干しエビの天ぷらの殻の複雑なフレーバー カンパーニャ州のミネラル感豊かな土着品種
昭和感香る商店街で夕飯のおかず探しをしていると、シーフードアンテナが反応。魚介の天ぷらが目に飛び込んできた。
陳列棚に並んでいたキス、イカ、タマネギたっぷりのむきエビ、干しエビの4種の天ぷらを購入する。
自宅でイタリア北部のスパークリングワイン、南部の海沿いのカンパーニャ州のフィアーノ品種、そしてフランス プロヴァンスのヴェルメンティーノ品種の3種に合わせた。
天ぷらは風味が繊細なので、比較的風味の軽快なワインを選んだ。特にカンパーニャ州のワインの塩味やミネラルのニュアンスが、エビの天ぷらと素晴らしい相性を見せた。
ロータリ, ブリュット プラチナ, トレントDOC, 2016, , 12.5%, 1,746円
Rotari Brut Platinum
色調は7年熟成による深みを呈する。
香りにはリンゴのコンポートの厚みのある果実香、海藻のヨード香、微かな干しわらとヘーゼルナッツが複雑さを。
風味にはみずみずしくピュアな果実味、シャープな酸味はアルプス山脈が育むシャルドネの恩恵(シャルドネ 80%、ピノ・ノワール 20%)。ステンレスタンク発酵で果実味のフレッシュ感は強い。中盤からヨードのニュアンスに富みややビター、鼻腔にはブリオッシュが抜ける充実の質感。
キスの天ぷらに合わせる。ケンカはしないが、キスの淡白な脂にはワインのフレッシュ感のある果実味とシャープな酸味がやや強いか。相性: ★★★☆☆
イカの天ぷらに。洗練されたワインのスタイルは天ぷらの優しい素材を引き立たせる。欲を言うと、もう少し繊細さと奥行きのワインであれば、繊細な天ぷら料理との相性はさらに良くなりそう。相性: ★★★☆☆
シャトー・ド・ロムラード, キュヴェ・マリー・クリスティーヌ,プロヴァンス 2021, 1,631円
Château de l’Aumerade, Marie Christine, Cotes de Provence, 2021, 13.5%
シャトーの創設は15世紀に遡る、可愛らしいボトルで堅実な品質、1,000円台とコストパフォーマンスも素晴らしい。
グレープフルーツの甲高い香り、微かに海藻やヨードのニュアンス、軽やかにハーブの爽やかなニュアンス、
果実味の凝縮感はかなり控えめでみずみずしい、やや明瞭に塩味、中後半にかけてやんわりとほろ苦さが引く、果実味が控えめなので料理とぶつかりにくく幅広く合わせやすい。
キスの天ぷらに。ワインの軽快な凝縮感の果実味は繊細なキスの脂にもそっと寄り添う。相性: ★★★☆☆
イカの天ぷらに。少し塩を振ると、イカの甘味が引き立ち、またワインのハリのある果実味との繋がりが良くなる。相性: ★★★☆☆
むきエビの天ぷらに。ややタマネギの香味が強く、ワインが圧される印象ではあるが、ワインのみずみずしく軽快な果実味はさすがフードフレンドリー。相性: ★★★☆☆
干しエビの天ぷらに。むきエビにはなかった干しエビの殻の香ばしいフレーバーにヴェルメンティーノ品種特有のハリのある果実味の質感が絶妙に調和。相性: ★★★★☆
マストロベラルディーノ, ラディーチ, フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ DOCG, カンパーニャ, イタリア, 2021, 2,732円
Mastroberardino, Fiano di Avellino, Radici, Campagna, Italy
イタリア南部ティレニア海沿いのカンパーニャ州、標高520-620mの単一畑で栽培される地場のフィアーノ品種。ラディーチは根の意。
香りには青リンゴ、ライチの爽やかでほのかに甘やかさ。潮の香り、白胡椒のスパイス、ヨードのニュアンス、フラワリーな香りも強く、セルフィーユのハーバルな印象も。
風味はみずみずしく果実味は程よく抑制されている分、明瞭に感じる酸味と塩味。余韻にはほのかにフェノリックなタッチとほろ苦さを残す。
むきエビの天ぷらに。玉ねぎの爽やかなフレーバーを起点に、ワインの塩味とミネラル、エビの香ばしい風味が重なる。相性: ★★★★☆
干しエビの天ぷらに。干しエビの殻のフレーバーにワインの塩味とミネラルが絶妙に重なる。相性: ★★★★☆