンドは流動性を提供し、個々の企業の価値に価格を付けるという貢献をしています。価値>価格だと判断すれば買い、価値<価格だと判断すれば売り、価値を見出すことができなければ見向きもしない、そのような意見表明を市場で行っているわけです。

たとえばIPO。新しく株式が公開されるPublic Companyにどんな評価を与えるのか、大変難しい課題だと思います。ここでリスクを取って評価するアクティブ投資家がいることで価格が付けられるわけです。こうして付けられた価格を参考にして、新しい会社、Public Companyが登場するわけですから、新しい製品、サービスを生み出し、それを更に進歩させるような土壌を整えるのに、アクティブファンドは一役買っている、貢献しているのです。

自ら「選び出す」「判断する」というリスクを取っているのです。だからこそ、平均を超過するリターンがもたらされる(それはプラスだけでなくマイナスのこともあり得ます)のです。

私自身、「選ぶ」「判断する」というリスクを取りたいと考えているのでアクティブファンドを活用しています。しかし、これはどちらかが優れているという議論ではないことは、それぞれが市場にどんな貢献をしているかを理解できればお分かりになると思います。重要なことは、上記のようなインデックスファンド、アクティブファンドの「機能」をしっかりと理解して、納得していることです。ただ、自ら「選ぶ」「判断する」投資家が存在していることが市場の機能に貢献しているのは間違いありません。

アクティブファンド全体を総和すれば、コストの分だけリターンが市場平均に劣後するのは当然の帰結です。それを捕らえて、成績だけを見て「アクティブファンドなんて・・・」「アクティブファンドがー」とか、それって違うんじゃないの?って思わずにいられません。アクティブファンドの選び方は確かに難しいかもしれません。インデックスファンドのそれとは大違いでしょう。でもね、インデックスファンドな皆さんが敢えて放棄している選択に、アクティブファンドは挑戦しているんですよー、って。

手間をかけずに市場平均並みのリターンを確保できる、それをもって「インデックスファンド、最強!」って理解、認識するのもいいでしょう。人それぞれですから。自ら「選ばない」「判断しない」というのも立派な選択だとも思います。しかし、アクティブファンドやアクティブ投資家の市場に対する貢献(それは、より儲けたい!という欲から来ていることもあるとは思いますが)に対して、正しく理解してもらいたいなあ、と思います。

自分の保有している投資信託、ファンドの「機能」を理解すること。それが「つみたて兄さん」「つみたて姉さん」からinvestorに至る第一歩になると思います。

次のノートもinvestorを目指すのに参考になるかもしれません。
良かったらぜひ。


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