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信用を失えば次の仕事もなくなり、結局は淘汰されてしまうことになる…?

日本ではいい加減な仕事をすれば信用を失うことになるし、信用を失えば次の仕事もなくなり、結局は淘汰されてしまうことになる。まあ当然のことだ。

しかし、日本でなければそんなことも何となくまかり通ってしまうことがないことはない。というか、ある。確実にある。

以前、書道教室の入っている7階建てのオフィスビルが窓の総取っ替えと壁の補修工事をすることになった。それはなかなか突然のことで、説明のあった数日後には工事が始まってしまうという、有無も言わせぬ強行であった。

ビル全体に櫓(やぐら)がかけられた。

窓の向こうを職人さんが無遠慮にウロウロしていた。地上階でもないのに部外者に窓の外から見ていられるのも嫌なものである。

そして始まった。

壁を向こうからトントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントンとずっと叩いている。

稽古がないときや超急ぎの仕事がないときならまだいい(決してよくはない)が、忙しさでイライラしているときにこれだと、奇声をあげて自らの精神を調節するしか手はない。

ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああーーーーーっ!!!

二日酔いのときなどはとてもこの場に居られない。
とにかく、滅茶苦茶うるさいのだ。

あーうるさい、あーうるさい。と文句の一つも二つも六つも七つも言いたくなる。

トンテンカンは続く。
仕方ないことだとわかってても勘弁して欲しいと懇願したかった。

この件と直接関係ないが、知り合いにこれでもか、というほどため息をつく人物がいる。本当にこれでもかというほどだ。

いろんな人がいる、と言うのは簡単だが、何度も何度も目の前で深いため息をつくのは可能ならやめてほしい癖だ。どんどん空気が重くなる。周囲の色が変わってくる気がする勢いだ。
これもまたやめて欲しいと懇願したい。

やめて欲しいこと繋がりで思い出したので話が逸れてしまった。

その工事は最初の説明とはまったく違う、これまでの人生の中でも最低最悪な工事だった。嘘八百とはこれのことだと思った。

説明では、各テナントの窓の取り換えはあっという間に数時間で終わるという事だった。窓枠もパカっと外れ、新しいのをサクッとはめてハイお終い、のような勢いだった。だから仕事中にちょちょっとやっちゃいますね、的なことで会議室に集まったテナント一同は突っ込んだ質問をすることなくまあそれならね、となったのである。

現実を体験して説明が嘘っぱちだと露呈したことと、絶え間ない騒音でテナントみんなのイライラが沸騰したので、各々の代表が集合して話し合いをし、オーナーに抗議をした。ビジネスタイム中に朝から晩まであんなにうるさかったら仕事になんか全然ならない。騙して作業を開始して後戻りできなくしておいて家賃までとろうなんて何事だ、と家賃交渉もしたがオーナーからはクソみたいな返答しか返ってこなかった。

結局工事は2か月も遅れて終了した。工事責任者自身も耐えられなかったのか、工事が終わるまでに3人首が替わった。

テナントの殆どが工事の最中、もしくはその直後にどこかに移っていった。郵便局まで出ていった。

移転しなかったのはこのビルのオーナーの会社と、どういうわけか日本人経営の3つだけだった。うちは積極的残留ではなく、移転する金がなかったので仕方なくだった。

それから長らくこのビルは空き室だらけだったが、1年もすると過去を知らないテナントがポツポツと入ってき始めた。

財力があれば持ちこたえられるのだなあ、と思った。



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