普通の男の人は人生1回しかやらないが、 俺なんかしょっちゅうだ。
まだ「筆おろし」をやっていない。
「まだやってないの?」
「まじ?」
「げっ…」
と、人はどう思うか分からないがまだやっていないものは仕方ない。
俺だって今度こそ、今度こそ、と思うのだが、
なかなか踏み切れずに、ついついここまできてしまった。
自分のでありながら、
しかも大きいなあなんて驚かれもするのに、
まだ一回も使ったことがないので、
描いたイメージ通りにいくのかどうか分からない。
本番はだいぶ不安ではあるのだが、
シュミレーションをしっかりやって
一発決めれればいいなと思っている。
って…
なんか下の方に下の方に、持っていこう持っていこう、
とする意図がバレバレである。
ダメだな。イメージダウンだな。
ダメダメ。イメージダウン、ダメ。
そもそも「筆おろし」とかいう言葉自体がどうかとおもう。
普通の男の人は人生1回しかやらないと思うが、
俺なんかしょっちゅうである。
あ、これがすでに下の方か、申し訳ない。
『処女の「水揚」と云ふに均しく、若き男が初めて女に接するを云ふ。大槻如電翁の戯作せる淫書の標題に「筆おろし」といふあり。』とある。
大槻如電とは江戸時代末期に生まれて昭和6年(1931)87才まで生きた学者で、明治維新後は文部省に奉職。和漢洋学から文芸・音楽・舞踏まで博学多才であったらしい。この人の書いた「筆おろし」という戯作、ちょっと読んでみたい気がする。
大書用の柄の長い大きな筆が教室にある。
もう何年も飾っているだけだ。
イベントでの大書の依頼があるたびに
今度こそ今度こそ、と思うのだが、
練習なしの一発勝負だから、
初めての大槍よりは、使い慣れている小太刀のほうを手にしてしまう。
2020年にはなんとか「筆おろし」したいと思っている。
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