ライトノベル新人賞で一つ上を目指すには
気軽に参加できる蠱毒でお馴染み、公募についてです。
先に断っておくと、以下で綴るのは出版社がホームページ上で開催するライトノベル新人賞についてです。
一般文芸や児童文学の公募、webサイトのコンテストに挑戦している方々のご期待には恐らく添えません。あしからず。
公募についてなぜ語るのか
公募には様々な夢が集まります。
受賞、賞金、出版、重版、庭付きの一軒家、ふわもふのポメラニアン。応募フォームのボタンを押した瞬間に、脳内の狸が手に負えない速度で皮算用を始めますよね。
しかし、なかなか上手くいかないのが人生。自慢の我が子は容赦なく切り捨てられ、選評でさらなる追撃を浴びせられます。そんな悔しい思いを繰り返し、それでも挑み続ける公募勢を見て気付きました。
僕は、夢を掴む為に頑張っている人が大好きです。
選考発表があるたびに、ツイート検索をして「Chu! FF外からごめん」とばかりにいいねを押しています。可能ならばそんな方達と一緒に受賞して、出版業界を盛り上げていきたいです。
決して、自著『さよなら私のドッペルゲンガー』の宣伝がしたかった訳ではありません。
恐ろしくさりげない宣伝、オレでなきゃ見逃しちゃうね。
賢明な読者の方々はお気づきかもしれませんが、これは打算が含まれた記事です。とはいえ、創作論を語りたがらない新田が本気で公募について綴りました。
三文字くらいは参考になる部分があるかもしれませんし、もしかしたら一つ上の選考に進めるきっかけになるかもしれません。
なので、自著の宣伝については僕のことを『番宣でバラエティに出てきたイケメン俳優』だと思って受け入れてください。
ちなみに『ぜってぇ受賞する方法!』と銘打っていないのは、そこまでの実力やノウハウがあれば僕はもっと大成しているからです。察するのもコミュニケーションにおいて大事な要素です。
前置きが長くなってしまったので、そろそろ本題に入ります。
①公募における評価項目について
A.文章力
B.ストーリー・構成
C.キャラクター
D.設定
E.オリジナリティ
表現の違いはあれど、見られるのは大体この五項目ですね。それぞれの所感について綴っていきます。
A 文章力
出ました文章力。よくTwitterでも話題になる概念。定期的に炎上しすぎて心の中の婆さんが「やあねぇ爺さん、文章力はさっき炎上したばかりでしょ」と呆れる始末。
中には「文章力に村でも焼かれたんか?」と言いたくなるような過激派エルフもいらっしゃいます。
それほどまでに、文章というのは各々で正解が確立された項目です。イラストや漫画はプロとの力量差を自覚しやすいのですが、文章は主観による判断が難しいんですよね。
では、そんな曖昧な項目で何が求められるのか。僕は『物語の魅力が伝わる文章』だと思っています。
同じ恋愛モノでも、青春全開のハイテンションラブコメディと心のすれ違いに重きを置いたヒューマンドラマでは、求められる描写や厚みが違います。
ネットに蔓延る『曖昧な文章力の定義』に惑わされず、物語の魅力が伝わる文章を意識するのが受賞への近道なのかもしれません。
個人的にはどのような物語を書くにせよ『主語を明確に』『代名詞を減らす』『同じ助詞を連続させない』『同じ単語を近い場所に配置しない』等のポイントは意識してます。
まあ文章に関しては、僕よりも上手い人がゴロゴロ居てます! 脊髄反射で文字を綴りがちな新田は中々勝てません!
