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【製本記】 飛ぶ教室

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『飛ぶ教室』(エーリヒ・ケストナー 作/高橋健二 訳)丸背上製・布装ができるまで。
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記事一覧

【製本記】 飛ぶ教室 09 | 丸背上製・布装ができました!

題字の箔押しから戻り、ようやく『飛ぶ教室』が完成した。数々の反省点とともに、製本様式や製…

【製本記】 飛ぶ教室 08 | 本という方舟

表紙の見返しに糊を入れる。見返しに選んだのは、フランスの老舗製紙メーカー、キャンソン社製…

【製本記】 飛ぶ教室 07 | 闇に瞬く小さな光

いよいよ『飛ぶ教室』の表紙に取りかかる。二つの案の間でどうしたものかと揺れていた表紙は、…

【製本記】 飛ぶ教室 06 | 天を染めて思うこと

背に寒冷紗を貼ったところで、『飛ぶ教室』の天の小口を染めることにした。「小口(こぐち)」…

【製本記】 飛ぶ教室 05 | 24年で4週間しか会えなかった友達

糸かがりした『飛ぶ教室』を水平に置き、背の丸みをだす。この作業を「丸みだし」と呼ぶ。本に…

【製本記】 飛ぶ教室 04 | 描きたくはないが描かねばならないものを描きつづける

目引きを終えた『飛ぶ教室』を糸でかがる。「かがり台」に支持体の麻ひもを垂直に張り、この麻…

【製本記】 飛ぶ教室 03 | 本の味

折丁を復元したところで『飛ぶ教室』の下準備が整った。つづいて、15折の背を突きそろえ、手締めプレスに挟む。5箇所に線を引き、のこぎりで切り目を入れる。これは糸を通すための穴をあける作業で「目引き」という。 和紙でつないで見開きにしているのだから、折丁の背はすべて和紙だ。ということは、力任せにのこぎりをぎこぎこ押し引きしたのでは具合が悪い。柔らかなものに少しずつ刃を沈めていくつもりでやらねばならない。おそらく、焼きたてのパンを切る感覚に近いんじゃないだろうか。「おそらく」と断

【製本記】 飛ぶ教室 02 | エーミールの憂鬱

バラバラにした『飛ぶ教室』を、再びつなぐ。細く切った和紙をノドに貼ることで、もともとつな…

【製本記】 飛ぶ教室 01 | 親愛なるケストナーさんへ

小説『飛ぶ教室』に取りかかる。約90年前、ドイツで生まれた児童文学作品だ。日本でも邦訳が重…