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JPXプライム150指数、1回目の入れ替え後を眺めてみました
突然ですが、 #JPXプライム150指数 をご存知でしょうか。
JPXプライム150指数とは
昨今、日本企業の価値創造の実態について注目が高まっていますが、例えば、東証プライム市場においては将来の価値創造の期待を表すPBR(株価純資産倍率)が1倍を超えている上場企業は約半数に留まっている状況であり、株主資本コストや株価を意識した経営の実現が求められています。
こうした状況を踏まえ、今般、東証プライム市場に上場する時価総額上位銘柄を対象に、財務実績に基づく「資本収益性」と将来情報や非財務情報も織り込まれた「市場評価」という、価値創造を測る二つの観点から選定した銘柄を「価値創造が推定される我が国を代表する企業」と位置付け、これらの銘柄により構成する新たな株価指数「JPXプライム150指数」を開発しました。
なお、上記のうち「資本収益性」については、ROE(株主資本利益率)と株主資本コスト(投資者の期待リターン)の差である「エクイティ・スプレッド」(注1)を、「市場評価」については株価をBPS(1株当たり純資産)で割った「PBR」(注2)を指標としてそれぞれ採用します。
ポイントをいくつか挙げてみます。
その1 東証プライム市場に上場する時価総額上位銘柄を対象
東証プライムに上場している会社数は 2024年11月1日 時点で 1,644です。
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では、この上位とはどこまでを指しているのでしょうか。
選定基準日における、プライム市場時価総額上位500銘柄を対象
時価総額で上位 1/3 以上に入っている必要があります。
「選定基準日」ですが、現在のJPXプライム150指数を構成する150社が選ばれたのはいつなのか。
定期入替に係る基準日(以下「定期入替基準日」という。)は、毎年 6 月最終営業日とし、追加・除外リストを 8 月最終営業日の 5 営業日前に公表する。
ということで、2024年6月末の TOPIXに連動するETF から組入比率491位から510位までの会社を拾ってみました。
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この辺りの会社までが選定対象に入ってくるということになります。
その2 財務実績に基づく「資本収益性」
財務実績に基づく「資本収益性」を基に150社のうち、半分が選定されています。その「資本収益性」とするのが エクイティ・スプレッドです。
エクイティ・スプレッドとは・・・
エクイティスプレッドとは、株主の期待する利益率をどれだけ上回っているか測定する指標です。計算式は「エクイティスプレッド(%) = ROE – 株主資本コスト」
株主が期待する利益率 と 株主資本(簿価)に対してどれだけの利益を実現しているかの率 とを比較して、その差分が「エクイティ・スプレッド」(以下ES)となります。
ESが大きいほど、株主の期待を超える収益性を実現できている、ということになります。すなわち株主から託された資本を上手く活用して「価値創造」できている、と推定するわけです。
その3 非財務情報も織り込まれた「市場評価」
「市場評価」については株価をBPS(1株当たり純資産)で割った「PBR」(注2)を指標として
株価が1株当たり純資産であるBPSを上回ると、PBRは1倍を超え、価値創造が推定されます。
とサラッと書かれていますが、PBRの数値は、株式市場が株主資本を簿価以上に評価している(1倍以下なら簿価以下ですが)度合いを示しているということになります。ちょっと乱暴かもしれませんが、市場が示す、その会社の株主になりたい度の高さみたいな感じです(<ええのんかな)。
このPBR基準でも75社が選ばれます。
エクイティ・スプレッドで選ばれた75社
まず、資本収益性(エクイティ・スプレッド)の基準で上位75社が選別されました。こちらのETFの2024年9月末のウエイトを元にして作った表です。
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ES基準で選ばれた75社のTOPIXでのウエイトを合計すると、26.41%になります。
ウエイトが一番大きくなったのが、ソニーグループ、キーエンス、リクルートホールディングス、伊藤忠商事が上位10社(2024年9月末)から選定されています。
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最もウエイトの小さいM&A総研ホールディングスは
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TOPIX連動型のETFの組入比率では803位となっています。時価総額は大きいものの浮動株比率等でTOPIXでの比率が下がっているのでは、と推測されます。
業種別で括ってみました。
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電気機器、情報・通信業、卸売業がトップ3となっています。
社数で見るとこうなります。
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社数で見ると、情報・通信業、サービス業、電気機器の順となります。
PBRで選ばれた75社
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PBR基準で選ばれた75社のTOPIXでのウエイトを合計すると、32.48%になります。
したがって、この指数を構成する150社のTOPIXでのウエイトを合計すると58.90%となります。TOPIXと約6割弱が重複している、ということになります。
トヨタ自動車、日立製作所、三菱商事、信越化学工業が、PBR基準で選ばれています。
業種別で見るとこうなります。
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電気機器、輸送用機器、化学の順です。
社数で見るとこうなります。
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電気機器、化学、機械の順です。
150社全体での業種の分布、社数はこうなっています。
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1回目の入れ替え
2024年6月末の基準で20社が入れ替えられました。
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黄色で塗ったのが新しく加えられた20社、水色で塗ったのが除外された20社です。
興味深いのは海運業。今回の選定で3社全てが除外されました。
日経平均の225社からは何社選ばれたか
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150社のうち96社が日経平均株価と重複しています。96社の日経平均株価でのウエイトは81.18%に達しています。このためTOPIXよりも日経平均に近い値動きとなる可能性が高そうです。
JPXプライム指数を毎月定点観測しています
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Yahoo! ファイナンス 2024年11月1日時点のデータから
Yahoo! ファイナンスの2024年11月1日時点のデータを150社分集めてみました。
集めたのはPER(予想)とPBRです。
こちらの記事をご覧ください。PBRとPERからROEが試算できます。
ROE試算結果を並べてみました
有料パートから、この記事をつくるのに集めた元データ、Excelファイルがダウンロードできます。
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