なので、深堀りせずに次へ進みます。
B ストーリー・構成
ここは見たまんまですね。ストーリーや構成についての項目です(情報量ゼロの文章)。
情報開示のタイミングが適切でなかったり、設定資料集を送り付けてしまったり、前作の登場キャラクターが少ないからといって「じゃあ今作は三倍にするか! ガッハッハ」と書き散らして渋滞すると評価を落とされがちです。お前のことだぞ新田。
また、起伏やメリハリ。テーマやメッセージといった評価基準も設けられていると思います。ストーリー・構成については語るべき要素が多すぎるので、僕のnoteを読むより脚本術の書籍に触れ、考えながら執筆する方が間違いなく勉強になります。
こんなことを言ってしまうと「このnoteの存在価値とは」と糾弾されてしまいそうなので、僕が意識している点をいくつか挙げておきますね。
B-1 冒頭でしばき回す
数百〜数千の応募作がひしめく一次選考。人員や時間が限られる中、すべての応募作を頭から尻まで精読しているとは考えにくいです。物語の半分、もしくは三分の一あたりで判断されているかもしれません。
とくに現代のエンタメは加速傾向にあり、序盤の面白さがより重視されています。名著とされる作品であっても、今の評価軸では一次選考を通過できない可能性も否めません。
そんな時代を生き残る為には、冒頭~序盤で読者をしばき回す必要があります。昔から「冒頭に死体を転がせ」とはよく言いますが、今はもう少し工夫を凝らさなければいけません。
とはいえ、奇をてらわなくても大丈夫です。「この物語は面白くなりそうだぞ」と期待させてしまえば勝ちなので、方法は作家の数だけ存在します。
僕は一万字に達する前に『どのような主人公が、何をする物語かの明示』『読者を牽引する謎』を必ず盛り込み、三万字に達する前に『冒頭と比較して、主人公を取り巻く環境にどのような変化が訪れたのか』を見せています。
あとは真ん中でなんかいい感じにガァーッてひっくり返して、クライマックス手前でドワァーとピンチにさせてヤバい感じにしています。
これはあくまでも一例なので、参考にするしないはお任せします。ただ、序盤から加速する物語の方が絶対に有利です。
参考になった書籍のリンクも貼っておきます。
B-2 序盤で提示した『大きな謎』で牽引しつつ『小さな謎』の解決をいくつか与える
謎が無い物語も存在しますが、公募に挑戦するならば何かしらの謎を設定した方が良いでしょう。疑問からくる好奇心は面白さに直結しやすいからです。
これはミステリー小説を書けという意味ではなく、キャラクターが抱える大きな秘密だったり、暗躍する謎の組織の目的だったり、キヨスクの店員はいつトイレに行っているのか? みたいな感じのやつです。
とはいえ、謎の開示を引っ張り続けると「いいから早く教えやがれ!」と読者をイライラさせる要因になってしまいます。RGの「あるある言いたいー♪」が3時間続くようなものですから。はよ言え。
このストレスを回避するためには、小さな謎をいくつか配置するのが効果的でしょう。小さな謎を要所要所で解決させれば、読者は満足感を得られるからです。そうして上手くストレスをコントロールしつつ、クライマックスまで大きな謎で引っ張ってあげてください。
ただこれは情報開示のタイミングが間違っていると成立しないので、意外と難しかったりします。色々な作品を参考にしながら、自分なりに謎を配置してみましょう。
※ちなみに、キヨスクには『トイレ交代要員』がいらっしゃるらしいです。
C キャラクター
個人的には一番大事な項目だと思っています。キャラクターが魅力的なら、ファミレスで会話するだけのシーンでも面白くなります。この項目に関しては、自信がある作家さんも多いのではないでしょうか。
ただ、作者の寵愛を受けたキャラクターが他者から見ても魅力的かどうかはわかりません。むしろ、盲目的な愛によって視野が狭くなり「うちの子はすでに最高なんだよ!」と思考停止してしまう恐れもあります。
いやでも、わかるよ。
うちの子がいちばん可愛いからな。
うちの子バトルしようぜェ……!
なので、すでに可愛いあなたの子が、もっともっと魅力的に見えるかもしれない方法を綴ります。
C‐1 魅力的なキャラクターとは
様々な作品が生まれ続ける令和の世で、誰も見た事がないキャラクターを生み出すのはほぼ不可能です。
『産んだ卵を背中で育てる幼馴染』や『尿意を催すと額のランプが点滅する妹』のような大喜利モンスターだって、webの海を漁れば存在するかもしれません。
そこで、差別化を図るために大事な要素として会話文を強く推します。
あくまで一例ですが、主人公が「〇〇を頼む」とお願いするとします。感情が乏しいロリであれば「ん」と短く頷きますし、天真爛漫アホガールなら「はいはーい! 腕が鳴るなぁ、略してうでなるッ!」とアホ丸出しで応えるかもしれません。
キャラクターの個性により相槌一つとっても変化するので、深い考えもなく「うん」「わかった」だけで場面を進めるのはとても勿体ないです。
