📚「傲慢と善良」を読了して
〜特に響くであろう方〜
•自身を取り巻く交友•家庭環境に対して
不満を 持ったことのある人
•結婚を意識している、考えている人
• 理想の相手とは何か分からない人
(秘書問題にも言える最適停止問題状態)
•地方出身者、世間体を気にしすぎてしまう方
には総じて深く刺さる一冊になると思う。
〜あらすじ〜
〜感想〜
冒頭より不穏さを感じ、私が受けた印象としては
この主人公の女性(以下、真実とする)は精神疾患があるのか?と
私の職業病的疑念を抱きながら読みはじめた。
事態は思わぬ方向へ急転し婚約者の男性(以下、架とする)は
彼女の過去と取り巻く人たちとの対話の中で自身の知らない
彼女の一面を目の当たりにしていく。
全体を通して、辻村深月氏の「分かる」「こんな人居るな」と
想起できる程の人物に対する表現。
恋愛や婚活を行っていて生じ得る、疲労感の正体。
また、『結婚』における社会的な信用度や友達、家族、職場に与える
影響と重圧などを浮き彫りにし、年齢を重ねるにつれて大きく重い存在となってくることへの根源的な問いと作者なりの解釈。
コミュニティにおける世間体やマウント。
過保護な親におけるバイアスなどを
的確に描写してくれている。
このことは、私の中で”モヤモヤ”と毒のように消化できず
溜まっていた思いを納得することができた。
女性側の意見としては真実に対する周りのレッテルは賛同が多いと思う
一方で真実の抱える心境もわからなくはないと思ってしまう。
これはあくまで私のバイアスではあると思うが
真実のような女性は今回の件で自身の行いを猛省するというよりは
どこに身を置いても自分の価値を見誤り、周囲に優劣をつけて見下しつつ、他者に判断や責任を求め続けていくのだろうとも思った。
この辺りに対しては皆さんがどう感じたのか性差問わず気になるところである。
〜学び〜
『人の過去は知ってところで、いいことがない』
知らなくてもいい過去や知らない方が幸せなことってあるよなと再認識したまた、自分にとって大切な人ほど「清く」「潔白」であってほしいと思い、それ故に事実を受け入れ難いこと。 その時に送られる言葉や真理については耳がに入ってこず、響いてこないこと
『分かるな』と読んでいて賛同してしまうことで気がつく
自身の心の内に潜んでいる本音や抱えている傲慢さ。
ある意味、今後誰かを愛する時に、 思うべきこと、してはならないことを
学べたように思う。
(寧ろ好きになった人に読ませてどう思うか=自分との乖離の度合いで恋愛を進めたいくらいだ。 そんな私の我儘なことに付き合ってくれる時点でとてもいい人にも思えてしまうが…)
また、私は読書の際マーキングして読んでいくのだが
今回はなぜかそれができなかった。
これは退屈だからとかではなく
問題を抱えている今言葉を書き記していくことは
「なぜ?」と自身に問うたび、深淵に迫っていくような、
精神的に私が後戻りできなくなってしまいそうだと思ってしまったが故の
自己防衛であったというのが理由である。
自身の状況も相まって刺さりすぎて
本当に何度も本を閉じて休憩してからでないと読むのが難しかった。
今までそんなことなかったのでそういった意味でも、
とても衝撃的な一冊となった。
心が落ち着いている時に読んでもまた違うのかなと思うため再読する日が待待ち遠しい。
そして、 これだけ人の気持ちを赤裸々に描写できること理解される言葉を
紡げる事は素晴らしいなと思うとともに、私自身も思考と言葉の出力速度を言葉の解像度を高めていけるように努力していこうと思った。
是非皆様にも自分の深淵へと入り込む
濃密な読書体験をこの一冊でしていただきたいと思った。