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愛の雷雨 (島村弘治・都能子)。
島村弘治と都能子の歌う「愛の雷雨」。高橋掬太郎作詞、鈴木哲夫作曲で、大映作品「雷雨」の主題歌です。監督は田中重雄で、出演は若原雅夫、小泉幹治、折原啓子、平井岐代子などで、約一時間半程の短編でした。粗筋は主人公の元技師である山上が満州から復員、嘗ての恋人の光子に逢いに行くも、自身は既に戦死したと誤って伝えられていた為に、彼女は大学教授と結婚してしまった身。失望した山上は仕方なく露天商の友人宅に身を寄せる生活を送りますが、今度はそこの妹の初枝に想いを寄せられます。一方で戦死した筈の恋人が生還して困惑する光子は、事実を家族に告げますが夫はそれを寛大に受け入れます。戦争で散り散りになった二人は、新生活に希望の光を見いだす…と云う内容でしたが、実際こう云う事が多かったので、リアリティある物語だったと言えるでしょう🎬。
主題歌の「愛の雷雨」とは随分と印象深いタイトルですが、メロディは至って軽快なノリです。作詞はコロムビアから移籍した高橋掬太郎、作曲はテイチクで「満州娘」や「旅姿三人男」を書いた鈴木哲夫と云う、実績ある二人が手掛けており、歌謡ファンのツボを押さえた感じの仕上がりでした。男女の愛を描いた所謂「メロドラマ」のテーマにしては、コロムビアの同類曲よりもサラッと聞こえるのは、やはりレーベルカラーが影響しているからなのでしょうか。歌う島村弘治は戦後デビューの新人歌手と思われますが、キングには林伊佐緒や岡晴夫がおり、そこへ小畑実や津村謙らが入社すると彼等の陰に隠れてしまい、良い歌手ながら消えてしまったのは残念です。都能子は元童謡歌手で、後に「君の名は」「黒百合の花」を歌って大ヒットさせた、織井茂子のキング時代の芸名でした😀。