『このキャラクターはどのような言葉を選ぶか』を常に意識して、工夫を積み重ねていけば、自ずと個性が増すはずです。
また、言葉選びを追求するには、行動原理やバックボーン、好き嫌いや仕草に至るまでを考えておく必要があります。ここまで実践できれば、主人公やヒロインの言動に説得力が生まれているでしょう。
キャラクターが活き活きしていたら、物語もぐっと魅力的に映ります。鬼に金棒ならぬ、橋本環奈に自撮り棒ってやつですね。
これは職場で言ってめちゃくちゃ滑ったやつなので、使いたい方がいれば差し上げます。
C-2 会話の立ち位置
言葉選びとは別に僕が意識しているのは『会話の立ち位置』です。
それっぽく言ってますが、僕も「会話の立ち位置?」としっくりこない状態で書いています。このままだとお互いに得しないので、強引に進めますね。
たとえば、真理恵というツンデレヒロインが居るとします。真理恵は主人公が大好きなのですが、上手く気持ちを伝えられません。
「べ、別にアンタのことなんて好きじゃないんだからね!」
もはやギャグ漫画でもギリギリの台詞ですね。好意の確定演出すぎる。ぱちんこCR真・北斗無双でいえばキリン柄保留&運命の女リーチくらいアツい。
そんなCR真理恵はツンデレの例に漏れず、主人公にキツく当たってしまいます。主人公が理解のある彼くんなら良いのですが、残念なことに馬鹿で鈍感です。好意が伝わらない焦りや自己嫌悪も相まって、真理恵は「ボケボケしすぎよ!」や「いい加減にしなさいよ!」などと主人公にツッコミを浴びせます。
さて、もはや暴力ツンデレパチンコと化した真理恵には幼馴染がいます。彼は家族のように気心が知れた存在で、何でも素直に相談できる相手です。
幼馴染の前では、真理恵のツンデレは鳴りを潜めます。「私の可愛さなら、主人公クンなんてすぐに落とせるわ! 北斗無双のロゴみたいにね!」などと軽いボケを挟むかもしれません。
この前提で物語を進めると『主人公と会話する真理恵はツッコミ役になり、幼馴染と会話する真理恵はボケ役に回る』といった、異なる役割が浮き彫りになってきますよね。
これが、僕が大事にしている『会話の立ち位置』です。
Aに対しては強く出られるからボケ、Bには振り回されるのでツッコミ、Cとは性格が似ているので同調……のような会話の相関図を作ってしまえば、組み合わせによる化学反応を狙えます。
もちろん、どの相手に対しても同じスタンスで受け答えをするキャラクターも存在します。ただ、全員が属性に沿った受け答えしかしない小説は『記号的なキャラクターが散見される』と評価されてしまうかもしれません。
注意点としては、強調しすぎると「キャラクターがブレている」と指摘されてしまう可能性がある点です。
実際の会話は相手によって態度や立ち位置を変えるはずですし、創作においても変化をつける方が深みが生まれると僕は思ってますが、もし実践して指摘されたらごめんなさい!
D 設定
個人的に苦手であり、語るのも難しい項目だ。
後述のオリジナリティと被る部分もあるので飛ばします。
E オリジナリティ
独創性。
それは作家志望者を思考のドン底に突き落とす悪魔のワード。『新時代のエンターテインメント』や『まだ見ぬキミだけの物語』を求められているはずなのに、受賞作のあらすじに強烈な既視感を覚える。おい、責任者を呼べ。話が違う。俺こそがエンターテインメントだぞ。
そんな経験、誰しもがあると思います。
でもきっと、それらの受賞作は独創性に優れています。公募によって独創性の定義は異なると思いますが、基本的には『その公募における現在の王道を、一歩外した物語』に留めるのが無難です。それだけで、作者の独創性は十分に発揮できるからです。
王道を一歩外した設定については『ジャンプ+』の連載陣がめちゃくちゃ強いです。ありえないくらい上手い。ここで「おいおい漫画じゃねえか、 聞きたいのは小説の話なんだよ!」とお怒りになった方々。
そのうるさい唇を塞いでやるよ……。
いや、冗談抜きで凄いです。『魔法少女モノ×ベンチャー企業』や『殺し屋による異能バトル×婚活』のように、王道要素をベースに新しい要素を加えるだけで、斬新な漫画に仕上がってますから(もちろん破綻なく成立させる必要はあります)。新人賞においても、これくらいの塩梅がベストだと思います。
とはいえ、変な作品が受賞するケースも稀にありますよね。憧れますよね。わかります。鬼才とか唯一無二の世界観とか言われたいですよね。
ただ、ぶっ飛んだ応募作が編集者のお眼鏡にかなうのは天文学的確率だと思います。僕は未応募の賞でも通過作をチェックするのですが、大体は「なんだったんだ、あのタイトル」で終わります。
変な作風や、個性的な設定で挑むのも一つの手です。どちらかといえば僕はそういう作品が好きですし、ブームを巻き起こしてほしい。ただ、槍が降り注ぐ茨の道を進めるのは、一握りの天才かドMしかいないでしょう。
オリジナリティという言葉に囚われた僕はそれがわからず『アパートものラブコメ×ファッション×都市伝説×ミステリー風味の青春ライトノベルもどき』を生み出してしまいました。
