こういうのを正式に、ちゃんと国会で決めてはくれないだろうか。
朝のお稽古を終えて、ボディコンバットのクラスに行ってきた。
コロナ自粛の解禁明けでずっと20人限定予約争奪戦が繰り広げられてきていたのだが、次は40人まで幅を広げるらしい。大丈夫なのだろうか。
今日の昼は何を食べようかなあ、などと考えながらボディコンバットをやっていたので何度も間違えてしまう(腹が減っていたので仕方がない、としておきたい)。
午後のお稽古があるから終わったら急いでシャワーを浴びて教室に戻らなければならない。どのくらい早く準備できるかで、何か口に入れるものを買いに行けるかどうかが決まる。買いに行って実際に口に入れて胃まで落とす時間も欲しい。ただ、ジムから教室の導線上にはそんな店はなく、買いに行くなら駅の方をぐるっと回らなければならない。
そんな時間あるかなあ、などと考えながらボディコンバットをやっていたので何をやっても間違えてしまう。ちっとも集中できていない。
そんなこんなのまま時間だけが淡々と過ぎていってクラスは終わってしまう。買い物の時間を確保するべく、急いでロッカールームに戻り、急いでシャワーを浴びる。
浴び終わってロッカーに戻り、俺はパンツだけ履いてから長椅子に腰かけて足を拭き、靴下を履こうとしていた。
すると俺の背中の後ろで着替えをしていた30代くらいの背の低いオージーが長~い屁をした。え、まだ終わらなの、というくらいの長さの屁だった。
他人の屁の音に特に関心はないが、ああも主張されると気にするなと言う方が難しい。
ちょっと離れたところにオージーのお爺さんがいたが他には誰もいなくて、恐らく彼の長~い屁が揺らしたのは本人のを除けば俺の鼓膜だけだったろう。
俺は背中を向けたまま、何も聞いてないです、知らないです、というテイを装った。素人演技なのでどこまで通じたか分からないが、ハリウッド映画に出たりするわけではないから、下手くそでも仕方がない。今のところこの演技を磨くつもりもない。
そして俺の演技がたとえどんなに素晴らしかったとしても、聞こえなかったという事はあり得ない。
おい、お前、聞こえたんだろ? 俺の屁、今聞いたんだろ?
その両の耳で聞いたんだろう?
あんなに長~く鳴ったんだから、聞こえないわけないよなぁ。
おい、どうして何のリアクションもしない?
屁だぞ、俺様の屁の音だぞ。
笑えよ。笑えよ、俺様の屁を。
俺様の門から放たれた高くて長~い屁の音を笑えよ。
ラの音だぞ。ラの音の俺様の屁だぞ。
さあほら、笑えよ。ほら、さあほらぁ。
というプレッシャーが背後から強く圧してくる気がする。
後ろを振り返るなんてことは絶対にできない。怖い。
怖いよ、怖いんだよ。
ほらどうすんだよ、この香り。
分子だよ、屁の分子が漂ってきたじゃないか。どうしたらいいんだよ。
さっきまでこのオージーのおじさんの肛門にいた分子だよ。
コ〇ナと同じくらい体内に入れたくないよ。
全部の荷物を持ってこの場から立ち去ればいいのか?あからさまにか?
香りを体内に吸い込むのが不快だからと言わんばかりにか?
ほらほらほら、どうしたらいいんだよ。怖いよ。
こういうときはどう対処すればいいのか。
どう振舞うのが相応しい、どうすれば正義と認められるのか。
そういうのを正式に、ちゃんと国会で決めてはくれないだろうか。
※写真は、よく分からないけど知人宅の廊下に放置されていた仏様の首だけ。