これからのスポーツビジネスに必要な「ホームタウン活動」を学ぶ場をつくった理由
スポーツビジネスに携わってから約5年が経ちます。
私はIT広告業界でキャリアをスタートさせたこともあり、リアルとデジタルの真逆にあるスポーツという業界は、文化やそこに関わる人を含めて何もかも違う印象をうけました。
外の声を拾うと、スポーツ産業は他産業に比べ成長スピードが遅く改革がなされていないという意見もあったりします。
これに関する是非について何か私見があるわけではありませんが、見方によってはそうした指摘も一部正しいのかなとも思います。
一方で、中に入ってみないと気が付かなかった他業界とは比較にならない素晴らしさ、価値も見つけることができました。
それが「感動や共感を生む力」です。
興行として行っているプロスポーツは何かしらの結果、勝敗を目指して戦います。
勝利を掴むためには選手や監督だけではなく、裏でチームを支えるスタッフ、応援するファン、自治体・地域住民、スポンサー企業、多様で複数の力の掛け算が必要になります。
そして、それぞれの立場で結果を求める過程にストーリーがあります。
震災、疫病、戦争。生きていると様々な障害が起きます。
その度に、人は生活を脅かされ、苦しみ、悲しみを繰り返します。
そんな時にスポーツは夢や生きる希望を与えてくれます。
東日本大震災後、東北楽天ゴールデンイーグルスは被災地を周り被災された方々に声をかけました。もう一度応援する喜びを取り戻してもらうため、必死に野球を頑張る姿を見せました。
新型コロナウイルスの流行がピークの中、反対を押し切り無観客・強行で開催した東京オリンピック・パラリンピック。選手たちが必死になり戦う姿はテレビを見ている人たちに困難を乗り越える勇気や生きる希望を与えました。
すでにスポーツの価値は多くの人が感じ取っているはずです。
そんなスポーツをエンタメというカテゴリで収めてしまって良いのか?
不安定な世界情勢を乗り越え、より良い社会をつくっていくために、スポーツはもっと貢献をしていけるのではないか?
そんなことを考え、コロナが日本に上陸した2020年、「スポーツを通して社会貢献活動を応援する」、「スポーツを通して社会課題を解決する」ことを目的にSports for Socialというメディアが誕生しました。
SDGsという言葉の浸透も相まって、各スポーツチームが主導して社会貢献活動やサステナビリティ活動をスタートするケースも年々増えています。
チーム単体だけではなく、自治体、企業がスポーツチームと共にソーシャルアクションを実現する新しいコラボレーションも形成されつつあります。
これまで、応援をされてきたスポーツが、その恩返しとして社会に役立つことをしようと動き始めています。
その象徴がJリーグの『シャレン!』であり、Bリーグの『B.Hope』だと思います。
しかし、まだまだこれらの活動は試験的であり、持続可能なものとは言い切れません。
では、今後何が必要か。
思考を重ねる中で辿り着いた答えが『U-30ホームタウンサロン』の開講でした。
U-30ホームタウンサロンを簡潔に説明すると、これからのスポーツ界を担う30歳以下の人がホームタウン活動やスポーツを通した社会課題解決の重要性を学ぶと共に、実践で使える力が身につく場です。
ここに至った経緯はいくつかあります。
1. 現場で働く若い人材の育成
スポーツビジネスを学ぶスクールは数多く存在します。海外の成功事例をもとに、マーケティングやセールス、ファイナンス等を学ぶ。これは当然必要なことだと思います。
一方で、現場力を高める場所や、国内スポーツにおいての成功事例を事業責任者クラスから直接指導をうける場所は少ないと感じました。
机上の空論でビジネスは成功しません。海外事例を参考にしても、国内マーケットを理解し、適切なプロセスで進行できなければ前には進みません。
また、人材育成の制度も他業界に比べると不足しています。20代という年齢は、キャリアの目的が定められないであったり、感情の起伏が激しい時期でもあります。支えてくれるメンター、答えに近づくインプットが必要です。今回の特徴の一つ、メンター制度にはそうした背景があります。
2. ホームタウンや社会課題への意識はすべての職種において必要
繰り返しになりますが、スポーツチームの使命はチームの拠点を置く地域の課題や社会課題を解決することだと考えています。
はっきり言えば、このマインドセットを持たず、所属チームの勝敗だけを見ているようでは、スポーツの世界で活躍することは不可能です。
例外なく、活躍している人は、その人自身が解決したい社会課題を持っています。
