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本の感想9『わけあって絶滅しました』丸山貴史

暇つぶしに手に取ってみた本。なかなか面白かった。

動物の絶滅について知るなんて、小学生みたいで素晴らしい。

以下、動物が絶滅する二大要因を挙げる。

環境の変化

テレビ番組やニュース、先生や親からの情報の刷り込みのせいで、生き物の絶滅と聞くと人間が悪者のような印象を抱く。まあたしかにそれは間違ってない。

しかし人間による迫害は、長い目で見ると規模は小さい。

数字的には、地球上に生まれてきた生き物のうち、もうすでに99.9%もの種の絶滅の原因は環境の変化のせい。

例えば恐竜が幅を利かせていた中生代後期では、隕石によって地球上の気温が変わったせいで、その時に存在していた約70%もの生き物が絶滅している。生き物は、大抵急激な気温の変化に対応できないのだ。

他の例では、さらに昔の時代の話だが、マグマの大噴出によってその時点に存在していた95%もの生き物が絶滅したこともある。

だから、「人間のせいで地球の動物は苦しんでる」的な一直線に結びつくヒステリックなイメージはおかしい。(そもそも、人間も進化の過程でたまたま生まれた自然な動物であるのだ。)

このように、環境という要因はかなり大きい。環境の変化が沢山の生物を絶滅させてきた。恐竜のように他の種を圧倒し、体が大きくなった生き物がどれだけその時代を有利に過ごそうとも、理不尽な環境の変化や自然の前では関係ないのだ。

ほかの生き物によって絶滅

より強い、より速い、より賢いなど、自分の住む環境に適応したり侵入してきたライバルによって「すみか」や「えもの」を奪われ絶滅する例が数多くある。

また、全体的な目で見ると割合はだいぶ少ないが、人間も多くの動物を滅ぼしてきた。食料として狩りすぎたり、今まで無人だった島にペットを連れ込んで、そいつがもともといた生き物を滅ぼしたりした。

でも、マンモスを狩ってた時代の人たちの思考に、生態系の事なんて浮かばないよなぁ。狩猟と採集の時代には、まだ計画的なものはない。神も存在しない。

感想

「絶滅があったからこその私たち」

著者がとても素晴らしい表現をしていた。
「わたしたち生き物は、地球全体でイスとりゲームをしているようなもの」

恐竜が地球のいい席を独占していたせいで、ほかの生き物たちはひっそりと暮らすしかなかった。体も大きくできない。そこに隕石がきて、恐竜の絶滅したことで地球に空席ができたわけだ。

その空席に座ったのが哺乳類や鳥類で、絶滅がなかったらそれらの進化はありえなかった。陸海空とそれぞれ進出し、体も大きくすることができた。絶滅と進化は背中合わせの状態なのである。

あと一つ共通して言えるのは、「生き物は突発的な変化に弱い」ということ。環境の変化も、ゆっくりとしたものであれば生き物自体もそれに対応していける。長いゆっくりとした時間の中で、自然に変化していける。人間が狩を始めても、卵を産む数を増やしたりできればいいのだが、そんな急激な変化はできない。




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