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【デンマルク王国再生秘話】

毛が濃いのを悩む人がいますが、そもそも人間ほど毛が薄い動物ってそうそういないんじゃないかと思っている松木蓮です。
#たぶん陸上哺乳類最薄
#ご先祖様が服を来てなかったら
#今頃体毛に覆われてたのかな


さて、今日は最近四六時中勉強しているヴァイキングから派生したお話です。本題までいつも遠回りしてしまうので、今日は早速本題に。


【デンマルク王国再生秘話】

デンマークと聞いて、どんなイメージをもたれるか分かりませんが、僕調べだと「幸福」「福祉」「インテリア」「ヒュッゲ」「フォルケ」などがデンマークイメージ総選挙の上位常連ワードです。

結構イイ感じの印象を持っている方が多いようです。が、とんでもない。世界史の教科書を開けば、デンマークについて書いているページなんて文化祭のパンフレットよりも薄いのです。

資料集に割かれているのは、イギリスの歴史、フランスの歴史、ドイツの歴史、、、etc. ヨーロッパの旅行先にまず票が入る国ばかりです。それもそのはず、旅行とは歴史的な建造物の確認作業と置き換えてもさほど間違いでない通り、彼らには特筆すべき史実が沢山あるのです。

一方で、文化祭のパンフレットよりも書くことが少ないデンマーク、もっといえば北欧の歴史はあまり知られていません。シンプルに味がしない平凡な歴史を歩んできたとその薄さから読み取れます。

今でさえ、経済的に豊かな国として知られる幸福の地デンマークはいかにして出来上がったのか、不思議じゃぁありませんか?僕はこれがとっても知りたいのです。なぜ福祉国家になったのか、なぜ教育を重視するようになったのか、社会的マイノリティーを尊重する気質が育まれたのか、女性リーダーが沢山生まれているのか。

とっても不思議ですよね。

こうした疑問に全て答えるわけではありませんが、その解答のキーワードのカケラが転がっている一冊に出会いました。

内村鑑三が著した「デンマルク国の話」です。これは「後世への最大遺物」と合わせた二本立てになっています

内村鑑三は、どういうわけかヨーロッパの北の小国であるデンマークに目をつけ、そこから学ぼうとしたんですね。この本で書かれているのは、デンマークが戦争に負け、国土の実に40%に値する土地(グリーンランドなどは覗く)を失ってからの再生の逸話です。

19世紀中頃、ドイツとオーストリアに負けたデンマークはシュレスヴィヒとホルシュタイン(両方とも現在のドイツ領で、シュレスヴィヒはデンマークとの国境地域)を失います。この地域は肥沃な土地であり、ただでさえ領土が小さい(今の領土は兵庫県と同じくらい)のに、そこから40%がなくなってしまう、という緊急事態宣言です。そして失った土地は肥沃だとか。給付金や、雇用調整助成金、軍事従事者への補填はさることながら、国家としての営業が危うい状態です。

戦争に負け、
土地を失い、
国の士気も下がる一方。

一時期、北欧(特にデンマークとスウェーデン)がヨーロッパでもそれなりにブイブイ言わせてた時期はありましたが、基本的に昔の北欧は貧しい歴史が覆われています。近代ヨーロッパの豪華絢爛な生活ではなかったんですね。

恵まれない気候条件と限られた資源ゆえに、それまでは外に外にデンマーク人は求めていたんですね。でも、負けてしまった今、国にそんな力は残されていない。

そんな時に立ち上がったのが、ダルガスという工兵士官です。荒廃した土地と怠慢な人間を立ち直らせるべく立ち上がったのです。

彼は、工兵士官でありながら土木学者であり、地質学者、植物学者という顔もありました。元々1000年ほど前(ヴァイキング期と一致)は気が生茂るほどの富饒な土地があったと言います。それが産業の発達と都市の開発とともに過去の産物として消えていってしまったのです。

それを恢復させんとしたのが、ダルガスという人物でした。彼は「水」と「樹」に目をつけ、灌漑するための水資源の確保を急ぎ、そこに適する植生を探しました。そして、幾多の試練と歳月をかけ、ようやく成功に導きます。


【外に失いしところのものを内にありて償わんとする】

このサクセスストーリーが示唆することはなんでしょうか。本書に「外に失いしところのものを内にありて償わんとする」という一説があります。敗戦して失ったものを内なる土地に希望の芽を植え、見事花を咲かせました。

1つに、負けてからが勝負である、という言葉にみるように追い込まれた時に人間としての真意が問われているような気がしてなりません。本書にもこんな一行が残されています、「国の興亡は戦争の勝敗によりません、その民の平素の修養によります」。たとえ、戦争で黒星となってとしても、それで国が潰れるかというとそれはまた別の話で、国の存続の本質はその国民にあるということですね。

これは日本の歴史を紐解いても同じで、先の大戦で大敗を喫した日本は戦後復旧を急ぎ、以後20年間に渡る高度経済成長を達成しました。当時の日本は負けたけど、国民は死んでいなかったということがここにも見て取れます。

そして、自然を愛でること。デンマークが肥沃な国土を失った頃、その土地は荒廃していたようです。が、元々は良田沃野な土地が広がっていました。科学技術の発達とともに、自然の恩恵をいつしか忘れ、気づけば曠野と化し、それを補完すべく外に求めていたのかもしれません。

相変わらず、自然を目の前にすると人間の力など微塵でしかありませんが、チリも積もれば自然をもう一度前へ動かせる原動力になっているという事例でもあります。天然という無限再生力への回帰を思い起こさせる内容です。


【こんな時に読みたい、、】

今回、この一冊を手にとったきっかけは紛れもなくヴァイキングについて勉強している時です。通して読んでいく中で、もう一度読み返したいと思う時がありました。

1つに、「負けを認めたとき」。これから長い人生の中で、負けるシーンは必ず出てきます。膝を地面について下を見つめながら歯軋りをすることもきっとあります。人生山あり谷あり、というように良きときもあれば悪しきときもあります。時には強欲になりすぎて、外に外に求めてしまうこともあるでしょう。何かと”外”に原因をつけたがるのが人間の常です。そんな時にこのデンマルクの再生秘話を思い返したいと思います。内なる鏡を見つめ直し、今一度立ち直ろうというシグナルとなるはず。

それから、「都会の喧騒に疲れたとき」。この逸話の中心にある自然の存在を時として忘れてしまうことがあります。今となってはありふれたスマートフォンや、その他電子機器。その便利さの対価として自然に危害を加えることを忘れてはいけません。時々、自然を愛でる大切さを思い出したいと思います。

最後に、、この逸話は今のデンマーク社会にも生きているような気がしてなりません。自然との共生というキーワードが板についたような社会づくりが進んでいるのも、もしかしたらここに起因するのかもしれません。今見るような北欧の姿の影の輪郭が少し見えた気がします。これからも歴史を中心に、今を見つけ、未来を思い描ける人間になりたいと切に思います。

(読み終えてから知ったのですが、Kindle版であれば無料でダウンロードできるそうです。気になる方はぜひ。サクッと読める文量です。)


最後にこんな言葉を、、

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ
(オットー・ビスマルク)

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