スポーツチームで活躍するためのスキルを整理したい
「スポーツチームで活躍するために必要なスキルはなんですか?」こんな質問を度々されることがある。
私は5年前にインターネット広告の業界からスポーツ業界に身を移した。この間、スポンサー営業、チケットマーケティングなどの実業務を通して自分が感じたことを書き残しておきたい。
スポーツチームで活躍するためのスキル
スポーツチームで働くためのスキルはない
元も子もない話になってしまうが、スポーツチームで必要なスキルはないのではないかとというのが私の考えだ。スポーツは特殊な業界のようにみえるが決してそんなことはない。個人的にはベースのビジネススキルがあれば問題なく活躍できると思っている。
ただその中でも理想のスキル、こういう能力がある人が活躍しているという傾向はある。これはスポーツビジネスだからという視点ではなく、業界構造上の優先順位として好ましいスキルだと捉えてもらえると良いのではないか。
自分でやり切る力
大企業からスポーツチームに転身して陥る悩みとして役割分担に対する考えの違いがある。スポーツチームは分かりやすくいえばスタートアップのような組織。1人一役なんてことはなく、1人で何役も兼務しなければならないし、マネージャーの立場でプレイングするケースも少なくない。
理想で言えば、効率化や最適化を実現するための間接コストを増やすことが必要なのかもしれないが、資本力も含めてまだまだ行きついてないチームが多いのが実情だと思う。そのため、指示だけをする人は活躍できない。自分でやって見せて教える、ここまでセットでやらなければならない。自分でやり切る力が必要。
私がジョインしているJリーグのサッカーチームでも、スポンサー営業で学生インターンを登用したり、チケットマーケティングの管理方法を変えたり、新たな学生マーケティング組織をつくったり、新しいことにチャレンジをしてきたが、まずは自分がやってみないことには推進することが難しい。
素早い振り返り力
約2週間に1回のペースでホームでの試合が開催されることもあり、シーズン中は目まぐるしく時間が流れる。仕事は計画よりも振り返りが大切だと言われるように、仮説や計画に対してどうだったのか?というのを随時振り返りしなくてはいけない。
それを2週間という短い期間で、PDCAを回していく必要がある。期間が短いこともあって抜本的な改善は難しいが、細かく仮説を立ててアクションをしてそれに対する評価修正をしなくてはいけない。これは相当意識的且つ効率的にやることが求められるため、この部分のスキル・素早い振り返り力は求められるスキルではないだろうか。
相手にとっての価値を考える力
「お願いします」を脱却しないといけない。
スポーツチームは長らく地域やサポート企業に支えられ運営をされてきた。これは素晴らしいことであり、普遍的であってほしいと願う。一方で、お願いしてやってもらうこと、助けてもらうことには限界が訪れる。これからは相手にどんな価値を提供できるのかを本気で考えていかなければ生き残れない業界になってくる思う。スポンサーや自治体はチームを応援することで何の課題、ペインを解決できるのか?そこに向き合い、相手の価値を考える力が必要。
主役になる力
私が1番嫌いな言葉でもあるが、スポーツの仕事は選手以外の人のことを「裏方」と言う傾向にある。裏方とはなんだ?といつも思う。仕事は常に自分が主役でないといけない。もちろん、対外的に目立つのは選手だが、それが=表と裏の関係にはならない。勘違いして欲しくないのは、「目立ちなさい」と言ってるわけではない。選手にはプレーで活躍する役割であるように、それぞれに与えられた役割の中で主役級の活躍を見せることが大事である。人が集まってないスタジアムやアリーナで興行を行うのはプロスポーツチームとは言えない。そこに人を集め、賑やかさをつくるからスポーツエンターテイメント。それを作っているのは誰か?自分たちである。これを絶対に忘れてはいけないし、その継続が対価や報酬に繋がっていくと私は考えている。
もちろん他にもたくさんの要素があるが、特にこのあたりが自分の中では大事だと思っている。
U-30ホームタウンサロン
若い世代から押し上げていく
スポーツチームで活躍するためのスキルを正しく教えたい。
