見出し画像

1st AFKO National Open Full-Contact Championships & 2018 ShinKyokushinkai National Championships<その③>

(①と②の長さにめげず、全部読んだ人で、まだ耐えられる人だけどうぞ。でもさらに長いから気を付けて。)

数日前に日本から新しく届いた作務衣。すぐに袖を通したがまあぴったりだ。腕も動かしやすい。この新しい服で当日に臨むのは楽しみだった。

大会当日の朝。オフィスで持っていくものの最終チェックをする。衣装には会場で着替えるか、着たまま行くかどうかちょっと迷う。が、面倒なので着ていくことにした。履いていたジャージを脱いで作務衣のズボンを履く。履く。うん?履く?

尻を通過させるときにすでに違和感があり、そのまま引き上げようとしてもきつい。フックをする処どころの話ではなく、もちろんチャックをあげるなどという話には全くならぬではないか。

やばい。

履けない。ズボンがない。このままだとパンツでパフォーマンスをすることになる。いやいやいや、それは無理。勝負パンツを履いてはいない。ズボンを脱ぎ捨てる。

ズボンのサイズに全く疑問を抱いていなかった俺は、作務衣が到着したとき上着だけ試着して安心してしまっていた。だからズボンのほうは袋も開けていなかった。

時計を見る。迎えの来る時間にはまだ間があるが、オフィスから家まで取りに帰る往復の時間があるのかどうか。当然アイロンもかけなくてはならない。

焦る。そりゃ焦る。人間だもの。相田みつを。

とにかくそのまま財布と鍵だけもって駅前のタクシー乗り場に走る。タクシーが見えたが1台目をおばあさんにとられる。いやいやいや、おばあさんに譲る。そしてとにかく2台目に飛び込む。俺の焦りとは裏腹に、運転手のインド系のおじさんはのんびりしたものだ。土曜の朝からワサワサ働くなんてやっていられないのかもしれない。

イライラしながらもなんとかおじさんに家の前まで乗せてもらい、部屋に戻って作務衣を漁る。当然のようにアイロンはかかっておらず、しかも全体にうっすらと白く繊維が付着している。黒の衣服にありがちのあの状態である。

コロコロを探すが見つからないので、アイロンだけかける。アイロンのスイッチを入れて温めておいてからコロコロを探せば無駄がないものを、そんなことは頭に浮かばない。

ぬるいアイロンで、かけないよりはかけたと言えるほうに近い、という程度にザーッとやって、アイロンと台をリビングに放置したままアパートを飛び出る(もちろんコンセントは抜いた)。

流しのタクシーを捕まえるつもりで走る。振り返って確認する。来るのは一般車ばかりでタクシーは全く来ない。
走る。振り返る。また振り返る。ローズビルの駅まできてもタクシーの姿は見えない。
おいおい、まじかよ、と思いながらも駅の構内までおりて電車の時刻を調べる時間がもったいないので、再び走りだす。財布と鍵だけ持ってきたので携帯電話も持っていないのだ。

走る。振り返る。また振り返る。バウンダリーストリートの交差点まで来てもタクシーは来ない。これを過ぎたらタクシーを止めにくい距離になる。走るしかない。

結局家からオフィスまで走り抜けた。俺結構体力あるじゃないか。それにしてもパフォーマンスの前に汗かくほど走るのは…と、これ以上は言うまい。えーん、せっかくシャワー浴びたのに…。

コロコロとガムテープで白いやつを取り除き、やっとズボンを履く。

えーーーーーーーーーーーーーーーっ

って、そんなわけないじゃん。

今回はいろんなことがありすぎて3部作になった。もし全部読んでくださった人がおられたらどうもありがとうございます。次回またお会いしましょう。

英語圏で書道を紹介しています。収入を得るというのは本当に難しいことですね。よかったら是非サポートをお願い致します。