見出し画像

肖像画を学ぶ✍🏼奥深い歴史と変遷...実はあの絵画も肖像画?!

こんにちは!PRチームのnanaです☺️
今回は団体内でいつも行っている勉強会のレポート記事です🫶🏼
「肖像画」について取り上げたので、これを読んで一緒に楽しく学んでいけたら嬉しいです🌿

肖像画とは?

筆者作成

肖像画とはずばり「特定の人物の肖像を描いた絵」、つまり、特定の人物に似せて顔やその姿を描いた絵画ということです。写真のない時代には唯一の生きた証を残す方法でした🖼️

余談ですが、今回私がこのテーマを選んだ理由は、展覧会で肖像画を見る機会が多いけれど、肖像画についての知識が全くないな〜と思っていたからです!この機会を利用して私自身も肖像画について詳しくなれたら良いなと思い、まとめてみました🎵一緒に学んでいきましょう〜!!✍️

肖像画の定義を知ろう!

筆者作成

肖像画の定義について、みなさんは考えたことはありますか?

まず、肖像画の特徴は3つあります!
①直接モデルから写実される場合や、写真などの補助的な材料に基づいて制作される
②理想化、戯画化など、さまざまな作風がある
③描かれた時代や目的によって写実的だったり、理想化されていたり、抽象的だったりとさまざま

少し意味の難しい単語もありますよね💦
順に説明していきますので、安心してください👍🏻

①直接モデルから写実される場合や、写真などの補助的な材料に基づいて制作される

これは、皆さんがよく想像するであろう、モデルの方が目の前にいて、画家がそれをデッサンしていくという制作方法です!後半に書かれている、写真に関しては19世紀以降写真技術が発達した後の話になります📷

②理想化、戯画化など、さまざまな作風がある

理想化、戯画(ぎが)化ってご存知ですか?🤔
例を挙げながら説明していきますね!

理想化とは?

筆者作成

理想化とは端的に言うと"理想の形に近づけること" です。

この右側のナポレオンの有名な肖像画は、皆さんどこかで見たことがあると思います🐎
これは実は、理想化されているのでは?という説があります.... 
馬に乗って、アルプスを越えているナポレオンの姿はまさに、理想的な指揮官といった感じですよね✨しかし、実際に彼が乗っていたのはロバだったのでは?という言説があります。また、ナポレオンはこんなに美男子ではなかったとの噂も…

それでは何故このように理想化されていたのでしょうか🤔

これには歴史的背景が大きく関係しています。現在のように、テレビやラジオがなかった時代において、本人のイメージを作り上げ、政治的な主張をするための大切なメディアとしての役割を果たすことが多かったようです!この絵には、よく見ると、カール大帝などの偉大な指導者とともにナポレオンの名が刻まれています。このようなことからも、ナポレオンはこの絵を通して偉大な指導者と言うイメージを民衆につけたかったのかもしれませんね!

戯画化とは?

筆者作成

皆さん戯画化は知っていますか?
これは特定の人物に似せて描いた絵に、風刺や滑稽見込めて、誇張した筆致で描くことです。

例に挙げた3枚の絵画は実は、モネが描いた作品です!意外ですよね!

モネは、人物の特徴を誇張して描き、文具や額縁屋で販売していました。新聞に掲載されたりするほど人気だったそうです。モネは印象派の画家として印象強いと思いますが、初期はこのような絵を描いてお金を稼いでいたそうです🪷

現代だと、個性のあるパーツを誇張して書く似顔絵アートが近いと思います!

③描かれた時代や目的によって写実的だったり、理想化されていたり、抽象的だったりとさまざま

こちらについては、後ほど肖像画の歴史とともに一緒に紹介していきます!✊🏻

自画像との違いは?

筆者作成

次に自画像との違いについて説明します!肖像画と自画像の違いはどのようなところにあるのか、違いは明確なようで、説明しようとすると少し難しいですよね💦

簡単に説明すると、
肖像画とは"特定の人物を描いた絵画作品"
自画像は"画家が自分自身を描いたもの"
を指します📐

このように自画像と肖像画は描かれる主体が異なるため、表現する意図や視点にも違いがあります。
自画像は芸術家自身を表現することに焦点を当て、肖像画は他者の外観や個性をとらえることに焦点を当てています✨もう少し詳しく説明すると、肖像画はモデルの容姿や特徴を忠実に再現することが重要であり、人物の外観や個性を捉えることを目的としています。また先程のナポレオンの例のように、モデルの社会的地位や関係性なども表現することができます。
それに対し、自画像は芸術家の内面や自己表現を反映することが多く、作者の個人的な視点や感情が反映されることがあります。

この2つの違いを知ると、それぞれに対する見方が変わりますよね!🫨

歴史を知ろう!

それでは、次に肖像画の歴史について学んでいきましょう🎲

古代

筆者作成

肖像画の起源は、古代エジプト、ギリシア、ローマ時代にまで遡ります!

出生する前の恋人の影を松明の光で壁に映して、その輪郭を線で擦ったのが肖像画の始まりと言われています✍🏼写真のない時代、肖像画は唯一の"生きた証"を残す方法であったことを裏付けるものが多数残っています!ギリシアがローマの支配下となったヘレニズム期に入ると、それまで様式化されていた肖像画は写実的にに変化していきます。

上部の画像は、古代ローマのポンペイ遺跡で発掘された絵です。顔ははっきりとは見えませんが、建物の様子や人物を含め写実的に描かれていたことが分かります🎨さらに下部に画像のように、エジプトのファイユーム地区から出土したミイラの棺には、遺影のように写実的な絵画がが縫い付けられていたそうです⚰️
その後、キリスト教がローマ帝国の国境になると、個人の肖像文化は衰退していきます…😭

ルネサンス期(14,15世紀)

筆者作成

やっと中世キリスト教時代が終わり、14世紀になると、宗教画だけでなく、王侯や聖職者ら高貴な人々の肖像画が制作されるようになります!

