新解釈 コーポレートファイナンス理論――「企業価値を拡大すべき」って本当ですか? (著・宮川壽夫さん)
res さんのこちらのツイートをきっかけに買いました、読みました。
今年こんな記事をつくりました。
「企業価値」というワードが響いたわけです。
本のタイトルのこの問いに吸い寄せられました。
非常に楽しい本でした。著者の宮川さんのボケ?ツッコミ?に相当する(カッコ)の表現、また、独特の喩えも楽しめました。
独特の喩えと(カッコ)なツッコミの一例ですけど
いわゆるビジネス書で「鬼瓦権蔵」は初見です笑
企業価値、キャッシュフロー、資本コスト。あらためて自分なりに整理することができました。
”「企」業”ではなく”「事」業”が資本コストを決める。そうだね、って、とかです。
ここでいう「そんなこと」とは、最適な資本構成のために資金調達の方策を考えること、つまり、バランスシートの右側について考えることを指しています。
資金を調達することは確かに大切ですし、それなくして事業は始まりません。しかし、資金を有効に配分して確かな実績を積み重ねる、それが企業価値を高める、ってことなんですよね。
第10話の「配当? 払ったことないですけどそれがなにか?」、
第11話の「現金? 持ってないですけどそれがなにか?」
は、多くの人に読んでもらいたいなあ、と思いました。
本は第13話までありますが、13のお話の後、最後にある「エピローグーゴーギャンの絵のように」が非常に印象的でした。また読み返したいな、と思いました。話の「まくら」が職務質問になっているところが、このエピローグをより強く印象づけた気がします。
企業価値を探究することの面白さ、醍醐味はどこにあるのか、それを感じました。
エピローグを除く13の話のタイトルはすべて「問い」になっています。
「?」です。
エピローグの締めに向かっていく中でこう述べられています。
そして、エピローグはこの言葉で結ばれています。
企業価値に限らず、何かを探究するということは、疑問を抱き、考え続けることだと思います。疑問を持つためには関心のアンテナを広げることが大切。また思い込みに陥らない柔軟性も持っておきたいものです。
大変楽しい読書体験となりました。res さんに深く感謝です。
大阪公立大学商学部 宮川壽夫研究室
本を読む前に著者の「宮川壽夫」さんを検索したらHitしたのがこのページでした。
こんなページがありました。
学生のうちにこうした学びの経験、体験が得られるというのは素晴らしい。
企業価値を探究する、企業価値について考えてみる 学びの機会、場がもっともっと増えてくればいいのに。別に大学じゃなくてもいいと思うんです。
ちょっと脱線します。
NISA狂騒曲を聞いていると(見ていると)、思うことがあります。
「株式投資に税制優遇を増やせば、企業の競争力が高まるんだ」ってな筋があるように思われてなりません。が、お門違いだと感じます。
鎌倉投信の鎌田さんのツイート。
無理がある、どころか、ありすぎる、と感じます。
コーポレートファイナンス の「学び」が足りないから、こんな筋違い、お門違いが出てきてしまうのでしょうね。
コーポレートファイナンスを学ぶ、自分なりの疑問を持つ。
それらに非常に有益な一冊でした。