個人的には気に入っていたのですが、擁護しきれないほど欠点があるのも自覚しています。味が濃くなってしまい、どこで勝負したかったのかが行方不明になった点が一番大きいですね。
こうして、天才でもドMでもない僕が生み出した謎のオリジナリティは、クセが強すぎる珍味になったのです。
これは新田の失敗例なので「そんなミスはしねえよ!」と笑われるかもしれません。それでいいんです。僕の屍をぐりぐりと乗り越えてください。お墓にはたべっ子どうぶつを供えてください。
とはいえ、今の公募は『商品パッケージが見える作品を拾い上げる』のが主流であり、珍味で創作ハンバーグに勝つのは至難の業です。熟練の珍味職人でもない限りは『珍味 in ハンバーグ』を目指しましょう。
このあたりを意識すると、王道の一歩外しが成立するのではないでしょうか。
評価項目のまとめ
さて、評価項目について新田なりに語ってきましたが、当然ながら落ちる時はあっさり落ちます。人が選ぶ以上、どうしても好みは無視できませんし、読む側のコンディションによって受け取り方も左右されてしまいます。
言いたくないですが、運も大事な要素です。
よく「一次選考は運ゲー」みたいな呟きを見かけます。言い方は悪いですが運ゲーの要素を孕むのは間違いないですし、運や下読みのせいにすれば精神衛生上も良くなるので、気持ちは痛いほどわかります。
でも、そこで止まっていいのか!!!!
運以外の要素で落とされた可能性を最初から排除するのは良くない!!!!!!
という訳で、この記事はもう少しだけ続くんじゃよ。
②一次選考~二次選考のラインで落選した小説は駄作なのか
一概にはそう言えません。
前述したとおり、運の要素も絡むからです。
手前味噌で大変恐縮ですが、僕が書いた『ヤオヨロズ・シティポップ』は集英社ノベル大賞2022で最終選考(候補作外)に残していただきました。しかし、某賞では一次選考で落選しています。
また、第36回前期ファンタジア大賞で入選中の『バックドロップ・センターマイク』も某賞では二次選考で落選しています。
どちらも誤字・脱字を修正した程度で、物語自体の構成等は全く変えておりません。受賞に近い原稿であっても、こうして落ちるケースが発生するのです。
一昔前は「一次選考で落ちる応募作は、小説の体を成していない」と言われていたようですが、今はweb投稿が盛んになり、全体的に応募者のレベルが上がっています。つまり、一次選考であっても激戦区です。
通過数が決まっているとすれば「技術では甲乙つけがたいから、好みで選ぶしかないな」という理由で落選する場合もあると思います。
これにより『〇〇賞では最終選考に残ったのに、□□賞では一次落ちだった』現象が産声をあげるのではないでしょうか。
なので、早い段階で落ちた作品でも、諦めたりせずに他の賞に出してみてください。そこで日の目を見る可能性は十分あります。
ただ『シンプルに一次落ちした作品』だってもちろん存在するので、選評コメントの温度感などで客観的に判断してください。前述した僕の珍味は、残念ながらシンプルに落ち続けています。
ここで「違いのわからんヤツらめ!」「一次は運でしかないからクソ」と拗らせてしまうのは良くないです。腑に落ちない結果や選評でも、見方を変えれば得る物があるかと思います。
素直な心、大事。
③受賞作を読み、傾向と対策を練る行為は必要なのか
執筆スタイルにもよるのですが、時間を割きすぎるのはオススメしません。
投稿サイトのランキングはリアルタイムで読者を掴めるので、傾向と対策を練るマーケティング作業はほぼ必須です。でも、公募の選考は受賞作が決まるまで早くても半年程度かかります。落選後に他の賞へ回したとすれば、さらに時間がかかります。
ライトノベルの流行は他の文芸ジャンルよりも変化が早いので、執筆時に調べた傾向と求められる作品はすでに乖離しているかもしれません。
もちろん「このレーベルはライト文芸寄りの作品も受賞している」「カクヨムのラブコメっぽい作品が強い賞だな」程度の調査は効果的です。おおよその傾向を踏まえて作品を送れば、有利に働くかもしれません。けれど、受賞作を片っ端から読んでデータを取る必要までは無いと思います。
ただ「そもそもどうやって書けばいいのかわからない」「感性が現代のエンタメとズレている気がする」とお悩みの方に関しては話が変わります! 書店の森でブックゴリラになるまで読み漁ってください。
すでにブックゴリラの方は、一文字でも多く執筆して技術の再現性を高めるほうが受賞に近づけます。商業作品の批評やSNSでのアウトプットに関しても、思考整理のレベルに留めておきましょう。学んだ知識で創作論を語るのと、実際に小説で活かすのとでは別のスキルが必要だからです。あと伝え方がよろしくないとシンプルに荒れます。
あ、伝え忘れていましたが『どスケベなR-18小説』や『エンタメとして成立していないタイプの純文学』を送るのは流石に無謀なので、然るべきフィールドで戦いましょう。サンは森で、アシタカはタタラ場で暮らす様なイメージです。
何言ってんだ???
