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物語は残酷だ。 現実には終わり等ないのに、物語には終わりがあるのだから堪ったものではない。 それが終わった後も、生き続けねばならぬこちらの身にもなって欲しい。 あの輝かしく切り取られた時間の果てを、きちんと描いてはくれぬものか。 ハッピーエンドで終わるもの程、信用がならないと思うのは、僕がひねくれているからだろうか? そんなことを、会社の屋上でコンビニで買ったサンドイッチを頬張りながら考える。 僕は物語が嫌いだ。 こっちの頭を一杯にして、さっさと去っていってし
「君は、偽善者だね」 夢の底から、私は必至で水面へ顔を出す。 心臓が全速力で走った後みたいに苦しい。 毛布を強く握りすぎて爪が痛かった。 あの日以来、夢で何度その言葉に貫かれただろう。 あの日、国語辞典くんが放った言葉は、棘みたいにずっと私に刺さったままだ。 小学三年生の時だった。 「あーちゃん、ごめん。今日はエミちゃんと帰るね!」 昨日もそう言って、サキちゃんはカナちゃんと帰った。 「ううん、大丈夫」 どうにか口だけは笑う。 「じゃーねー、明日は一緒に帰ろう