幸せという幻想。
幸せになりたいと、ずっと思っていた。
幸せは未来にあるから、
だからこそ、
今を犠牲にしてもいい。
「いつか幸せになれる」
その縋るような願望が、
日々の原動力になっていた。
つらい、と感じることすら麻痺していた。
何がつらいかもわからない。
ただ必死で前に進む。
不満すら思い浮かばないほどに。
痛みさえ感じなかったのは、
いつか幸せになれる、という
綺麗な幻想に生かされていたから。
幸せの条件って何だろう?
収入や学歴、
地位や名誉、
他人からの羨望や賞讃・・・
見えるようで見えないもの。
人がそれが幻想だと気付くのは、
何かをなくした時なのかもしれない。
幸せは、
幸せになりたいという
願望を
手放した時に
確かにある。