学生と春 (牧春夫)。
牧春夫と合唱団の歌う「学生と春」。松竹脚本部作詞、浅井挙嘩作曲で、松竹映画「大学の若旦那」の主題歌です。清水宏監督が源尊彦の名前で書き下ろした物語が原作で、出演は藤井貢、武田春郎、水久保澄子、徳大寺伸、逢瀬初子、齋藤達雄など。その名の通り、大学のラグビー部に属する醤油問屋の若旦那のカレッジライフを描いた内容で、全十巻の青春映画でした。主人公の若旦那こと藤井実はラグビー部の主力選手でしたが、芸者との恋愛が原因で退部へと追い込まれます。しかし立ち直りの早いポジティブな彼は、今度は部の友人の姉である人気者のレビューガールへと惚れてしまう。そんな折、ラグビー部の試合が迫って来るのですが、戦力的に不安があるので已む無く実を復帰させようと周囲が目論む。そこへまた色々なヒロインが絡んで来ると云う、お気楽なお話でした🎬。
主題歌の「学生と春」は胸弾む様なクイックステップで、二度とない青春の日々を楽しく描いた陽気なメロディ。全四番構成で、あまりジャズっぽくはないものの、陽気な気候の元で踊りたくなる様なノリノリな伴奏です。作曲者の浅井挙嘩(たかあき)は本名を浅井栄二と云い、松竹専属の音楽スタッフとしては田代與志と並んで双璧でした。映画主題歌の他、同じく傘下の松竹少女歌劇に於いても楽曲提供や編曲で活躍し、戦後は藤山一郎と近江俊郎の「気持ちの歌」や、シミキンの「若い日、若人、若い歌」を手掛けており、また美空ひばりの「河童ブギウギ」も彼の作曲でした。歌手の牧春夫については全く資料がないのですが、一説では早世した横田良一の変名とも。カップリングは浅草〆香の歌う「恋人形の唄」で、レコードは映画公開に合わせて昭和9年春に発売されています😃。