④受賞に近づくためのインプット
一文字でも多く書けと言いましたが、面白い物語を書くためにはインプットが絶対条件です。これと橋本環奈の可愛さだけは断言できます。
とはいえ、必ずしも全てのインプットを小説で行う必要はありません。文章のインプットは当然ながら小説が一番オススメですが、キャラクターやストーリー構成はアニメだろうが映画だろうが何でも良いと思います。
僕はアニメでのインプットが多いので、アニメを例にしますね。
面白いアニメは、どのシーンも何らかの役割を担っています。もしかしたら深い意図なんてなく、後付けでそう見えるだけかもしれませんが、そう勘違いさせるほど美しい構成をしているのは間違いないです。
たとえば最近僕がどハマりしていた『ぼっち・ざ・ろっく!』では、作中で江ノ島に行く回があります。わからない方は、こんな記事は今すぐに閉じて9話『江ノ島エスカー』まで観てください。
観たね? オッケー。
『江ノ島エスカー』は一見すると箸休め回ですが、分解すると『ぼっちの牽引役』が虹夏から喜多にバトンタッチされているのがわかります。
ぼっちは決める時は決める主人公ですが、基本的には誰かに背中を押してもらわないと動けません。語るまでもなく、8話『ぼっち・ざ・ろっく!』までは虹夏が主な役目を担っていました。
よって、ここで喜多へのバトンタッチを見せておかないと、次話以降におけるライブハウス(虹夏のテリトリー)から学園祭(喜多のテリトリー)への移行に流れが生まれないのです。
10話『アフターダーク』で新宿のライブハウスに行く時だけは、ぼっちの牽引役が虹夏に戻っているのもわかりやすいですよね。
こういった要素を意識すれば、物語の進展にはあまり寄与しない日常パートに箸休め以外の意味が生まれ、そのまま厚みになります。公募の規定文字数はわりとシビアなので、キャラクターを掘り下げる日常パートを挟む余裕が無い場合が多々発生します。その際は、日常系アニメの分解をしてみると何か発見があるかもしれません。
僕はこの方法で、Twitterの検索欄が『ぼ虹』『ぼ喜多』に占拠されました。
⑤何をしても目標に届かず、落ち込んでしまう場合
創作にはエネルギーが必要ですよね。
社会人は働く必要がありますし、学生だって勉強しなければいけません。高等遊民でない限り、疲弊した日々の中で執筆時間を確保するだけでも大変です。
そんな中、必死に書き上げた傑作が一次で散ってしまうと落ち込みますよね。僕は創作に関するメンタルが強めなので、一日経てば前を向けるのですが、それでも最初は眠れないほど悔しかったです。よほどの天才かドM以外は、そうした苦労が常につきまといます。
ただ残酷な話をすると、作者がどれだけ苦労したかなんて、大半の読者には関係ありません。やっとの思いで出版にこぎつけても、そこはただのスタート地点。読者にとっては新人作家の一人に過ぎません。
もちろん受賞した作品には何かしらの魅力が備わっているので、好意的な感想を沢山いただけるとは思います。しかし、苦言を呈されたり、人格を否定される可能性だってあります。
人間は褒め言葉よりも、悪口の方が記憶に残りやすい生き物です。慣れないうちは、眠れないほど落ち込むかもしれません。
要するに、受賞しようがしまいが精神的な負担は必ず襲いかかってくるのです。仮に何の負担もなく執筆を続けている方がいるとすれば、心臓がSUUMOなのでしょう。
残念ながらSUUMOではない僕たちは、現実逃避できる趣味やリフレッシュ方法を見つけてメンタルコントロールを行うのがとても大事です。人生は長いので、少しの間だけ創作から離れるのも良いかもしれません。そうして精神を自衛してエネルギーを補給しながら、手が届くまで何度でも挑戦してやりましょう。
終わりに
とても長くなってしまいましたが、最後までお読みいただき誠にありがとうございます。もし「面白かった!」「こういう考え方もあるのか」等の意見があれば、拡散していただけると嬉しいです。
そして、買ってください(イケメン俳優スマイル)。