【サウナというアート】
実は今日でオスロ生活最終日。明日の夕方に次の目的地へ移動します。
そんな最終日にとてつもなく鳥肌の立つ経験をしました。字の如く鳥肌が立ち、僕が田舎の村長であれば、明日村の住民全員に頭を下げて、これを作らせてください!と言い回ります。
The Wellというオスロ郊外の裸okの混浴スパに行きました。たぶん「え?」ってなると思うのですが、今日の僕はそんな説明に文字を割きたくないので、詳しくはHPを読んでみて下さい。端的にいうと裸の男性もいれば女性もいます。水着着用は任意。
サウナと聞くとどんなイメージを浮かべますか?銭湯?温泉?フィンランド?
それぞれだと思います。ただ、いずれのイメージにも「アート」という横文字はないと思います。
このスパは慰安に無茶苦茶オススメで、僕はここ1年間ノルウェーで溜まりに溜まったありとあらゆる疲れを体の隅々までここに置いてきました。
このスパにはサウナが沢山あり、それぞれにコンセプトがあります。トロピカルな熱帯をイメージしている所であれば、間接照明は緑です。加えて、肌でサウナを楽しむだけでなく、嗅覚と聴覚を以ってしても楽しめます。
トロピカルな音(鳥のさえずりとか)が聞こえてきたり、柔らかい自然の香りが立ち込めています。そんな感じで、色んなサウナがあるんですね。日本をコンセプトにした所もあります。結構いい感じです。
まさか、このトロピカルなサウナの演出がアートだよね、と言いたいわけではありません(もちろん、これはこれでアートだと思います)。
館内で定期的にやっているサウナのショーがあります。敢えてショーと言っています(ほかに適切なボキャブラリーが思い付かなかった)。そこで経験した時間と空間が総じてアートだったんです。
1日に何度か、決まったサウナでショーが行われます。この演出が途轍もなく素晴らしいと思ったんですね。現代美術の作品と呼べるものだと思いました。味覚以外の感覚をフルに使って楽しめるサウナなんです。
まず、中に入ると、お姉さん(水着着用してます)が説明してくれる。僕の回は僕がノルウェー語を理解できないのを察して英語で説明してくれました。以下、それぞれの感覚を使って感じられることです。
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耳でサウナを楽しむ
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サウナ室内には音楽が流れています。この音楽も綿密に計算されているはずで、かなり耳障りが良い。それでいて、お姉さんはサウナストーンにアロマウォーターを注いでくれるんですね。
アッツアツのサウナストーンに冷たい水が触れるとシューとかジューって音がします。この音がまた良いんですよね。アロマウォーターの他にも、氷の塊をサウナストーンに載せたりもしていました。これもまた氷を潰したときの自然な音が耳を癒してくれます。サクッサクッってやつです。
想像してください。穏やかな気持ちになったでしょ?
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鼻でサウナを楽しむ
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ここは日本では少し珍しいかもしれません。無味無臭とかいうかサウナの香り?とでも言えるかのようなよくわからない匂いがしてるのが一般的なはずです。強いて言えばサウナ室の木材の香りくらいかな。
ここでは、それに加えて先程のアロマウォーターが注がれます。3回とも違った香りのする水を注いでいました。サウナストーンで蒸発したアロマウォーターが蒸気となって鼻の奥に伝わってきます。すぐに体全体に伝わり、一気に力が抜けます。呼吸して吐き出すのが勿体無いくらい良い香りがしました。
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肌でサウナを楽しむ
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サウナというもの自体が肌で楽しむものなので、これはさほど変わらない。いやいや、そんなはずはありません。サウナストーンによってサウナ室内が極限にまで熱されて身体中からブワッと汗が吹き出るのは当たり前です。
日本の銭湯や温泉などで、タオルをバッサバッサして熱風を送る役割のある人がいますよね。あれ、アウフグースって呼ばれてるみたいであれが日本のそれの3つくらい上だったんです。
3回に分けてアロマウォーターを注いでくれましたが、その都度仰ぐものを変えていました。最初は扇型の板のようなものを色んな方向に振り回して僕たちに熱と香りを送ってくれます。次は、タオルで。そして、最後もタオル。が、先程のタオルとは素材が違いました。
終わってから聞いてみた所、香りや熱量によって変えているようです。
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目でサウナを楽しむ
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これについては、人それぞれ楽しみ方が異なります。目を瞑って瞑想をする人もいて良し。こうすることで他の感覚器官を研ぎ澄ませてより感度の高いサウナを楽しむことができるはず。
それはそうとして、見ても楽しめるのがこのサウナの魅力。先程のお姉さんがアウフグースしてくれると言ったのですが、このお姉さんむちゃくちゃ動きます。室内を動き回って熱風を送ってくれるんです。
しかも、日本のように縦横にバッサバッサ振り回すだけでなく、時には斜めにもかなり滑らかに体全体を使って表現してくれるんですね。音にも合わせて。色んな楽しみ方をしたいと思い、たまには目を瞑りたまには目を開けてお姉さんの動きを眺めたりしていました。
お姉さんの体が途轍もなく素晴らしくて(※お姉さんは水着を着用)、すごい色っぽいなって思えてきたんですね。引き締まった筋肉が動いて、それまでの地道な鍛錬が垣間見れます。アウフグースをしているというよりは、もはや踊っているに近いかもしれません。
トータルで見て、もはやこれは作品だと思います。それだけ見応えがあって、味わい深いものがありました(本気でオススメです)。
そんなこんなが10分ちょっとくらい続いて終わるという流れです。僕、この存在に気づかなくて閉館の最後の回で参加したんですね。正直、それまでスパを楽しんではいたのですが、どうも値段の割にだなぁと思っていたところがあって、、
でも、この10分間で全てを回収できた気がしました。この10分間で1年分の疲れが全て取れました。
むちゃくちゃ満足な顔で家へ戻ってきましたとさ。次の一年へ向けて一層気が引き締まりましたよ。
また戻ってこよう。そして、この作品を日本でも必ず作ると密かに決めました。絶対日本の美しい自然の麓に作ります。
きっとみんなのウェルネス向上に一役買うはず。楽しみにしていて下さい。