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サウナが無形遺産に登録されたことについて。
こんにちは、ブログの更新時間が日に日に遅くなっていることになんとなく後ろめたさを感じながらもやっぱり甘んじてしまう松木蓮です。
さて、今日は先日ニュースになっていた世界遺産にまつわるお話です。ご存知の方も多いかもしれませんが、『サウナ』が今年のユネスコの世界無形遺産に登録されたようです。サウナはグルーバルに知られる数少ないフィンランド語だと思います。
世界無形遺産に登録されたということがどれほど喜ばしいのかなと思って、ユネスコのHPをみていたところ、どうやら今年だけで無形遺産は35件新たに登録されていることがわかりました。
絶対的にサウナというのはフィンランド社会において重要な文化であることは間違いないのですが、年に35件も登録されてしまうと相対的に価値が下がるように思ってしまいました。(単純な比較はできませんが)ノーベル賞受賞者が毎年35人もでたら、「あーノーベル賞ね、、」ってなりそうじゃ無いですか。
ちなみに、日本の木造建築での17にわたる技術が「伝統建築工匠の技」という形でサウナと同じく無形遺産に登録されたようですが、どれほどの人が知っているのでしょうか、、
▼無形遺産の種類とそれが持つ意味
サウナや「伝統建築工匠の技」が無形遺産に登録されたんだね、素晴らしい!と片付けてしまっては少し勿体ない気がしていて、少し深掘りして考えてみました。
まず、無形遺産とはなんぞやというところから振り返ってみたのですが、総じて「後世に受け継がれるべき無形の遺産」です。法隆寺や屋久島のような有形遺産の対となる遺産ですね。いずれにせよ消えてはいけない(=忘れられてはいけない)モノということになります。
これについては、2013年に登録された日本の和食文化も、サウナも、「伝統建築工匠の技」も同じですよね。
で、これら無形遺産は大きく2つに因数分解できるなと思いました。
①無形遺産に登録しないと消えてしまうモノ
②無形遺産をプロモーションとして使うモノ
まずは前者から。
①無形遺産に登録しないと消えてしまうモノ
①でいうと、先ほどの「伝統建築工匠の技」が当てはまると思います。僕自身、この無形遺産で初めてこうした技術があるんだと知ったのですが、裏返せば無形遺産に登録されなければ忘れ去られてしまう遺産です。
だから、こうした無形遺産に登録されました!とニュースにすることで、どうにかして後世に受け継いでいくという意図が感じられます。
正直、この技術がなくても建築物は作れるのでなくなったからと言って大きな損失があるかというと、そこまで無いはずですが、とはいえ今の日本を作ってきた先人たちが意匠を凝らして受け継いできた技術なので、そこには技術そのものの他にそれに紐づいた文化までもが絡み合ってきます。
おそらく歌舞伎や能なんかもこっちに分類されるんじゃ無いかなと思います(文化庁HPによると、このへんは2008年にまとめた無形遺産に登録されています)。
②無形遺産をプロモーションとして使うモノ
2つ目が、プロモーションとして流行りを創出するための無形遺産です。サウナや和食がそれに当たりそうです。
UNESCOによると、サウナはフィンランド社会と切っても切り離せない関係にあり、サウナという空間を通して人々のウェルビーイングに大きな意味がある、と評価しています(僕の意訳込み)。
2013年に登録されて大々的にニュースに取り上げられていた和食については、お寿司や天麩羅のような特定のものではなく、一汁一菜や自然を基調とした食材選び、健康的で栄養バランスの取れた食文化という点が評価されました(農林水産省HPより)。
こうしたサウナや和食といった生活の一部に組み込まれている遺産が登録されることによって、(一時的にも)そのブームを作れるのではないかと思います。あるいは、社会の情勢などを汲んで、あえて登録することでそっちに流れを持っていくなどの意図があるかもしれません。
先ほど、”生活の一部に組み込まれている遺産”と書きましたが、サウナや和食って必ずしも登録しなくても良かったはずなんですね。この辺は次の項で、①と比較しながらもう少し深掘りしてみようと思います。
▼生活嗜好品と生活必需品
先ほどの①と②の分類ですが、こんな風に分けてみると少しわかりやすいかもしれません。
①無形遺産に登録しないと消えてしまうモノは『生活嗜好品』に分類できると思います。こうしたものは娯楽の部類に入ると思うのですが、(残酷ですが)歌舞伎や能を見なくても生活に支障はないですよね(死にはしません)。
どちらかというとそれらの文化は教養を必要とする嗜みになるので、門戸が全員に開かれていないというのが実情です。人が何にお金を落とすかを逆算してみると、間違いなく『生活必需品』にはお金をかけます。
お金の使い方(消費、浪費、投資)でいうところの消費にはお金をかけるということです。ご飯を食べなきゃ餓死してしまいますし、住まいがないと寒い冬を越せません。
娯楽としての歌舞伎や能というのは必需品になり得ないので、どうしてもお金を落とす人が制限される。お金が集まらないとどうなるか(=需要が小さい)というと、継続することが難しくなり、長い目で見て後世に受け継がれるかというところが危ぶまれます。
だから、歌舞伎は登録しないと(いつか)消えてしまうんです。若年層のうち、歌舞伎を見たことがある人、興味のある人のアンケートを取ってみるときっと残酷だと思います。
それでも、歌舞伎は長きに渡って受け継がれてきた極めて価値の高い文化なのでこうして無形遺産に登録することで注目を集め、なんとかして受け継ぐという意図が垣間見れます。
さて、一方で和食やサウナというのは生活必需品になります。生活になきゃダメなんですね。和食で言えば、どれだけ美味しいハンバーガーのお店がオープンしようが、白米に味噌汁、秋刀魚の塩焼というお膳立てが好まれますし、これが消えることは考えにくいです。なぜなら、白米や味噌は消費に分類できるので、継続して人はお金を落とすからです。
サウナはどうでしょうか?極寒の国フィンランドではサウナが生活の一部です。どうやら週に何回も入るのが一般的だそう。健康的にも、気候的にも必需品であるということです。
もっというなら、550万人の国に330万箇所のサウナがあるくらいですから、サウナ文化が消えるなんて到底考えられません。まず消えることはないでしょう。
生活必需品である和食やサウナがなぜ無形遺産に登録される必要があったのでしょうか?最後に僕なりの考えを書き留めておこうと思います。
▼社会への警鐘
和食が評価されているポイントは、健康や自然です。テクノロジーに頼る現代社会を生きる僕たちは時として健康体でいることが難しかったりします。それは肥満率などで証明済みですが、そうした社会的問題へ鐘を鳴らし、関心を集めるために和食が登録されたのではないかと思います。
サウナはどうでしょうか?医学的にも健康を促進する習慣として認知されていて、書籍化されたりしもしていると思います。
つまるところ、今の大きな時代の流れは「ウェルネス」に向いているのではということになります。これだけ生活(外部)が便利になった今、今後高めるべきはカラダそのもの(内部)です。
日本でもサウナブームがきていますが、こうしたことからも「よく生きる」ということへの関心が高まってきているはずです。
つまり、ここまでをまとめると、、
歌舞伎や能、建築技術は『金』がネックになっていて、どうにかして継承されるべきもの。
サウナや和食は『鐘』がネックになっていて、社会に警鐘を鳴らすためのもの。
無形遺産にはこうした意図があるんじゃないかなと思いました。今後とも世界遺産には注目ですね!
それでは!
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