初期は左側の絵画のように真横を向いた肖像画が主流でした🚶🏻‍♂️15世紀に入り、人間性の復活を掲げたルネサンスに入ると、個人の肖像画が芸術の1つのジャンルになります。特にネーデルラント地方(現在のオランダあたり)ではこの地で確立された油絵の具による写実的で精密描写が発達していきます!
その中で現在の肖像画の基本となる四分の三正面像が登場します🖼️
モデルが少し斜めを向いたポーズはこの時代から定番となりました!
皆さんもご存知であろう、「モナ・リザ」もこの技法が使われています。
「モナ・リザ」はこのような肖像画の発展の流れに乗って制作されていたんですね🙂‍↕️

オランダ黄金時代(17世紀)

筆者作成

17世紀に入ると、北部ネーデルラント(現在のオランダあたり)では貿易によって経済力をつけた市民たちが勃興します!
お金を持った彼らは、家に飾る絵として「風景画」や「風俗画」を購入するようになり、一般市民の肖像画も描かれるようになりました!その多くは注文のもとに描かれたそうです🎨そのため、夫婦が描かれた対の肖像画も多くありました!(左画像)

また、都市の裕福な市民たちの組合員が描かれた大規模な集団肖像画も流行しました🫅🏻有名なレンブラントの「夜警」も、市民団体の集団肖像画です✨(右画像)この絵画が肖像画の1種であるなんて、意外ですよね!私も驚きました😳

写真の登場(19世紀)

筆者作成

19世紀に入ると、写真が登場します!これにより、肖像画の表現方法も変化していきます➡️
以前は忠実に人物を描くことに焦点を当てていましたが、人間の精神や感情をあらわそうとする抽象的な肖像画が多く制作されるようになりました。

実は19世紀の有名な肖像画について調べてみたのですが、良い例が見つからず…個人の見解ではありますが、写真技術の発達により、肖像画を依頼する人や制作しようとする画家が少なくなったのかな?と思いました😞

まとめ

筆者作成

ここまでのまとめですが、大きく2つに分けてみました!

①肖像画は、その時代や社会的背景によってさまざまな意味があった
これはここまで読んでいただいた皆さんであれば、理解が深まったのではないでしょうか!
その時代の流れに併せて肖像画は変化していきました✨特に初期の方では、権力者にとっては、その威厳や地位を示すために肖像画はなくてはならないものでした。リーダーの英雄的な姿を描いて国民に示すなど、しばしば政治的プロパガンダにも肖像画が利用されていましたよね!その後は、都市が発展するとお金を持った市民の肖像画が作られるようになるなど、描かれる対象も変化していって面白いですよね!

②写真の無かった時代、「その人を記憶にとどめておく」ことは肖像画の大きな役割であった
これも凄く興味深い話ですよね!写真が登場する19世紀以前は、肖像画が重宝されていたことがよく分かっていただけたと思います!🧑‍🎨

番外編:好きな肖像画

筆者作成

番外編として私の好きな肖像画を紹介したいと思います!

これはマリー・アントワネットの肖像画です!マリー・アントワネットはルイ16世の王妃で、フランス革命で処刑されました。
彼女はファッションが大好きだったので、良く奇抜なドレスやカツラなど、当時の流行の最先端を取り入れていました👗
当然貧しい生活を強いられていた市民からは、批判の声を沢山受けていました。実はこの肖像画も、批判の対象となっていました。これはシュミーズドレスと呼ばれる、現代でいう下着のようなものでした。
当時の貴族の間では、シュミーズドレスを着ることが流行していましたが、国王の王妃が、下着姿をさらすとは!ということで批判されたそうです😞

また、帽子にはダチョウの羽が使われているなど、贅沢をしていることに対しても不満が集まりました。

このような背景がこの肖像画にはありますが、よく絵画を見てみてください!ドレスのふんわりとした質感やレースのきめ細やかさなど忠実に再現されていますよね🥹とっても可愛いです🩵

この絵画はヴィジェ=ルブランという女性画家が描いたもので、マリー・アントワネットの専属画家でした。本人もとても美しいことで有名です👩
沢山マリー・アントワネットの肖像画を描いているので、他の作品も見てみてくださいね👀

感想

筆者作成

調べてみての感想をまとめます!
今回は、新たな発見が沢山あり、私自身の勉強にもなってとても良い経験になりました✨特に今回は西洋画を中心にまとめていきましたが、東洋画の肖像画の歴史も追ってみたいなと思いました!また、現代の肖像画はどのように変化してるのか、そしてその存在意義はどのようなところにあるのか、についても調べる必要があるなと思います🙂‍↕️
皆さんも展覧会で肖像画を鑑賞するときには、今回学んだことを思い出してくれたら嬉しいです✊🏻
最後まで読んでいただきありがとうございました!

next▶︎▶︎▶︎
こちらも併せてぜひ🍃次回もお楽しみに〜🕊️

いいなと思ったら応援しよう!