SDGsという言葉を使ったポーズを脱却し、本当にスポーツビジネスパーソンとして何を解決したいのか、貢献したいのか。その軸をつくることが必要だと考えました。
3. 新たなスポンサー獲得・集客に繋がる
最後はチームの収益源に結びつけるという話です。今回、ホームタウン担当のみを対象にしていないのはここにあります。
営業で言えば、スポーツチームは長くから企業による応援(パートナーシップ<パトロン)が収益の軸になってきました。しかし、応援という枠には限界があります。スポーツチームは、企業の課題解決につながるソリューションを提案するフェーズを迎えています。そうした背景と、社会課題解決というのは非常に親和性が高く、時流にもマッチしています。
集客においても同様です。スポーツは初期観戦ハードルが非常に高いサービスです(興味を持つまでが長く、それまでは映像も言葉も刺さりにくい)。だからこそ人の集め方を工夫する必要があります。広告一辺倒の戦略では大きく集客を伸ばすこと難しく、地域やホームタウン等の関係人口をどのようにして増やすのかがポイントになってきます。
これらを踏まえて今回のプログラムは構成されました。
私たちがコミットすることは、参加者の皆さんのアウトプットです。
使えなければ意味がない、その時から変わらなければ意味がないのです。
約3年間、70チームをこえるプロスポーツチームの活動を見てきました。私自身が共同者として参画するケースもありました。
その中で、強い想いから事業アイデアを考え、結果を出したチーム/人を厳選し、記念すべき1回目の講師をお願いしました。
プロスポーツチームではじめてこども食堂の常設化をはじめるなど、SDGs文脈での事業化を成功させているBリーグ・秋田ノーザンハピネッツ。
こども食堂を立ち上げる時、水野社長は周囲に言いました。
「続けられないと少しでも思うならやらない方がよい。継続しないと意味がないんだ。」
こうした信念があるからこそ、困難と言われたこども食堂の常設化を実現し、様々な切り口でSDGsのパートナー獲得に至っています。
平日昼間のエデュケーショナルデーを開催したJリーグ・モンテディオ山形。結果として、平日の昼間にこどもたち3,000人を集め多くのスポンサー企業を獲得した好事例となりました。
しかし、その裏には明確な地域課題の設定がありました。いじめの増加、運動不足、多様性の理解。目まぐるしく変化する時代の中で、こどもへの教育もまた変化やスピード、広さが求められます。学校が抱える課題を、エンタメと融合して解決する企画ストーリーに成功の秘訣がありました。
リーグやチームの認知度に左右されず、スポーツの本質的な価値に目を向け事業発展をさせている湘南ベルマーレフットサルクラブ。ホームタウンである小田原市との包括連携協定や、社会課題解決を軸にした160個の事業づくりを掲げ、企業を巻き込んだ形で一つずつローンチを実現しています。
これらの活動は、一般的なスポーツビジネスのスクールやプログラムと比較すると少し分かりにくい部分もあるかもしれません。
もっと分かりやすいことができたかもしれません。
でもそれだと、これまでと何ひとつ変わりません。
私たちはスポーツビジネスを変えたいのではなく、社会を変えたい、良くしたいと思っています。
すでに、数名の方に応募していただいていますが、人の数は気にしていません。仮に1人でも、その人にとってのインパクトある期間をコミットします。
最後に、
私の想いはやはり「スポーツフォーソーシャル」なんです。
スポーツは社会のためにあります。
一緒に熱い半年間を過ごしましょう。
株式会社HAMONZ(Sports for Social 運営) 代表取締役 山﨑 蓮
U-30ホームタウンサロン
◆プログラム構成
プロスポーツチームの社長や責任者レイヤーが講師として自チームの活動をベースにお話いただきます。
◆説明会の案内
詳しい情報を知りたいという方向けに事前説明会を実施しています。一人ひとりと向き合うために各界最大5名様の制限を設けさせていただいております。第1回:9月25日 19:00-19:30(募集終了)
第2回:10月2日 19:00-19:30(募集終了)
第3回:10月16日 19:00-19:30(残りわずか)
第4回:10月16日 20:00-20:30
第5回:10月23日 19:00-19:30
第6回:10月23日 20:00-20:30
第7回:10月30日 19:00-19:30
詳細は下記リンクからご確認ください。
https://peatix.com/group/9511418
◆受講料
一般:33,000円(交流会の参加費は含まれません)
学生:16,500円(交流会の参加費は含まれません)
◆申し込みフォーム
◆プレスリリース