ごほうび鮭ハラス弁当 カジュアルなカヴァ
出張帰り、スーツケースを引きずり駅構内の惣菜屋さんで見つけた、いくらと鮭ハラスの弁当を購入。
こういった魚介の弁当や惣菜からしばし遠ざかっていたので、目に入るや心がほっこりとした。出張先の中東でのシーフードはスパイスの効いたものが多かった。それらはいつも中東料理というわけではなく、エアコンの効きすぎた屋内で冷え切った身体が、自然とスパイスを欲していたから自ら進んで食べていたのだが。
弁当は鮭フレークの上にハラス、そしてその上にいくらがたっぷりと乗っている。普段は弁当に1,500円は使わないが長期出張の帰国日くらいは良しとする。
ちなみにハラスとは、魚のお腹の部位を指し、鮭ハラスはマグロでいうとトロや大トロの部分のこと。脂のり、柔らかな食感、旨味のある味わいが特徴だ。一尾の鮭から2本しか取れない希少部位である。自宅に着き久しぶりの国産ビール、マルエフを飲み終え、自宅のセラーにあったカジュアルなカヴァを取り出す。
エレタット・エル・パドルエル, ブリュット・ナチュレ, メトッド・トラディショナル D.Oカヴァ, 1,580円
Heretat El Padruell Brut Nature CAVA D.O CAVA Traditional Method (J.Garcia Carrion)
品種はマカベオを中心に、チャレッロ、パレリャーダをブレンド。12ヶ月以上の熟成。
香りにはグレープフルーツの酸を感じる快活な柑橘香、ライムの青みを感じる柑橘も、青いトマト、ホシワラ。白コショウ、フェンネルのスパイスとハーブ香が心地よく鼻腔をくすぐる。
みずみずしく果実味はやや穏やか、ビターなトーンがかなり強めに、酸味は中庸、余韻にもしっかりビターさと塩味が残る。凝縮感、複雑さ、奥行きには欠けるか。ただ、この値段では非常にお買い得なクオリティだ。
いくらと鮭ハラス弁当にカヴァを合わせる。
鮭のフレークの塩味に、ワインのジューシーな果実味と余韻のほのかな塩味がしっかり寄り添う。ハラスの柔らかい歯ざわりに続いて豊かに広がる脂と旨味に、ワインの酸味とほのかな塩味のニュアンスは悪くない組み合わせだが、今一つ感動には欠ける。そしてクライマックスの弁当箱の最上段のいくらに。魚卵の特有のコクと磯の香りに、ワインを合わせると臭みがどっと湧き立ってしまった。今回のカヴァはどちらかというとフレッシュな仕上がりで果実味がやや支配的。果実味以外の要素や奥行きには欠ける。醤油漬けでしっかりと漬けの効いたいくらに、熟成期間の長い果実味の落ち着いた複雑な味わいのカヴァを合わせてみると少しは異なる展開になるかもしれない。ただ、魚卵とワインを合わせるときは多少のリスクの覚悟が必要だ。その分、難しい食材とワインの相性がはまったときのホームラン的感動があるから挑戦はやめられない。
相性: ★★☆☆☆
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