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「次善の選択肢としての『小市民』四季:普通を装う非凡さと他者性が交差する瞬間」

Introduciton まずは作家について言及すべきだ。米澤穂信という作家は、実に面白い存在である。 なぜならば、「本格」「新本格」といったジャンルの作品を書きながらも、ファウスト直系のメフィスト作家、つまり西尾維新のような部類に属さない。そして、東野圭吾や宮部みゆきのように大衆に広く受け入れられる作家でもない。その中道を行く作家だからだ。 米澤穂信はアニメファンにも一定以上の知名度があり、一般層でもその名前は広く知られている。それにもかかわらず、彼にはアンチという存在が

    • 『トラペジウム』感想−「東ゆう」の圧倒的正しさについて・或いは夢と「成る」ということについて

      ネットの評判で主人公の「東ゆう」というキャラクターの性格が「最悪」「最低」「人の心がない」と散々の言われようで言及されること、一方でアイドルになりたい人間がグループを結成していくという群像劇ということもあってつい先日鑑賞をした。 結論から書くと、本作の主人公「東ゆう」は全くもって「性悪」な人間ではない。 個人的には全肯定で否定要素はない。寧ろあの性格こそが本質的な人間性をよく表していると思う。「夢」を持つ人間の異常性だと思うし、故にそういう人間になれるからだと思うからだ。だ

      • 『OPPENHEIMER』と『Dune part two』を鑑賞。

        ここ最近話題の洋画大作『OPPENHEIMER』と『DUNE part two』をそれぞれ公開してから数回劇場に足を運んだ。どちらも監督が非常に秀でていた作品であった。いくつかの要素を提示しながらそれぞれの作品の良さについて述べていこう。 まずIMAXで見るべき作品としては『DUNE part two』の一択である。全編IMAX画角で見ることができ、アスペクト比を気にする必要もないため画面に集中できる。砂虫の大群のシーンをはじめ、あらゆるビュジュアルが映画館でしか再現不能の大

        • 『Avatar: The Way of Water』の物語予想とAvatar sagaとしての全体図を考える

          『アバター2』の物語予想図と5までの展開について  まず箇条書きで書いてみた 『アバター2 』物語予想考察 その1 ジェイクはネイティリと結ばれ子供ができてる。 後付けではあるが、これを物語に入り込むことで続編を作られる。この時点でどういう物語になるかは大凡パターンがつく。ナンバリングが5まであるのがその証左。 『アバター2 』 物語予想考察 その2 ナヴィ族という事から分かるように、部族ということだ。ということは惑星パンドラとはいえそれぞれの縄張りがあり、そこを長が仕切

        「次善の選択肢としての『小市民』四季:普通を装う非凡さと他者性が交差する瞬間」

        • 『トラペジウム』感想−「東ゆう」の圧倒的正しさについて・或いは夢と「成る」ということについて

        • 『OPPENHEIMER』と『Dune part two』を鑑賞。

        • 『Avatar: The Way of Water』の物語予想とAvatar sagaとしての全体図を考える

          面白さを追求することについて

          本当に面白いと思っているかどうかベストセラーN万部、全米が泣いたといった文言をみると、毎度うんざりする。色々な界隈の著名人延いては海外が絶賛。こういった文面に踊らされている人が正直言って嫌いだ。自分が「面白い」と思うための確固たる意思ををもっていない。つまりは動機付けを他者や広告代理店等に委ねている。つい1日前まで興味のなかったことでも「何か」が働いたらそれに対して無自覚に漠然とした浅い興味心を抱かされていることに気づけないのだ。ノーベル文学賞が発表された途端その本を買ったり

          面白さを追求することについて