そんな考えから、昨年(2023年)の10月に、スポーツチームで活躍するための実践型スクール『U-30のホームタウンサロン』を立ち上げた。
スポーツビジネスを学べる場所は増えてきた。しかしその大半は有識者が学術的な話や海外スポーツの事例をもとに知識を取り入れるというのが中心である。これはこれで重要なことかもしれないが、私は別のアプローチで教えたいことがあった。
一つはマインド醸成。教育というのは、スキルとマインドをセットで教えていく必要がある。必要なスキルの話でも伝えた通り、これらは考え方を変える、身につけることで習得できる部分が多い。
もう一つは実践型にこだわり抜くこと。チームの現場を経験した私が見えてきた超リアルな課題、超リアルな可能性というのがある。その部分をプログラムに取り入れたいと考えた。外から見える課題は抽象度が高く、若干のズレがある。困っていることは、もう一層深いところにあるという表現が正しいのかもしれない。
現場の生きた声
講師はスポーツチームの最前線で活躍する経営者クラスにお願いをした。ここも相当なこだわりを持っている。私が評論をできる立場ではないのは前提にしておきたいが、選定の基準はチームビジョンを明確にしそれが事業として体現されているかが重要なポイントになった。スポーツチームの経営は勝ち負けも大事だが、勝ち負けの先にある実現したい世界が何かを持っていなければ人は巻き込めない。競技面、事業面、社会性の三方で明確な戦略を持っているチームは成長していると私は考える。その生きた話を聞けることに一つ大きな価値を置いている。
参加者と月に1度の1on1をやる理由
私たち運営に関わるメンターが月に1度参加者と1on1を実施している。講義の解像度や理解度を高めるためと伝えているが、もう少し丁寧に説明したい。
U-30の講師はHowを教えてくれない。それはHowよりもWhyが大切だと思っているからだ。そこで起こり得るのが伝える側と受け取り側のギャップだ。講師が何を考えてその話をしているのかを間に入って説明していく必要がある。会社に例えると分かりやすいが、社長の考えを理解している一般社員はそうそういない。視座、視点、視野、全ての部分で異なる見え方を、近づけてあげるのが私たちの役目になる。
アウトプットがあるから成長する
スクールでよくあるのは、実践型と謳いながら、課題設定が芯をとらえた課題になっていないケースや、実際にチーム側が実施することがない前提で進むことが多い。これでは中途半端な成果発表で終わってしまう。やるからにはスポーツチーム側に導入してもらうくらいの気概で取り組んでもらう必要があるし、良いアイデアだと思えば導入してもらえるように我々もサポートをしていく。
なぜホームタウンなのか?
最後にサロンの名称にホームタウンが入ってる理由を説明したい。スポーツはこの数年で価値の見られ方が変わった。「感動する」「応援したい」というエンターテイメントの要素が最大の価値ということは変わらないが、そこにスポーツを活用して社会課題を解決していくという軸が増えた。Jリーグの「シャレン!」、Bリーグの「B.Hope」がまさにそうだ。スポーツ庁でも地域版SOIPという枠組みで、地域の社会課題をテーマにチームと企業が共創してビジネスアイデアを考えるという取り組みがある。これらの共通点は、地域への奉仕貢献という従来の考えから、利益を出し持続可能な課題解決モデルへと変化していくことだと言える。
そして、その中心にはチームが拠点を置くホームタウンの課題解決というのがある。
そういう背景も含めて、このテーマを設定した。ホームタウンに力を入れることはスポンサー営業、チケットマーケティングにも大きな影響をもたらす。そのあたりは講義を通してじっくりと伝えていきたいところである。
2024年5月から第二期を開始する。参加者に重要性を理解してほしいという考えのもと、事前の説明会を実施している。この記事を読んで興味を持っていただけたのであれば是非この扉を開いて共に成長していきたい。
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▼事前説明会を実施しています 気になることを役員に直接質問できます
▼本申し込みフォーム
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