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霊峰富士 (内本實)。

昨日は富士山の静岡県側の入山解禁日です。年々高まるインバウンド需要とやたらで、何処に行っても外国人観光客が犇いており、東京や京都は云うに及ばず、冬場はニセコや野沢温泉などのスキー場までも国際化の様相を呈しているとか。日本最高峰の富士山もその例に含まれており、外国人登山者による「弾丸登山」も問題化しております。長くなりましたが、今夜はその富士山の歌を。此の「霊峰富士」は北原白秋作詞、山田耕筰作曲で、声楽家でテナー歌手の内本實が吹き込みました。昭和8年に入るとコロムビアは日本各地にある国立公園のアピールソングの制作を行いまして、北は大雪山、南は霧島岳に至るまで、指定された山や湖などの歌を各々一箇所一枚づつ制作。いずれも会社専属の作詞、作曲家達が動員されており、此の中から山田耕筰は富士山を担当しております🗻。

「霊峰富士」はA面を内本實が、B面を渡邊光子が歌っております。内本バージョンはスローテンポで演奏されており、山田耕筰指揮する日本コロムビア交響楽団がバックを務めました。スローなので二番までしか収録されていないのですが、その分だけ内本の美しいテノールが鳴り響いた録音です。流行歌とは違う楽団の伴奏であり、ピアノ、鈴、バイオリンなどが静かなサウンドを生み出していました。富士山の荘厳な気候な風景が上手く曲に滲み出ており、民謡風の旋律もポイント。歌う内本實は大阪出身で、主にイタリア歌曲をレパートリーとしてコロムビア青盤声楽家として活躍。「遥かなるサンタルチア」「マリア・マリ」「スパニッシュ・セレナーデ」などを録音し、その後はタイヘイレコードでも活躍。戦争中はイタリアへ渡って、現地邦人の子供達への音楽指導も行いました😀。

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