日本人ではない人々の「あれ、そうやっちゃう?」という行動を目の当たりにするたびに、ああ俺は日本人だなあと思ってしまう。
海外生活をしていると自分が日本人だという事実を強く再認識する機会が多くなる。日本人としてのアイデンティティが強まるという事なのだろう。
もちろん毎日の生活の中で「アイデンティティ」だなんだと常に堅苦しく考えているわけではない。
ただ日本人ではない人々の「あれ、そうやっちゃう?」という行動を目の当たりにするたびに、それを嫌だと感じる自分に気づいて、ああ俺は日本人だなあと思ってしまうということだ。
今朝、ジムに行ったときのこと。
俺がシャワーの後ドライヤーで髪の毛を乾かしていると、
後ろのアイロン台を巨漢のオージーが使い始めた。
朝だからワイシャツにアイロンがけをするサラリーマンの姿はよく目にするのだが、そのおじさんちょい手前くらいのお兄さんは自分が着ていたTシャツにアイロンをかけ始めた。汗をかいたシャツを乾かすのにアイロンを使っているのだ。
「あれ、そうやっちゃう?」
日本人なら思うだろう(思わない人が日本人じゃないと言っているわけではないので悪意ある深読みは遠慮して欲しい)。
皆が使うアイロンだ。次に使う人のことを考えたらそれはないだろうと思うのだが、そういう感覚が無いのだろう。
トレーニングでかいた汗をドライヤーで乾かしに来て、再びそのままトレーニングに向かう人たちもいる。日本ではそんな人たちを実際に見たことが無かったし、TVドラマや映画でも目にしたことはない。
汗をかけばタオルで拭けばいいと思ってしまうので、彼らが何のためにそうしているのかは見当がつかない。
そしてドライヤーは洗った髪を乾かすのに使う物だと思っていたから、汗を乾かすという行為に「あれ、そうやっちゃう」と感じてしまう。
どちらかと言えば清潔より不潔な行為に傾いた行為に思えるのだ。
一緒に暮らしたフラットメートで言えば、スニーカーを洗濯機に入れて、ドッカンドッカンと物凄い音を立てて洗ってた人たちもいた。
洗濯機が壊れちゃうので慌てて止めたが、止められた方は理由が分からないといった顔をしていた。
日本では「洗濯機の使い方」としても「スニーカーの洗い方」にしても、そのいづれの面からも正解だとは言い難いだろう。日本人が家でそうやっているとは思えない。
汚いし、洗濯機(←俺の私物)へのダメージもあるから、これは「あれ、そうやっちゃう」の域を超えてしまっていた事件だった。
オーストラリアに来た当初にフラットメート募集の内見に行った先では、バスタブでキムチを漬けていた。もちろんトイレがすぐ傍らにある。
当時は外国文化に慣れていなかったこともあって「あれ、そうやっちゃう」というよりは「おい、まじかよ」と感じてしまった。もちろん言いはしなかったけれども。
キムチ文化がなく、もともと風呂とトイレは別だった日本では、トイレの脇のバスタブでキムチを漬けたりはしない。
「知らぬが仏」とはよく言ったものだが、知ってしまったあとでは、
トイレ脇のバスタブで漬けられたキムチは食べたくない。
ここは海外なんだ。
そして俺は日本人なんだ。
とまあ、いろんなところで日本との違いを感じながら生きている。
いや、そんな難しい話じゃ本当にない。
長く住めば、その何でもありなところが心地よくなってくることもある。
もちろんそうならないことも沢山あるんだけども。
※写真は女性服のブティックのショーウインドウ。
輪切りされた人間が放置されていた。
これも日本ならやらない。
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